あらすじ
女の怖さ、儚さ、したたかさ、危うさ――。
江戸時代に起こった事件をモチーフに紡がれた珠玉の5篇。
単行本『奇説無惨絵条々』を文庫化にあたり改題。
「雲州下屋敷の幽霊」雲州松平家前当主・宗衍の侍女となったお幸は、
どんな酷い仕打ちを宗衍に受けても、恨む素振りを見せない。
業を煮やした宗衍が思いついたのは、彼女の背に刺青を入れさせることだった……。
「女の顔」南町奉行所の将右衛門は、
材木問屋の娘・お熊が夫に毒を盛った事件で下女のお菊を取り調べる。
彼女が頑なに口を割らない裏には恐るべき事実があった。
「夢の浮橋」見世物小屋一座の智は若い男に頼まれて、身の上話をはじめる。
貧乏漁師の家から吉原に売られた彼女は、
花魁の八橋姐さんに可愛がられていたが……。
ほかに「だらだら祭りの頃に」「落合宿の仇討」を収録。
解説・田口幹人(書店人)
※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本『奇説無惨絵条々』を改題した文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1つ1つの短編で読みやすく、幕間を読むことで幾次郎と一緒に読んでいる気分になる。
1話ごと、『うわぁ…』ってなりました。
でも、面白かった。谷津先生の他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
色んな本を読むんだけど、はたとこの本のように「人間の業」が描かれたような作品に出会う。そうすると、「お前は何食わぬ顔で日々を送っているつもりかもしれないが、俺全部分かっていんだぞ」と、嘲笑われているような感覚に陥って、ぞくりとする。
谷津矢車は、職人的天才。作品は極めて緻密。
Posted by ブクログ
単行本は所持しているので、再読になるのでしょうが、やはり面白かった。
『無惨絵条々』の時よりも、知識が増えていることもあるとも思いますが。
谷津先生の才能が高すぎなんですよね。
次の絵師物が楽しみ(^.^)
Posted by ブクログ
短編小説集でかなり読みやすかった。個人的には「女の顔」と「落合塾の仇討」が面白かったと感じた。「事実とは所詮上澄みだから真実を書き入れてあげないと物語は張りぼてになってしまう」という考え方はかなりハッとさせられるところがあった。
Posted by ブクログ
実際に江戸で起こった事件を題材に、すごみのある話に仕立ててあるのが面白い。短編集ですが、タイトルの「雲州下屋敷の幽霊」が非常に残酷で印象に残った。悲惨な話が多くちょっとメンタルにくる。
Posted by ブクログ
いいね!(≧∇≦)b
良かった!
江戸時代の五編の物語。
・だらだら祭りの頃に
打ち首獄門に処される女が最後に脳裏に描いた光景。
・雲州下屋敷の幽霊
虐待殿といいなり女
・女の顔
恐い女
・落合宿の仇討
殺しを請け負う男
・夢の浮橋
見世物小屋の女の過去
こういうのでいい。
説教臭くもなく、押しつけ思想もない。
ただのお話。ちょい無惨。
江戸時代に起きた事件をモチーフにしているらしい。
「だらだら祭りの頃に」が地味だけど一番好きかな。後を引く。
なんかシーラッハの短編くさい。
あそこまで硬くもないが、投げっぱなし感が心地良い。
例えるなら大きな鐘を突いて、ゴーンと鳴る音や振動から何を感じようが聞いたものの勝手、みたいな。
残念だったのが幕間の話が余計だったこと。おそらく無理矢理に連作短編集にしようとしたためだろう。
いらん。
それが足を引っ張って減点。
そんなのより書き下ろしであと一編か二編でも追加してくれた方が嬉しい。
そうなら★4もあり得たかな〜。
ちなみに単行本でのタイトルは「奇説無惨絵条々」だったそうだ。
どんな表紙かと調べてみて驚いた。
京極夏彦さんが帯書いとるやん。
「戯作、斯くあるべし」と。
まったくその通りでございます!!
フォローをし合う関係ではないが、ブグログである方のレビューを読んで気になった作品でした。
ここをご覧にならないと思いますが、なーさんさん、ロカさん、ありがとうございました(_ _)