中条省平のレビュー一覧

  • 狭き門

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    愛する二人、ジェロームとアリサ
    しかし、妹に遠慮したり、遠距離になったりで
    結局恋が実らず、、

    手紙のやりとりで話が進んでいく構成
    アリサの信仰心がゆえに、自分の内心の美徳を重視し、二人が一緒になれなかったということなのかと思えたけど、
    もしかしたら、ただ単純に好機を逸したということかもしれない

    恋だ愛だは、好機が過ぎたら潔く諦めるべきという教訓的に読むのもありではないでしょうか。

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    2021年03月24日
  • 肉体の悪魔

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    15歳と19歳の人妻の不倫の話。現代でもそんな話があったらセンセーショナルなのに、第一次世界大戦の時代にはさらにセンセーショナルだっただろう。しかもこの小説は作者が16歳の頃に書き始めたという。私が忘れつつある青春の感情がたくさん詰まった本だなと思ったが、実際に体験している「今」を描いているのなら納得だ。

    作者は20歳で亡くなってしまったらしい。第一次世界大戦という普段とは違う状況が、夫の長期不在という状況を作り出し、そこに普段とは違う状況が生まれる。では戦後長生きしていたらどんな作品を生み出してくれたのだろうと推測してしまう。

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    2021年01月13日
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える

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    70年代ノワール小説の最高峰マンシェット新訳だ。精神病院を退院したジュリーは企業家で慈善家のアルトグに雇われて彼の幼い甥っ子ペテールの世話を始める。屋敷のまわりではアルトグの昔の共同経営者で凶暴なフェンテスがうろついていた。ある日散歩中の2人は凶悪な4人の殺し屋に誘拐されてしまう。ジュリーは1人を殺してペテールと共に脱出。殺し屋は容赦なく追いかけてくる。銃撃、破壊、殺人、流血の逃走劇。殺し屋の背後に誰がいるのか?誰が味方で誰が敵なのか。実は登場人物全員がイカれている。善悪の話ではない。生きるか死ぬかの本能の話だ。そしてハッピーでもバッドでもないサバサバしたラストが印象的だ。
    昔はノワール小説と

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    2020年11月22日
  • 肉体の悪魔

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    本文に描かれる恋愛観が、私のものととても似ていた。
    そのため、「僕」の持つ嫉妬心や残酷さが表出するたびに、私自身の本性を暴かれているような気分になった。
    ラディゲは約100年前のフランス人だというのに、現代の日本にも通じる「人を捉える力」を持っていたのだろう。
    男の内面に向き合える本。

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    2020年10月07日
  • 世界一簡単なフランス語の本 すぐに読める、読めれば話せる、話せば解る!

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    これを読めば、あなたもプルーストの「失われた時を求めて」を読める!かは、わかりませんが、懇切丁寧に文法初歩の初歩が書かれてます。
    繰り返し練習と暗記すればいいのだろうが、その努力ができないんだよな、と。

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    2020年09月09日
  • 肉体の悪魔

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    引用。

    僕はマルトにキスをした自分の大胆さに呆然としていたが、本当は、僕が彼女に顔を寄せたとき、僕の頭を抱いて唇にひき寄せたのはマルトのほうだった。彼女の両手が僕の首に絡みついていた。遭難者の手だってこれほど激しく絡みつくことはないだろう。彼女は僕に救助してもらいたいのか、それとも一緒に溺れてほしいのか、僕には分からなかった。

    平静に死を直視できるのは、ひとりで死と向かいあったときだけだ。二人で死ぬことはもはや死ではない。疑り深い人だってそう思うだろう。悲しいのは、命に別れを告げることではない。命に意味をあたえてくれるものと別れることだ。愛こそが命なら、一緒に生きることと一緒に死ぬことの

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    2020年08月12日
  • 眠りなき狙撃者

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    ここのところ、続けて殺し屋のお話しを読んだけれどどちらにも共通していたのは繊細な心の持ち主だということ。
    タフでスキがなくて頑強で・・・って、そんなイメージを覆す哀愁を漂わす人間。殺し屋テリエは、精神面の脆さが所々で垣間見えて、読んでいても不安で心配になってしまうほどだった。けれど、肉体面においては不自然なほど無関心と無痛感。このアンバランスが魅力でもあり読者に不安感を与えるところかもしれないと感じた。

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    2020年02月27日
  • 世界一簡単なフランス語の本 すぐに読める、読めれば話せる、話せば解る!

