【感想・ネタバレ】別冊NHK100分de名著 時をつむぐ旅人 萩尾望都のレビュー

あらすじ

少女漫画の概念を変えた稀代のストーリーテラー。その先進性と深遠な哲学に迫る!

少女漫画史に燦然と輝くトップランナー、萩尾望都。半世紀にわたって、ファンタジー、ミステリー、SFなど幅広いジャンルを舞台に、実存、不条理、魂の救済、差別、家族の相克など普遍的な哲学的命題を提示し続けてきた。その深遠な世界観を、いずれ劣らぬ萩尾愛に満ちた4人の論者が語りつくす!
2021年正月に放送され反響をよんだ番組「100分de萩尾望都」待望のムック化。萩尾望都自身のインタビューも収載。

〈内容〉
『トーマの心臓』をよむ――小谷真理
『半神』『イグアナの娘』をよむ――ヤマザキマリ
『バルバラ異界』をよむ――中条省平
『ポーの一族』をよむ――夢枕獏
萩尾望都インタビュー

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Posted by ブクログ

俄然、『ポーの一族』シリーズを読み返したくなる。
そして読んだことのない、『バルバラ異界』が気になる。

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

四人の執筆者たちが萩尾望都の作品をとりあげ、その魅力を語っています。また巻末には、「萩尾望都スペシャルインタビュー」が収録されています。

小谷真理が解説しているのは『トーマの心臓』です。小谷が主要なフィールドとしているフェミニズムとSFという二つの観点から考察をおこない、とくに美しい少年たちの物語としてえがかれたこの作品が、女性たちにどのように受け入れられたのかということが論じられています。

ヤマザキマリが解説しているのは『半神』と『イグアナの娘』です。おなじマンガ家としての立場から、表現技法などに立ち入った話がなされるのかと思っていたのですが、むしろ作品のテーマを掘り下げる議論が展開されています。

夢枕獏は『ポーの一族』をとりあげていますが、巻末のインタビューで萩尾自身が明かしているように、四十年ぶりに続編の執筆が再開されることになったきっかけを提供した人物ということもあって、この作品に対する愛があふれだしています。

中条省平は『バルバラ異界』をあつかっています。フランス文学の研究者でありマンガの評論・研究も手がけている著者だけに、この複雑なテーマをもつ作品をどのように読み解くのか、個人的にもっとも関心があったのですが、いくつかの解読のための切り口が示されているにとどまっている印象です。本格的な評論を執筆してくれることを待ちたいと感じました。

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2021年11月08日

Posted by ブクログ

番組を見損なった。萩尾望都大ファンの番組プロデューサー(秋満吉彦)が満を持して放つ100分de名著。番組よりも論者は更に加筆したようだし、論者たちをア然とさせたらしい萩尾望都ロングインタビューも完全版で載っている。番組観なくても、こういうムックで読む方がよっぽど役に立つ。

【内容】
『トーマの心臓』をよむ――小谷真理
『半神』『イグアナの娘』をよむ――ヤマザキマリ
『バルバラ異界』をよむ――中条省平
『ポーの一族』をよむ――夢枕獏
萩尾望都インタビュー

ここで新たに提示されている萩尾望都論は、それなりに新しい視点ではあるけれども、驚くようなことは書かれてはいない。かつて80年代の初めに漫画評論誌「ぱふ」に於いて橋本治が「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」で指摘した時から、萩尾望都は文学評論の水準で語られてきた。まだまだ汲めども尽きぬ視点が出てくるだろう。

ここの論者たちが繰り返し指摘している視点がある。
「異端者」としての主人公=作者が、どうやって世間と折り合いをつけてゆくか。
「ここではないどこかへ」というのは、21世紀から出てきた萩尾望都短篇のテーマではあるが、それはそのまま萩尾望都の生涯のテーマであるというのである。
それはその通りだと思う。
じゃ、それは単なる「世間」なのか?
というのが私の問題意識である。
それはもっと手強い「世界」ではないのか?
言葉にできない「世界」に対する不安。
それは同時に私たちの問題意識でもある。
萩尾望都が何度も読み返されるのには、理由がある。

小説では描けないものを描いているから、萩尾望都はマンガを描いているのである。と、インタビューで萩尾望都は明確にしていた。ネームの作り方は、最初は登場人物の心理状態も全て書くらしい。そのあと絵で還元できるものは全て削って、最後にうまく絵にならない部分が、あの夢のように流れる「モノローグ」として残るらしい。曲のない歌詞が歌ではないように、絵のない言葉はマンガではない。「悲しみの天使」という映画とヘルマン・ヘッセの小説に刺激されて「トーマの心臓」が出来たようだが、一度その両方を見て、私にも「トーマ」がつくれるか試してみたい(笑)。

論者たちの討論では、「イグアナの娘」のラストシーンに出てくる小さなトカゲの正体について、議論があったそうだが、インタビューではあっさり「それはお母さんです」と明かしている。ヤマザキマリは放送された番組を観てズッコケたらしい。この場合、娘とお母さんの和解は成立していたようだ。

その他、新「ポーの一族」で「アランは復活させます」とあっさり語っていたり、とっても重要なことをさらっと言っている。

萩尾望都を読んでいくために、新たに重要な本がまた誕生した。

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2021年08月02日

Posted by ブクログ

お正月に放送された素晴らしい番組の本が出てたので買った!スペシャルインタビューも。じっくり読みますよ

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2021年06月22日

Posted by ブクログ

そもそも「11人いる!」と「イグアナの娘」
しか読んだことがないのだから、
(それにしても2つとも秀逸な題名!)
本書は深くは理解できていないのだが。
理解できないながらも、タダモノではない、
というのは理解できる。
もう少し作品を読み進めようと思います。

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2024年04月29日

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