谷津矢車のレビュー一覧
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ネタバレ谷津矢車、初めて読んでみた。
日本の誇る名音楽家、瀧廉太郎の伝記小説。
幼くして音楽の才を持ち、自らの才に目覚め上京し音楽漬けの生活の中で、ライバルや良き友人、素晴らしい指導者に恵まれ、グングンと実力をつけていく廉太郎。
しかし、姉の命を奪った結核に自らも蝕まれ、若くしてその命を失うことになる。もっと生きていれば、結核にさえ罹らなければ、彼の偉業はどんなものになっていたのか?日本の音楽シーンはどんなことになっていたのか!悔しく惜しまれてならない。
だが、幸田幸(かの幸田露伴の娘にして廉太郎をも凌ぐ天才バイオリニスト)とのセッションの中で感じた「こんな楽しいことはない」という廉太郎の高揚感 -
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ネタバレ舞台は三河と京都になります。
『ええじゃないか』をうまく使いこなして金儲けの大博打を仕掛けるましらたちと将軍の直下と言いながら、武士の誇りを忘れてしまったような父に怒り、自分の手で手柄をあげようとする若い市之丞の物語が絡み合い、幕末の混乱を描いた秀作です。
私の中で『ええじゃないか』騒動って、きちんと調べたこともなかったこともあり、幕末の混乱期の集団ヒステリーみたいなものなんだろうなぁとずっと思っていました。
この作品を読むことで、全く違うことがわかり赤面。諸星さんの短編のコミックの中にでてくる「ドンマイダンス」とか思い出してましたし、いま、同じことを思ったあなたは同志ですよWW -
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ネタバレ江戸の町にある『馬律流」という武術を教える道場があった。
だが、今では弟子はたったの一人。道場も赤字。もらった禄も足りなくて、借財も増えていくばかり……。
そんな時に一ノ瀬唯力が主人の紗六新右衛門が黒字になった時には『一年間、儲けの一割を報酬』として支払うことを条件にして経営指南をしてくれるという。
武士も赤字のために内職に励むこの時代、唯力はどのようにして道場の赤字を黒字にしてくれるのか?
とっても面白かったです♪
紹介文にフリガナをつけようかなぁと思ったんですが、それはあまりに無粋なのでやめました。(わかる方にはわかると思うので)
第一章 米が売れない
第二章 はじまり -
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瀧廉太郎、この作品を読むまで、こんなに若くして亡くなった人とは知らなかった。
(教科書のモノクロ写真は、私には何故か皆年配者に見えていた。)
廉太郎の、音楽と共に生きる日々が読みながら胸にすっと入ってくる。
同じ道を行く同志や師との関わりも描かれ、芸術の道を進む熱さ、厳しさ、美しさに引き込まれていく。
「天才とは、他の人が諦めてしまった天井に挑み続け、ついには破ってしまった人間のことだ。だが、そうした人間にはさらなる天井が現れ、そのたびに自分なりに答えを出していく。」
音楽に限らず、高みを目指す姿は本当に心惹かれる。
読み終わり、「憾」を動画で聴いた。素晴らしかった。 -
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海の見える寺に住み込み幼いながらも働く又兵衛は、吃音で生きづらい日々を送っていた。
そんな又兵衛が絵師と出会い、絵を描くことの喜びを知る。
絵の道を進みながら、自分の生まれを知り、母を殺された怒りや恨みを心に抱きつつ歩む、又兵衛の人生を描いた作品。
吃音とその生い立ちで苦労をする又兵衛なのだが、実は周りに支えてくれる人や力になってくれる人がいるなぁと思いながら読んだ。
マイナスの感情にとらわれて生きる又兵衛の人間らしさが愛おしく、心配しながら応援しながら読み進めて、色々な人との関わりの中で最後にたどり着いた心がとても嬉しく思いました。
大満足の一冊です。 -
ネタバレ 購入済み
息子
明智光秀の話が何故"麒麟が来る"なのだろう?と思いながらNHKを見ています。この本でもその答は解りませんでした。織田信長に嫁いだ"桔梗殿"のことが書いてあるのかな?と興味を持ち、無料で読める潮ウェブを読み始めましたが、しおりがなく、難しい読めない漢字が多かったので、ブックライブで購入しました。もうすぐ、明智平に旅行するので、感慨深いものとなりました
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ネタバレ絵師の作品が谷津矢車氏の著作の中でひときわ際立っていることは誰もが認めることだと思う。
創作に携わるということは小説家も同じであると思うのだけれども、創作へ何かをささげるということと同義だと思うのですよ。
戦国時代に生まれて、様々なものを背負うことになってしまった又兵衛の絵に対する想いや他の絵師に対する嫉妬や羨望。吃音のために自分の気持ちをすぐに示すことができないことにたいする自己嫌悪の気持ちもよくわかる。
誰もがそういうものを抱えているのだろうし、しかも創作にはそういう負の部分も大事だったりするのかもしれない。
余りに深い芸術の世界に読み終わった時に心打たれて、言葉にすることができなか -
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有名なアメリカンコミックに登場する「道化師のメイクの怪人」のような画が表紙に?!これが何やら時代モノの小説であるらしい?酷く興味が沸いた。そして手に取った一冊だ。
「曽呂利新左衛門」という人物が在る。
「在る」とはしたが、生没年や本名がよく判らず、或いは一定程度知られた創作の作中人物ということになってしまうのかもしれない。本業は刀の鞘を造る鞘師で、堺で活動していた。手掛けた鞘には刀が「そろり…」と音も無く収まるというので「曽呂利」が通り名となって、そのように名乗ったという。この曽呂利新左衛門は歌詠みであり、茶道等にも通じているという人物で、豊臣秀吉が擁した文化人の集団であった“御伽衆”に名を連 -
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ネタバレ本作もフォロワーさんの感想を読ませて頂き、興味を持ち手にした一冊です。
いやぁ、お見事。
「秀吉を手玉に取った男」
如何にして天下人である豊臣秀吉を手玉に取ったのか。
それはまさに天賦の才としか言いようのないトンチを効かせたまさに口八丁手八丁。
物語は曽呂利が関わった人物との逸話を人毎に纏められており、その1話1話が実に面白い。
しかし、読み進めるうちに、曽呂利の行動(言動)が何を目的としたものであるのかがわからなくなる。
策伝と曽呂利が同一人物ではないかとの説もある中、曽呂利の本音が語られるのは第八話 策伝の場合。
あぁ、そうだったのか!
おそらくこう感じたのは私だけではないと -
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瀧廉太郎というと真っ先に浮かぶのが『荒城の月』と『花』。他には?と言われたら、この作品を読むまで分からなかった。こんなに身近な歌を世に送り出した人だったのかと再認識。
他の方の感想で青春小説と書かれていたんだけど、それもその筈、享年23歳では生涯のほとんどが青春だ。
序盤で亡くなったお姉さんの影響で楽器を演奏するようになる廉太郎だが、お姉さんは楽器(琴)が好きだが才能がない。私もお姉さん側の人間だからそのあたりはよく分かった。
才能に恵まれた廉太郎は東京音楽学校に入学する。いろいろな壁にぶちあたりながらも、良きライバルや同級生たちと研鑽を積みながら少しずつぶち破り、ついには海外留学することにな