あらすじ
悪名高い伯爵と結婚した末に、幼い息子と実父を一度に失う悲劇に見舞われたヴェロニク。14年後、彼女は悲しみを忘れるべく遠くの町で働き成功していたが、偶然見た映画の一場面で、見知らぬ土地の小屋に自分のサインが刻まれていることに気づく。探偵の情報をもとにその小屋に行ってみると、中には男性の遺体が! それは新たな惨劇の始まりに過ぎなかった。不吉な伝説と企みに満ちた島を舞台とした、怪盗ルパンシリーズの傑作。
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Posted by ブクログ
癖がない翻訳で読みやすかった。
ルパン シリーズだが、なかなかルパンが登場しない。ルパンが変装した姿で舞う描写は、アニメのルパンの動きを思い出して想像してクスリとした。
Posted by ブクログ
ひまわりめろんさんの本棚から
アルセーヌ・ルパン、モーリス・ルブラン、そしておどろおどろしいタイトル三十棺桶島…
懐かしさをひもとく感じで手にしました。
舞台は異国の神秘的な孤島で、ヴェロニク(女性であり母でもある)視点の物語はとても読みごたえがありました。
「絶好調」もいいところに出てくるし、何度救われたことか。
ハラハラドキドキしながら、最後はスカッとしました。スカッとする感覚は久しぶりです。
モーリス・トゥーサンの挿絵も物語の場面をイメージできて、挿絵を目指して読んでいた部分もあります。
新鮮な読書時間でした。
Posted by ブクログ
ルパンルパーン
まっかな〜ば〜らは〜♪
あいつの〜くちびる〜♪
やさしく〜だきしめ〜て〜♪
くれと〜ね〜だる〜♪
ひとみの〜お〜くに〜♪
えものを〜うつして〜♪
さびしく〜といかけ〜る〜♪
あいの〜あ〜りか〜♪
お〜とこには〜〜〜♪
じぶんの〜〜せかいが〜〜〜
いやどこまで歌うねん!( ゚д゚ )クワッ!!
というわけで、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンです
うーむ、さすがや!
さすがすぎるよ『光文社古典新訳文庫』!
ついにモーリス・ルブランですよ
しかも『三十棺桶島』ってチョイスがまた良い
そして新訳読みやす!
ルパンかっこよ!
もうね、わい小学生の時に全部読んでますから、夢中で
で、ルパンと言えばやっぱりどうしたってホームズと対比されがちなのよね
どっちもすんばらしいんだけど、どうしたって、「どっちが好き」って話になるわけそれは
ちっちゃい子どもに「お父さんとお母さんどっちが好き?」って聞いちゃうくらい必然
で、わいの答えはと言えば、それはもうルパンなわけです
なぜかと言えば”怪盗紳士”だからです
つまりね、ちょっとずるいのよ話の展開が
ちょっとそれ無理あるわ〜ってところも、だって”怪盗紳士”ですから!で乗り越えちゃうのね
でもそれがむしろ「さすがルパン!」てなるのよ
まぁ、子どもですからw
そして本作も「さすがルパン!」満載
そりゃあおもろいに決まってるでしょうが!
Posted by ブクログ
▼怪盗ルパンです。三世ではありません一世です。ルブランです。ルパンシリーズは昔から大好きで、光文社古典新訳文庫も大好き。唐突に新刊で出たので読みました(もう結構前に出ていたのですが。そして唐突に出るに決まっていますが)。偕成社さんのハードカバー全集でかなり読み、早川書房の平岡敦さん翻訳文庫シリーズをわくわくと楽しんでいましたが、全訳計画は頓挫したようで残念。
▼三十棺桶島は初めて読みました。多くのミステリがそうですが、前半はとにかく犯罪、陰謀の全貌がわからない。善男善女?がとにかく殺されていく。そしてヒロインがひたすら翻弄されて追い詰められていく。その上、このお話、ルパンが全然出てこない(笑)。前半全く出てこない。ただ、どうやら後半に助けにくるんだろうな、という伏線だけはある。それを希望に読み進む(笑)。もうこりゃだめか、ヒロインも殺されるかというところでようやく登場(笑)。
登場したら、あっという間にすべての謎を解き、ヒロインを助けわるものをやっつける。この胸をすく快感はなかなか素敵でした。
▼話としては、「伝説の孤島」「隠された古の財宝」「言い伝えの通りをなぞっていく連続殺人」「閉鎖的な地域の恐怖感」みたいなものにあふれていまして。どうやら解説によると「八つ墓村」の原案がコレだそう。
▼ルパンシリーズは全体に1905-1939なんだそうです。この作品は1919。脂ののった頃ですね。「水晶の栓」「813」ほどでないですが、愉しみました。ただ、ちょっと怖かったです。怖いのは本当はそれほど好きではないんですが、「最後はルパンがすべて納めてくれるから、本当にひどいことにはならないのさ」と念じながら読みました。
Posted by ブクログ
悪名高い伯爵と結婚した末に、幼い息子と実父を一度に失う悲劇に見舞われたヴェロニク。十四年後、彼女は悲しみを忘れるべく遠くの町で働き成功していたが、偶然見た映画の一場面で、見知らぬ土地の小屋に自分のサインが刻まれていることに気づく。探偵の情報をもとにその小屋に行ってみると、中には男性の遺体が!それは新たな惨劇の始まりに過ぎなかった。
こんな怖い話だったっけ・・・まあタイトルからしてアレだけど。子供の頃にルパンシリーズは全部読んだはずだが記憶がない。序盤から中盤、もはや後半までマジ救いのない展開すぎで苦笑い。後半はあっさりルパンの正体が明かされて若干拍子抜けした部分も。ヴェロニクがここまで追い込まれても耐え抜いていく精神力がすごい。フランソワも天真爛漫ながらルパンを信じて諦めない姿にぐっとくる。この親子はやはり似ているなあ。ヴォルスキの狂気
思い込みで事件がここまで残虐になってしまう悲劇であり、ルブランのドイツに対する不快感が強く出ていて第一次世界大戦の影を感じた。
Posted by ブクログ
新訳といえどもやはり古い。現代にも通じるシャーロック・ホームズとはちがい、読んでいるときに恥ずかしくなった。むかし読んだ少年向け怪盗ルパンものそのものだったからだ。残念ながらあたらしい発見はなかった。
Posted by ブクログ
ルパンシリーズと言えば、うん十年前の少年時代、ポプラ社版の南洋一郎訳にお世話になった。本書『三十棺桶島』も読んだはずなのだが、ほとんど内容を覚えていないことに愕然。
舞台となるサレク島の島民が大量虐殺され、予言通り女たちが十字架に磔にされるなど、残酷な場面が多いのだが、解説にもあるとおり、第一次世界大戦での大量死の影響がきっとあるのだろうな、と思いながら読み進めた。
正直、子どものときのようにハラハラドキドキする愉しみは薄かったが、主人公のヴェロニクが謎に導かれてサレク島に渡り、恐ろしい苦難に遭うところにスリルを感じたし、ルパンの活躍も多少鼻につくところはあるが、冒険活劇としてはそれなりに楽しめた。本書のスピーディな展開に、新訳は良くマッチしていると思う。
また、本書には挿画が収録されているのだが、場面場面のイメージ喚起に大いに助けとなった。