あらすじ
生と死の「境界」に魅せられた、唯一無二の鬼才
「100分de水木しげる」(2022年8月27日放送)が待望の書籍化! 「鬼太郎」「悪魔くん」から「のんのんばあ」「ラバウル戦記」まで。各界を代表するファンが集い、多彩な作品の魅力を熱く語りながら、「わが道」を極めた水木流の人生哲学を読み解く。図版も多数収載した決定版!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
水木さんに対する愛が込められた一冊。読むべき一冊だと思う。
今まで戦争がテーマや舞台の作品にばかり注目してきたけれど、そうでない作品にも、やはり時代の風刺や反戦の思いが込められていることを知りました。もっと読みたいです。
Posted by ブクログ
#ツナグ100分de名著
\\ おいっ、鬼太郎! //
頭の中でそう呼ぶ声がする。
目玉のおやじ、
ねこ娘
ねずみ男。
異界のキャラクターたちが作り出す、水木しげるの世界観。
その魅力が大いに語られます✧
◇◇◇◇◇◇
【タイトル】別冊 NHK 100分で名著「わが道」の達人水木しげる
【 著者 】釈徹宗/中条省平/ヤマザキマリ/佐野史郎
【 出版社 】NHK出版
◇◇◇◇◇◇
ゲゲゲの鬼太郎。
私が幼き頃、TVアニメとして放映されていて、毎回真ん前でじっと見入っていた。
鬼太郎が“父さん”と呼ぶ声。
茶碗の風呂につかる目玉のおやじ。
厄介事をもってくるねずみ男。
『また、ねずみ男。』と毎度毎度良いことがないのに、懲りもせず悪いことにそそのかされる。
そして鬼太郎が解決してくれる。
そんな身近なヒーローだった。
◇◇◇◇◇◇
ちなみに、
ねずみ男は風呂にすら入らないなまけもので楽をしてカネを設けたい、いい女と寝たい、うまいものをたらふく食いたい、酒を飲みたい…
という人間のあらゆる欲望を肯定するような人物像。「業の肯定」だったのだ。
それを聞いてねずみ男の存在にぽんっ、と手を打つように納得した。
◇◇◇◇◇◇
水木さんは異界との付き合い方を子どもに教えてくれる大人。
水木さんが描く作品からはどれも「境界」というものを強く感じることができる。
見える世界と見えない、生と死、日常と非日常、エロスとタナトスー。
そんな水木さんの世界に子どもたちが惹かれる理由。
それは死は悪いことではないし、ダメだと大人が言う悪事すらも人間の性として否定していない。
ありとあらゆる現象を総括し、人間という生き物のあり方を俯瞰し、フラットにとらえている。
正統派なものばかりに囲まれて、どこか納得のいかない子どもたちにとって、その世界観に惹かれる理由があるのだという。
確かに!!
◇◇◇◇◇◇
また水木さんは戦場体験者。
だからこそ持つ、根源的・現実的ニヒリズムが作品に表れている。
2009年、世界に残すべき作品として「遺産賞」を受賞した『総員玉砕せよ!』もそのひとつ。
人間は結局、無意味に死んでいくものだという根源的なニヒリズム。
常に生と死の境界線上にある戦場という場所の恐ろしいほどのリアリティを感じるとともに、「生きること」と「死ぬこと」を地続きとしてとらえていた水木先生の死生観を垣間見ることができる。
もうひとつのニヒリズムは戦後日本に帰ってはきたけれど、生活は貧乏で苦しいことの連続で絶望しても生きていかなければいけない。現実の中では、食うためにひたすら働き続けるしかない。という現実的なニヒリズム。
この世が無常であることを受け入れ、漂白する感覚。それは異界にも通じる自然への畏怖の感覚と一体をなしている。
人間には到底はかり知れない自然を絶対的なものとして無条件で受け入れることで、その中に溶け込むようにして救われるという感覚とも通じていると言う。
◇◇◇◇◇◇
戦争の悲惨さを伝えるだけじゃない「人間観察記録」という意味合い。
戦争がひどいものだと伝える以前に、まず人間というものは、これほどまでに狂気をはらんでいて、残虐なことをしでかしてしまう存在だということを伝えている。
理想化されていない人間の本質というものに向かい合えればいい。
知りたいことだけ知ればいいー。
それが許される社会になりつつあるが、それだけだと人間はいざという時に自分の足で立って行動できない生き物になってしまうかもしれなから。
水木さんの作品を通して、「知ること」でまた世界は広がっていく。
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他にも、水木さんの作品によく表れている糞便についても興味深い考察がされています。
『のんのんばぁ』『悪魔くん』など有名な作品にも触れられていて、水木さんの魅力が詰まった1冊でした✧
そして久々に鬼太郎に会いたくなりました☆新しい作画になった鬼太郎は一体どんななのかな〜とも新たに「気になる」が増えました♪
Posted by ブクログ
「ゲゲゲの謎」という映画が流行っている昨今、水木さん入門書として良い、というトゥートを見かけたので購入。
水木さんの漫画・人生に自分の語りたいことをおっかぶせている様子も、後半ちょっと散見されるが、水木さん本人のおおきさが上回って語りきれない感じなので、たしかにかえって入門書としてはよかったと思う。わたしの手元にはいま「総員玉砕せよ!」があって、このあともしかしたら「のんのんばあとオレ」を買うかもしれない。
嫌いだというのに人間中心主義(ヒューマニズム)の夢を見てしまいがちだったのだが、そこに、人間もひとしく生きて死ぬだけという価値観をぽんっと放り込んでもらったので、ちょっと読み返しながら自分の物語を振り返ろうと思う。
Posted by ブクログ
50年前の最初のテレビ漫画のゲゲゲの鬼太郎は見た。実写版の悪魔くんもうっすら覚えている。昭和ヒトケタの父親が鬼太郎は面白いと云っていたなあ。
子供時分は、水木さんの絵は少し苦手だった。手塚さんや石ノ森さんの丸っこい描線が好きだった。今見ると、背景や妖怪の緻密な描写や点描の凄さに驚きつつ、人物、人間側の鬼太郎達の描き方と奇麗な女性やイケメンの描き方にギャップがあるなと思う。
4人の語り手が水木さんを解き明かす。境港での幼少期、食うや食わずの紙芝居描き、貸本時代。死地を彷徨った軍隊時代、幻想怪奇譚好きが水木さんを形づくったとのこと。
成程、改めて、この人は野放図な天才だと知ったよ。