あらすじ
人間中心主義に抗う谷崎、乱歩、足穂、三島、澁澤らの作品を手掛かりに、「反近代」という視点で近代文学の再読に迫る。
既製文学史にアンチテーゼを掲げる文芸評論。
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Posted by ブクログ
目次に並ぶ作家名に目を通した瞬間ワクワクする。作家のチョイスだけで、十分に本書が語るメッセージ性を感じることができる人は、本文まで読む必要はないかもしれない。
語り手の内面描写に特権を与えた私小説が、自意識の袋小路において無力であるとき、「本物である」乱歩なら、三島なら、また筒井ならどのように書いてきたのか。
私小説がはらむ宿命も、ポストモダンという頭でっかちな概念も、歯牙にかけずマイウェイを貫いた者たちが素描される。
何気なくいにしえのアンチミステリとして読んでいた夢野久作 ドグマグだったが、徹底的に登場人物の内面描写を拒否し破壊した反時代的作品として再読しようと思う。