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Posted by ブクログ
中条省平は、けっしてこのような本を書いてはいけません。
たとえさまざまな甘い誘惑、すなわち、高名なフランス文学者の貴方が書けば、どんな本もたちまちベストセラーになること間違いなしですから、ひとつわが社で、ど素人相手にチョコチョコっとハウトゥ本を書いて下されませ、とかなんとか、老練の編集者に自分好みのフランスはローヌ河流域サン・ペレーの極上のワインを手土産にそそのかされても、です。
わが中条省平が、かつて天才だったことを知っている者としても、このような安直な書物が彼の著作リストを汚すことは、とても耐えられない汚辱であります。
今や伝説の、彼が中学生から高校生の頃にかけて『季刊フィルム』に書いた4本の批評文は、これはたまたま私が映画好きで古い映画雑誌を蒐集した際に彼の文章を見つけたのに過ぎませんが、これを高2のときに読んで、その密度の濃い知的レベル・表現力に圧倒されて、自分が広大な宇宙のなかの塵のような気分になり、とてつもない無力感に苛まれたものでした。
それはともかく、純粋知識人の典型的な教養人である中条省平が、よくまあこれだけバラエティに富んだマンガ100冊を実際に読んだものだと感心します。
ええっと、もちろん私はすべて読んでいますが、如何せん彼のように名作だとは、とても口にできない代物もあることは否めません。
すばらしいマンガを求めて何千里、ただただ無我夢中で次の村上もとかを、未来の安彦良和を、諸星大二郎を超えるマンガ家をあてもなく探しているのですが、なかなか難しいところです。
ただし、小説の名作案内によって、まだ見ぬ未知の小説に導かれてそのすばらしさを体験することがどれほど貴重なことかを思うと、マンガにもこういうものがあって、眼が開かれる機会を持つのもいいかもと思います。
今どきそんな人はいないと思いますが、マンガなんか低級なものとはなから軽蔑している人がもしいるとしたら、その人にこそ読んでもらって鼻を明かしてみたいなと思えるほど教養主義的にも説得力のある本ではあります。
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