感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2011年11月07日
中条省平は、けっしてこのような本を書いてはいけません。
たとえさまざまな甘い誘惑、すなわち、高名なフランス文学者の貴方が書けば、どんな本もたちまちベストセラーになること間違いなしですから、ひとつわが社で、ど素人相手にチョコチョコっとハウトゥ本を書いて下されませ、とかなんとか、老練の編集者に自分好み...続きを読むのフランスはローヌ河流域サン・ペレーの極上のワインを手土産にそそのかされても、です。
わが中条省平が、かつて天才だったことを知っている者としても、このような安直な書物が彼の著作リストを汚すことは、とても耐えられない汚辱であります。
今や伝説の、彼が中学生から高校生の頃にかけて『季刊フィルム』に書いた4本の批評文は、これはたまたま私が映画好きで古い映画雑誌を蒐集した際に彼の文章を見つけたのに過ぎませんが、これを高2のときに読んで、その密度の濃い知的レベル・表現力に圧倒されて、自分が広大な宇宙のなかの塵のような気分になり、とてつもない無力感に苛まれたものでした。
それはともかく、純粋知識人の典型的な教養人である中条省平が、よくまあこれだけバラエティに富んだマンガ100冊を実際に読んだものだと感心します。
ええっと、もちろん私はすべて読んでいますが、如何せん彼のように名作だとは、とても口にできない代物もあることは否めません。
すばらしいマンガを求めて何千里、ただただ無我夢中で次の村上もとかを、未来の安彦良和を、諸星大二郎を超えるマンガ家をあてもなく探しているのですが、なかなか難しいところです。
ただし、小説の名作案内によって、まだ見ぬ未知の小説に導かれてそのすばらしさを体験することがどれほど貴重なことかを思うと、マンガにもこういうものがあって、眼が開かれる機会を持つのもいいかもと思います。
今どきそんな人はいないと思いますが、マンガなんか低級なものとはなから軽蔑している人がもしいるとしたら、その人にこそ読んでもらって鼻を明かしてみたいなと思えるほど教養主義的にも説得力のある本ではあります。
Posted by ブクログ 2019年04月15日
未読の作品が8割くらいを占める。逆に言うとそれだけ楽しめる余地が残っているってことだし、嬉しい悲鳴ってことにもなろう。ただ、いかんせん温故知新の感性を持ち合わせないものだから、本書の中でも気になる作品は、その殆どが前半に集中。ひとまず数作、その中から読んでみて、って感じかな。
Posted by ブクログ 2017年05月01日
漫画史的に意義のある100作品紹介していて、その中で読んだことがあるのが43作品だった。それもきちんと最期まで読んでいたのはそこから更に少ない。漫画家の中には他の人の作品は一切読まないと断固たる姿勢で臨んでいる人もいるから、読んでいればいいというわけではないとも思うのだが、やっぱり読んでいた方がいい...続きを読むような気がする。今更に読んでも仕方がないのかもしれず、もっと若い時にちゃんと読んでいればよかった。好き嫌いせずにいろいろ読んでいたかった。特にガロ系が比較的多く紹介されていて、先輩方の傑作に触れていなかったのが悔やまれてならない。
Posted by ブクログ 2016年01月08日
新しい作品ばかりではなかった
100さつ紹介されている
それぞれのマンガの紹介も独創的に見える
取り上げた作品の背景やうんちくについては参考になる
読者の思考により感想の異なるな
マンガは サブカルから 日本文化になったといえないか
Posted by ブクログ 2016年10月21日
読んだことはなくても、たいていの漫画家の名前くらいは知っているかと思ったが、まだまだ、知らない漫画家がいるもんだ。と勉強になった。
気になった漫画家
いましろたかし
たかもちげん
松田洋子
一ノ関圭
楠勝平
Posted by ブクログ 2011年08月29日
見開き1ページにつき1作の割合で、マンガが紹介されている。刹那的に楽しむだけではなく、系統的に知識として吸収していくとよりよい、という著者のスタンスで、知的な理解の仕方がベース。