中条省平のレビュー一覧
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自身が己という人間のために生きていることを少なくとも今は疑っていないしそこに対する罪悪感などは一切有していないのだと信じている。だからこそ自身の生命の意義や目的を思索する自由を有しているのであり、一方でその意義や目的の儚さを知り苦悩するのである。ではもし自身という生命が神なるもののために存在しているのだとしたらどうだろうか。意義や目的はすなわち神への示す姿を美しくあらせ続ける、すなわち決して成し遂げられることのない徳と呼ばれるものを生涯追求し続けることと同義となり、だからこそ人はその生命を疑念なく送ることができるのかもしれない。しかしそこには思索の自由の余地はなく、徳を阻害するもの、すなわち自身の欲望の追求は極めて排斥されるべきものとして扱われてしまう可能性を孕むのである。神に対する愛に加え、神以外の異なる存在への愛を抱きそれの実現を目指すことは極めて徳の追求に反するものであると位置付けられる以上、愛は生命の意義とはなり得ないのである。一方、その愛を追求し生命の中核に据える自由を有している自身はにも関わらずその追求の仕方を未だ見出すことができていないのはなぜだろうか。愛の追求を自身の心がどこか抑制しているわけではなかろう。しかしその追求がいかにしてなされ得るのかという問いから避けてはならない。
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書店で必ずあるのがNHKテキストのコーナー。そこに「筒井康隆」と大きく書かれた薄い本が山積みで置かれていた。なぜ筒井康隆の本がNHKテキストなのか?と混乱しながら本を手に取ってみたら、別冊NHK100分de名著のシリーズ関連図書とのこと。他にも、有名人の本がいくつも置かれていた。この本は、今年のお正月にNHKで放送された内容を基に纏められたもの。筒井康隆大好き人間4人とカズレーザーが出演していたとのこと。4人それぞれが自分のスタイルで筒井康隆作品を解説する。そう言えば、昨年もNHK-BSで筒井康隆の特集番組が組まれていた。一時期、「残像に口紅を」がSNSで話題になり、どの書店でも文庫本がこれも山積みされ、飛ぶように売れたとのこと。一体、どの様な経緯があってSNSでバズるのか理由を知りたい。
中条省平(フランス文学者)は流石に学者らしく、お題目の「脱走と追跡のサンバ」に関連する様々な外部作品や世界情勢を基に持論を展開し、見事に本作品を説明しきっていた。そこまで広げるか?という点は否めないが、この作品に対する深い愛を否が応でも感じてしまう。
池澤春菜(声優・作家・エッセイスト)の担当は「七瀬三部作(家族八景・七瀬ふたたび・エディプスの恋人)」。NHKでドラマ化(NHK少年ドラマシリーズ)されており、主演の七瀬には当時好きだった多岐川裕美が演じていた。この半年前に「東芝日曜劇場」で「芝生は緑」という題名で家族八景を放送していたとは全く知らなかった。こちらも主演が多岐川裕美だったらしく、見逃してちょっと悔しかった。池澤春菜は中条の様に外部の作品をあまり引用することなく、三作品の文章自体を引用して自分の七瀬愛を深掘りしていた。
菊池成孔(音楽家・文筆家)は18作品の短編集「エロチック街道」の個々の作品について解説をしている。まず、本作品が中南米文学から大きく影響を受けていることは知らなかった。私は単に面白い作品だなと楽しんで読んでいた訳だが、その様な深い背景があったとはね。そしてこの時期、筒井は中央公論社の編集者である塙嘉彦氏にかなり影響を受けていたようだ。実は編集者という仕事がそれほど重要とは思ってはいなかったが、編集という仕事は松岡正剛の様に哲学者の如く文学作品に影響を与えることを知った。実際に、筒井康隆をSFから純文学に舵を切らせたのは塙嘉彦氏とのこと。この本は短編集なのだが18作品の個性がかなりバラバラなので、本全体として評価するのではなく、気に入った作品を集中的に、これも深掘りしていた。
そして最後は、SFだったら何でも首を突っ込んで来る大森望(書評家・翻訳家・アンソロジスト)による「虚構船団」の解説。この解説を読んでいると、本当にこれは純文学なのだろうかと首をひねってしまう。大森望が言う通り、この作品が新潮社から叢書風に箱入りで出すような作品なのか?安部公房「砂の女」や大江健三郎の「同時代ゲーム」と同列の純文学なのか?でも実際にこれら3冊を並べてみると、意外としっくりくる。実に不思議で謎だ。正直に言うと、購入当時は擬人化した文房具の説明に辟易して積読コーナーへ。でも大森望の解説を読んだら俄然読む気が出て来た。でもページ数が多いから、また途中で中止するかもとグダグダ悩み中。
今回の参考に使われた筒井作品をリスト化してみたら、意外と抜け落ちているものがあった。DVDは「日本以外全部沈没」、「ウィークエンド・シャッフル」、それと芦名星の映画版「七瀬ふたたび」の3つを持っていた。買った時点で安心して、なんとどれも見ていなかった、ショック! -
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これを紹介する時正直悩んだ。冒頭が
