中条省平のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
往来堂書店「D坂文庫2015春」からの一冊。
選者の「初期のオースターが好きな方は是非」というコメントを見て迷わず手にした。そして、内容はそのコメント通り。と言うか、この作品がなければオースターのNY三部作はなかった、と言える内容。
寒い冬、自転車、跳ね橋、路面電車、運河…丁寧に綴られたこの街が何ともいい雰囲気を醸しだしている。そして、ある事件の犯人を追ってその街をひたすら歩く捜査官。ミステリーの要素ももちろんふんだんなのだが、その街の描写と、捜査官の揺れ動く心と行動の描写が、本書をミステリーの枠から飛び出させている。
冒頭の選者のコメント通り、オースターの初期作品が好きならば必ずや満足を覚え -
Posted by ブクログ
目次に並ぶ作家名に目を通した瞬間ワクワクする。作家のチョイスだけで、十分に本書が語るメッセージ性を感じることができる人は、本文まで読む必要はないかもしれない。
語り手の内面描写に特権を与えた私小説が、自意識の袋小路において無力であるとき、「本物である」乱歩なら、三島なら、また筒井ならどのように書いてきたのか。
私小説がはらむ宿命も、ポストモダンという頭でっかちな概念も、歯牙にかけずマイウェイを貫いた者たちが素描される。
何気なくいにしえのアンチミステリとして読んでいた夢野久作 ドグマグだったが、徹底的に登場人物の内面描写を拒否し破壊した反時代的作品として再読しようと思う。 -
Posted by ブクログ
小説家志望の読者向けに、章毎に題材となる小説を選び、小説の引用をしながら、丁寧に小説表現の説明をしている。
なるほど、こういう視点で読むと小説の奥深さがよく分かるのだな。という指摘が多々。
なるほどと思ったフレーズは以下。
・説明や描写ではなく、アクションで示す。
・小説家は会話を巧みに書く能力がないといけません。
・普通、風景描写は視角を通すものですが、優れた風景描写は実は五感を総動員します。
読んでみたいと思ったのは、
パトリシア・ハイスミス→卑屈な男性と気の強いいじわるな女との組み合わせ。女性作家ならではの女性への厳しい目線。(でも作者は女性好きとのこと)
丸山健二「夏の流れ」→的確に -
Posted by ブクログ
ネタバレ【本の内容】
精神を病み入院していたジュリーは、企業家アルトグに雇われ、彼の甥であるペテールの世話係となる。
しかし凶悪な4人組のギャングにペテールともども誘拐されてしまう。
ふたりはギャングのアジトから命からがら脱出。
殺人と破壊の限りを尽くす、逃亡と追跡劇が始まる。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
-
-
-
-
-