中条省平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ロブ=グリエといえば、昔『去年マリエンバードで』は観た、
が、その脚本を書いた人だという以外、知識なし、でも、
某誌を捲っていて、この本の広告が目に留まったので購入。
脚本も手掛けた人――という先入観のせいかどうか、
小説なんだけど、何だか台本を読まされている気分だった(笑)
いろんな人物が出てきて、時間が前後に行ったり来たり。
構造主義だのヌーヴォー・ロマンだのと言われても難しいことはわからないけど、
これは倒叙ミステリの一種かもしれない……ぐらいに考えて読んでいったら
そこそこ面白かった。
被害者と犯人が序盤で明らかにされており、
探偵役がいかにして「正解」に辿り着くか、あるいは辿り着けな -
Posted by ブクログ
二十歳で夭折した20世紀フランスの小説家レイモン・ラディゲ(1903-1923)による、自伝的要素を含んだ処女小説、1923年。
本作品の舞台が戦時下であると語るところから、物語は始まる。
「僕はさまざまな非難を受けることになるだろう。でも、どうすればいい? 戦争の始まる何か月か前に十二歳だったことが、僕の落ち度だとでもいうのだろうか?」
第一次大戦という、深甚な虚無に否応もなく曝された少年。時代が少年にも強いる精神の屈折。無邪気で在ることを許さない、屈折。
それでもこの少年は、子どもじみた万能感から、自分が子どもであることを否定して成熟した大人であろうと、心理に於いても行動に -
Posted by ブクログ
精神病院に入院していたジュリーがある日アルトグという富豪の甥のベビーシッターになるが、殺し屋のトンプソンに誘拐される。ジュリーは子供を連れて必死の思いで脱出する。果たして2人は無事に逃げおおせることができるのか?というのが粗筋。特異なのはジュリーにしろアルトグにしろ殺し屋にしろ、どこか行動が狂っていて、もはや善悪の区別が付けられなくなっている点。一切の心情描写を省いた文体がそれを強調する。物語の展開や殺し合いの描写は極めて巧みでハードボイルドとしては傑作だと思う。個人的には主要な人物があまりにもあっけなく死んでしまい、その狂気から何かを読み取る前に物語が終わってしまった感があって少し物足りなか
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