あらすじ
幕末維新期には、日本人同士が殺し合い、多くの血が流されました。おのおのが大義を掲げ、あるいは武士としての矜持から、刃を向けたということなのでしょう。とりわけ、要人の暗殺事件は、歴史を大きく動かすことになりました。現代において、暗殺は決して肯定されるものではありませんが、歴史小説のテーマとしてはとても魅力的です。
作家集団「操觚の会」に集う7人が、7つの暗殺事件を題材に、大胆な想像力と推理を駆使して作品を書き下ろしました。いずれの事件も謎に満ち、真犯人についても諸説ある、作家としての創作意欲をかき立てるものばかりです。はたして、どのような展開と結末が待っているのか!? 幕末史の暗部に真っ向勝負を挑んだ、粒揃いの作品をご堪能ください。
谷津矢車 竹とんぼの群青 ◆桜田門外の変
早見 俊 刺客 伊藤博文 ◆塙忠宝暗殺
新美 健 欺きの士道 ◆清河八郎暗殺
鈴木英治 血腥き風 ◆佐久間象山暗殺
誉田龍一 天が遣わせし男 ◆坂本龍馬暗殺
秋山香乃 裏切り者 ◆油小路の変
神家正成 明治の石 ◆孝明天皇毒殺
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
幕末の暗殺者たちの物語。
暗殺される人物が、主人公という作品が多いですが、
このアンソロジーは、暗殺者側から書かれています。
こういう理由で暗殺すると意図がはっきりしています。
早見俊先生『刺客 伊藤博文』が一番わかりやすくて、
好きです。廃帝の研究をしているという噂を信じて、
塙忠宝を暗殺する話です。
文章も読みやすくて、おすすめです。
Posted by ブクログ
「桜田門外の変」「塙忠宝暗殺」「清河八郎暗殺」「佐久間象山暗殺」「坂本龍馬暗殺」「油小路の変」「孝明天皇毒殺」と幕末に起きた7つの暗殺を7人の作家で書き下ろしたアンソロジー。
「孝明天皇毒殺」が入っているのでわくわくして購入。これについて書かれているのを読むのは、自分は初めてかな?
毒殺に関わったと思しき人物を訪ね歩いて、真実に近づいていくという探偵ものになってました。その探偵の配役も上手いこといってますね。いや、読んでもらいたい。
Posted by ブクログ
歴史小説に風穴を開けることを目的とした操觚の会7人によるアンソロジー。
暗殺者側から描いた視線が目を引く。
坂本龍馬や桜田門外の変など知られている事件もあるが、
塙忠宝暗殺の様なあまりメジャーでない題材も拾い上げている。
自分は孝明天皇死の謎に迫った作品が良かった。
暗殺がテーマなので全体に明るさは無いがテンポよく読める。
Posted by ブクログ
「操觚の会」による幕末暗殺アンソロジー。
なぜ暗殺すること事が出来たのか。桜田門外では雪が降っていて、護衛たちが刀を抜くのが遅れた。油小路では、居待ち月で御陵衛士たちを囲むのに適していた。なかなか歴史の表には表れないが、成功した影には、そのような偶然や緻密に計算された必然がある。
特に、龍馬暗殺を暗殺者の側から書いた誉田龍一。斎藤一の心理を描いた秋山香乃の作品は、素晴らしい。是非、ご一読あれ。