「トンプソンが殺すべき男はおかまだった。」
だし、ヒロインが精神病院から出てきたばかりだし、タイトルがこれだし。だし、だし、だし。だいたい、おかまはその後の物語に全然絡まないんだから、殺す相手がおかまでなくてもいいじゃないか。ほら、ね、このように、この本を差別用語を使わずに紹介するのは難しい。仕事としてレビューを頼まれると言葉を選ぶのに苦労する。この本を知ったのはトヨザキユミさんが主宰する書評合評会で、もう一つの課題図書は西村賢太さんの『どうで死ぬ身の一踊り』これもまた…忌み言葉を使わず紹介するのは難易度高い。ちなみに合評会はアマチュアの作品を審査するものだったので縛りは一切なく、ユニークな評が飛び出した。
で、こちらも縛りなしで書く。企業家アルトグに、幼い遺産相続人ペテールの子守として雇われたジュリーは、精神不安定で入院していた精神病院から出てきたばかり。企業家とプータローのどうにも接点が見いだせない二人がどうやって繋がったかというと、アルトグが篤志家として精神を病んだ人を救済しており、今まで何度も精神疾患の患者を雇用してきたのだった。アルトグは強引な手法で恨みを買っており、ペテールとジュリーは冷酷な殺し屋トンプソンとその手下に誘拐されてしまう。だいたい精神不安定な相手に、生命の危険を感じるかもしれない仕事を任せる自体が間違っている。仕事ができるできない以前の問題だ。
ところがジュリーは映画の『グロリア』よろしくペテールを守って最強の殺し屋から逃避行を続け、ひたすら城塞を目指す。だが、いつ精神不安定になるかわからない、ぶっ壊れたグロリアなので、カッコいいというよりは危ない、怖い、そばに来てほしくない!
登場人物の心理描写を一切行わないハードボイルドで、唯一笑いを誘い哀れもついでに誘うのが、トンプソンの唯一の泣き所、胃である。これさえなければ映画『レオン』のタイトルロールもまっつぁおの、クールで失敗しない殺し屋なのに。冒頭の殺しの後もトンプソンは今にも死にそうな形相になり、ジュリーを追いながらも何度も胃痛に悩まされる。実は気が小さい?いざという時に役に立たないと困るので、胃潰瘍を治すのが先じゃないかと思いながらも、いいチャンス(といっても殺すチャンスだが)が来ているにも関わらず体をよじらせ悶えるトンプソンが笑えて仕方がない。耽溺してはっと気づくと自分の中の眠れるスイッチが入ってしまいそうで、こちらも怖い。逆に、新たな自分を発見したい人には必読の書かもしれない(嘘)。
『愚者が出てくる』とあるが、もっと踏み込んで言えば、この小説は愚者以外誰も出てこない。ジュリー&トンプソンの通り過ぎた後には死屍累々が…傍迷惑この上ない。いやー、どこか他所で二人だけでやってくれないかなぁ、これ。
映画『グロリア』 -
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ルパンルパーン
まっかな〜ば〜らは〜♪
あいつの〜くちびる〜♪
やさしく〜だきしめ〜て〜♪
くれと〜ね〜だる〜♪
ひとみの〜お〜くに〜♪
えものを〜うつして〜♪
さびしく〜といかけ〜る〜♪
あいの〜あ〜りか〜♪
お〜とこには〜〜〜♪
じぶんの〜〜せかいが〜〜〜
いやどこまで歌うねん!( ゚д゚ )クワッ!!
というわけで、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンです
うーむ、さすがや!
さすがすぎるよ『光文社古典新訳文庫』!
ついにモーリス・ルブランですよ
しかも『三十棺桶島』ってチョイスがまた良い
そして新訳読みやす!
ルパンかっこよ!
もうね、わい小学生の時に全部読んでますから、夢中で
で、ルパンと言えばやっぱりどうしたってホームズと対比されがちなのよね
どっちもすんばらしいんだけど、どうしたって、「どっちが好き」って話になるわけそれは
ちっちゃい子どもに「お父さんとお母さんどっちが好き?」って聞いちゃうくらい必然
で、わいの答えはと言えば、それはもうルパンなわけです
なぜかと言えば”怪盗紳士”だからです
つまりね、ちょっとずるいのよ話の展開が
ちょっとそれ無理あるわ〜ってところも、だって”怪盗紳士”ですから!で乗り越えちゃうのね
でもそれがむしろ「さすがルパン!」てなるのよ
まぁ、子どもですからw
そして本作も「さすがルパン!」満載
そりゃあおもろいに決まってるでしょうが! -
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すでにDuolingoをやったり文法書を他にも読んでからだったが、説明の量や語り口の雰囲気がちょうどよかった。
ルーブル美術館の表示が(文法構造的に)わかるようになる、をめざしており、たしかに一冊で基本はわりとカバーされていそう。「旅行中にこんなことは言わない」とかの記載もあり潔い感じもする。
発音は他の本であまりよくわかってなかったところが腑に落ちた感じがする。
新書なので表の視覚的なわかりやすさや、一冊通して単語の語彙量は少なめだが(後者はむしろ狙ってそうだが)本気で勉強する人はそもそもこの新書一冊で済まさないだろうし、初心者にはこれでちょうどいい。