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    フランス語は、学生時代、テレビ講座を見たくらいで、きちんと学習したことはない。
    フランス語と言えば、文法が難しい。
    そんなイメージを一掃しようとした本だと思う。

    綴りと発音、名詞・冠詞・形容詞と性、動詞の活用、否定・命令の形、人称代名詞、前置詞、そして時制。
    書きだすとこれでも結構な学習事項だと思う。
    しっかり身に着くまで、と思えば、やはりそれなりの時間は必要だろう。
    でも、この言語がどういう仕組みなのかをまず概観するには大変優れた本だと思う。

    まず、初学者がくじける発音。
    振り仮名はダメ、という語学の先生方のおっしゃることはよくわかるが、これをあえてやってのける。
    この割り切りっぷりがす

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    2020年02月16日
  • にんじん

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    なにかよからぬことが起こるのでは、と家族目線ではらはらしながら読み進める。多感な子供はささやかな事でもそれを経験として取り込み成長する。子どもに愛情をそそくことなく、虐待する親が育てた場合、その経験が卑屈な人間に育てられるような、反面教師的な側面がある。昔は子どもにお酒を飲ませたり、銃を扱わせたりしたのか。
    読み手に家族目線とにんじん目線と代わる代わる視点が変わるところも面白い。
    とてもシンプルな文体で子供向けの本とはじめは思ったがそうではないらしいです。時折支離滅裂な文章があるところも不安にさせられる。
    古典にはこんな斬新なものもあるんですね。色々発掘してみたくなります。

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    2019年12月24日
  • マンガの教養 読んでおきたい常識・必修の名作100

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    未読の作品が8割くらいを占める。逆に言うとそれだけ楽しめる余地が残っているってことだし、嬉しい悲鳴ってことにもなろう。ただ、いかんせん温故知新の感性を持ち合わせないものだから、本書の中でも気になる作品は、その殆どが前半に集中。ひとまず数作、その中から読んでみて、って感じかな。

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    2019年04月15日
  • マダム・エドワルダ/目玉の話

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    蔦屋に積んであったのを何気なく手に取った。
    バタイユ: そのパトスとタナトス 酒井健さんによる本を課題とした読書会 何回かに分けて行われたのに参加している最中だった。

    そんなこんなで小説も手に取った。なんだこれは?話の筋が変態的で凄い。バタイユの生い立ちも凄い。父が梅毒で失明しており、まもなく四肢が麻痺する。その父の排泄の手伝いをしていた。目玉の話は悲惨な実話なのだ。玉子と眼球と睾丸は楕円的球体という形態上の類似と音韻上の類似を介して結びつく無意識の連続のドラマだという。シモーヌが司祭にとった行動は、想像だにしなかった。まさか。エドモンド卿と私 語り手?とシモーヌの関係に頭が混乱しました。マ

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    2019年04月06日
  • 肉体の悪魔

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    青く若い恋。
    この主人公からは知的さと自己観察・分析力の高さを感じる。
    そして、ずるさと短絡さも。
    マルトへの恋ゆえ、未来の生活など考えていない刹那的な行動を積み重ねる。
    欲望と妄想にひたる日々。
    なんて地盤の弱い、綱渡りのような恋愛なのだろう。
    青い。
    しかし、青いからこそ傾けることができた情熱だったのだ。
    その心理的な流れを読むのが面白かった。


    2019.1.2
    フランス文学は読みにくくわかりにくい、という偏見がありました。
    コクトーとか、ちょっと苦手で。
    でも、この本はすごく読みやすく、共感もでき、面白かった。
    若いな、と。
    向こう見ずで、刹那的で、疑い方も愛し方もまっすぐで。
    おな

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    2019年01月02日
  • 世界一簡単なフランス語の本 すぐに読める、読めれば話せる、話せば解る!

