あらすじ
大政奉還前夜、史上最大の乱痴気騒ぎはなぜ起こったのか。やくざ者に老婆に童、新米御庭番と御用町人。三河国吉田宿に降った数枚の御札が、彼らの命運を、そして天下をも混沌の渦に陥れていく――
作家生活10年目に切り拓く新境地。人智を超えた運命の交錯が、歴史を、物語を駆動する!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
舞台は三河と京都になります。
『ええじゃないか』をうまく使いこなして金儲けの大博打を仕掛けるましらたちと将軍の直下と言いながら、武士の誇りを忘れてしまったような父に怒り、自分の手で手柄をあげようとする若い市之丞の物語が絡み合い、幕末の混乱を描いた秀作です。
私の中で『ええじゃないか』騒動って、きちんと調べたこともなかったこともあり、幕末の混乱期の集団ヒステリーみたいなものなんだろうなぁとずっと思っていました。
この作品を読むことで、全く違うことがわかり赤面。諸星さんの短編のコミックの中にでてくる「ドンマイダンス」とか思い出してましたし、いま、同じことを思ったあなたは同志ですよWW
半七捕物帳の「旅絵師」を読んでいたので、御庭番は少しだけわかってました、この偶然は凄いなぁと思ってしまったわ。
今回、私が気にいったのはとっても腹黒い坂本龍馬と優しくて厳しい井上源三郎の二人です。視点を変えると全く別になるというのを読ませていた来ました。実際、坂本龍馬は武器商人ですし、ましらに頼んだことをやりかねそう(;^_^A
『ええじゃないか』がどんどん変わっていき、打ちこわしや暴動めいたものへ変わっていくことに怖さを覚えながら、人間はこうした巨大なエネルギーを得ることが出来たら、普段は理性で抑えているものも悪意へと向かうこともあるのでしょう。
考えさせられる一冊でありました。楽しい時間を過ごさせていただきました。
とっても面白かったです♪
Posted by ブクログ
幕末の「ええじゃないか」騒動を背景に、騒乱を煽る側を取り締まる側の2視点から、滅びゆく江戸幕藩体制下の落ち着かない日本(三河と京都)を描く。
社会の誰もが、徳川将軍を天とし、士農工商の封建社会をゆるぎなきものと考えていたあの時代と、なんぼ税金を搾り取られても、コロナ失政があっても、ただただ自民党政権が続く現代が重ね写されて仕方ない。
天下に人なし、と踊った後、100年を経ず神をあがめて無謀な戦争で国を滅ぼしかけた歴史を考えると、天下に人なし、の現代日本は、また新たに回天があって神をあがめて滅んでいくのだろうか?
そういや維新や新選組やと、妙にきな臭い名前の集団が既得権益と争っているなぁ。くわばらくわばら
Posted by ブクログ
尻上がりに面白くなった。
『おもちゃ絵芳藤』でも描かれていたように、幕末の価値観の変化に翻弄される人々の姿を描いているが、幕間で語られているように、新型コロナウイルスや、ウクライナ情勢、沈みゆく日本の現状などから、『ええじゃないか』の人々の心のうちに重なるものを感じた気がした。