谷津矢車のレビュー一覧
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戦国史を足利一族の視点から描くアンソロジー。
古河公方発足から、喜連川藩誕生までの200年余りが物語の舞台となっています。
室町から戦国にかけて関東一円の戦乱の原因は、鎌倉公方・管領の足利一族のいざこざのせいだと思っています。なんというか、関東だけに限らず、足利は血族の争いが多い気がする。尊氏と直義から始まってることですし。それでも、240年近く幕府として続いたことは珍しいことでしょうね。
時代を下りながらのアンソロジー7話。一つの流れとして、関東公方家に仕えた忍びの「さくら一族」の存在があります。「足利の血脈」というタイトルですが、「さくら一族」伝でもあります。
『嘉吉の狐』『螺旋の龍』 -
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絵師を描くことが多い谷津さんにしては珍しい類の作品かも。『廉太郎』とは滝廉太郎、『ノオト』はノート(楽譜?)と「の音」を掛けているのかと勝手に想像。
滝廉太郎と言えば「花」「荒城の月」などの教科書に載るような有名曲の作曲家、そして若くして亡くなったことくらいしか知らなかった。この作品では作曲家というよりはピアニストとしての成長が多く描かれていたので新鮮で興味深い内容だった。
23歳という若すぎる死をまるで予見したかのように十代半ばで頭角を表し、その後も駆け抜けるようにピアニストとしてそして作曲家として階段を駆け上がった廉太郎。
しかしついに『天井』を突き破る前に病が彼を連れ去ってしまった。 -
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「絵」は好きである
自分で描くことも好きであり、
観ることも好きである、
いわゆる有名どころの画家たちには
あまり興味はないけれとど、
少し外れたところ(?)に位置づけられている
画家たち
ニコ・ピロスマニ
フリーダ・カーロ
小川芋銭
モード・ルイス
グランマ・モーゼス
大道あや
…
辺りになってくると
俄然 興味が湧いてしまう
そんな中のお一人が
岩佐又兵衛さん
ずっと以前から気になっていた
絵描きさんでしたが
最近どうやら取り沙汰されてきたことが
なにやら嬉しいやら、なにをいまさら…やら
本書の「背」に「又兵衛」を
見てしまったので
思わず 手に取ってしまいました
又兵衛さんを吃音者 -
Posted by ブクログ
大分の小藩日出の国家老の家柄、御一新で藩がなくなってからは政府に出仕した厳格な父の元に生まれた、名家・瀧家の跡取り息子・廉太郎。庭の水琴窟が奏でる音、姉の弾く琴の音色とは別に、廉太郎の心の奥底にはいつも流れ続ける音があった・・・
20歳にして労咳で亡くなった姉・利恵が、死の間際に廉太郎に託した音楽への夢。その夢に寄り添うように音楽への道を進む決意を固める廉太郎。音楽がまだ道楽とみなされていた時代、「男が芸人になるなどけしからん!」と反対する父を押し切り、日本唯一の音楽学校であった東京音楽学校を目指した廉太郎は、その狭き門を突破し最年少で入学を果たす。
幸田露伴の妹・延(のぶ)に師事し、めき