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    ややこしい説明がないので、何も考えず書かれてある通りのことをマスターしていけば読めるようになった。フランス人の友人に、私が正しく読めているか聞いてもらったが、正しいと驚いていた。
    まだまだ話せるようになるにはなっていないけど、タイトル通り世界一簡単にフランス語を学べる本だと思う。

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    2018年11月10日
  • マダム・エドワルダ/目玉の話

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    「マダム」露出狂というのかな、現実にはすぐ通報され周りは恐怖に包まれるので、こういうのはAV世界でしか起こり得ない哀しさ。

    「目玉」十代の男女が成熟し始めた肉体を駆使し、エロスのその先に有るものを突き詰めるために狂ったように奔走する。

    なんだっけこれ。。。

    ハッ、鮭が産卵のために自分が産まれた川に帰ってくる様子みたいだ!



    最後にポロリと作者の幼年期に起こった出来事がトラウマとして書かれ、それが一番衝撃的で心打たれる。辛い葛藤を何とかかろうじてエロスに変換して、正気を保っているのか。せつない。

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    2018年07月31日
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える

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    これが古典なのか、と思うわね。でも50年前か。50年前というとけっこう昔か。そういう意味じゃ古典か。そして年を取ったものだ・・

    それはさておき中身は古典というよりノンストップ・バイオレンス・アクション、って感じ。これをハリウッドの適当な監督が映画化すれば絶対にB級の酷いものになる、間違いない。
    思わせぶりなタイトルにはきっと深い意味が隠されていて、読んでいる中で伏線を回収しているのか、タイトルの意味も理解できるのか、でもそんなの関係なく、ギャングから逃げるシーンは手に汗握って大好きよ。

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    2018年07月05日
  • 狭き門

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    信仰と幸福の対立の物語。本当に徹底して信仰を実践すると救われるものも救われなくなってしまう、だから歴代の宗教は愛や慈悲というものを超越的なものに対置したのだ、というような説明を聞いたことがあるが、まんまそれを描いたようなストーリー。真の信仰と比べたら、幸福は彼岸のものではなく地上のものであるということを思い出させられる。けれども、悲痛な結末の印象は薄く、それよりも全編を貫く清廉さの方が強く残った。情景、心情、ストーリーのすべてがあまりにも清廉。この極端に汚らわしさを排除し美へと偏った小説を読んでいると、宗教というのは人間の美しいものを美しいと感じてしまう感覚のもとに道徳と幸福の妥結を図ったもの

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    2018年04月03日
  • 肉体の悪魔

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    ネタバレ

    話の展開はそんなにないものの、独特で美しい比喩表現があちこちにあって言葉選びに感心してしまった。
    第一次世界大戦中で、夫不在の家が多かったとはいえ、不倫に対して双方の家族の対応が甘すぎる気もしたけれど、当時このようなことはよくあったのか。
    早熟だけど未熟な15歳の心理表現がすごい巧みだった。

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    2018年04月01日
  • にんじん

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    作者の子どものころの実話を少し、脚色してということだけど、なかなか考えさせられる話が多かった. 主人公も含めみんなあまりに等身大の人間的.

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    2018年03月09日
  • ジョジョの奇妙な名言集 Part1~3

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    実はあまり作品としては読んでいなかったのだけど、
    これほど登場人物な名がロックしているとは
    思いませんでした(汗)
    セリフもかっこいいし、
    あ~コミック読みたくなっちゃいました。
    でも、巻数、多いのですよね~。

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    2017年10月22日
  • マンガの教養 読んでおきたい常識・必修の名作100

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    ネタバレ

    漫画史的に意義のある100作品紹介していて、その中で読んだことがあるのが43作品だった。それもきちんと最期まで読んでいたのはそこから更に少ない。漫画家の中には他の人の作品は一切読まないと断固たる姿勢で臨んでいる人もいるから、読んでいればいいというわけではないとも思うのだが、やっぱり読んでいた方がいいような気がする。今更に読んでも仕方がないのかもしれず、もっと若い時にちゃんと読んでいればよかった。好き嫌いせずにいろいろ読んでいたかった。特にガロ系が比較的多く紹介されていて、先輩方の傑作に触れていなかったのが悔やまれてならない。

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    2017年05月01日