外山滋比古のレビュー一覧
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「人生で大切なたったひとつのこと」
“Congratulations,by the way George Saunders”
著者 ジョージ・ソーンダーズ
訳者 外山滋比古・佐藤由紀
こちらは、著者のジョージ・ソーンダーズ氏が2013年5月11日、自ら教授を務めるニューヨーク州の名門校シラキュース大学教養学部の卒業式でスピーチされた内容が本となったものです。ユーモアたっぷりの短いスピーチ原文に、日本語訳がつけられていて、日本語と英語で味わえます。
『20分間の原稿を用意していたが、卒業式の二日前に8分間と聞かされ、余分なところを削り心から伝えたいことだけを話した』
著者のある時期の後悔についてふれ、心から伝えたいのはー「わたしが人生でもっとも後悔しているのは、「やさしさがたりなかった」ということです。」
それに対して、「いちばんに温かい気持ちで、もっとも好ましい人として覚えているのは誰ですか?」ー「あなたに対して誰よりも優しかった人でしょう、きっと。」ー
そして、二つの質問が投げられます。
(ネタバレになるので、控えます。)
「やさしいひとになる」ということを追求していった先で、『そして八十年後のある日、あなたが百歳、わたしが百三十四歳になり、わたしたちがみなうんざりするほどやさしく、愛情たっぷりになったら、わたしに短い手紙を書いて、あなたの人生がどうだったかを教えてください。とても素晴らしかったよ、と、あなたが書いてくることを願っています。』
と、ユーモアたっぷり語り、愛情たっぷりに締めくくられています。
凝縮された中に、著者の心からの、すべての世代の人たちに贈られた素敵なメッセージが詰まっています。スピーチには、相手への心からの想いが詰まっていますね。伝わるものがあります。
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あとがきの【復刊によせて】で、翻訳者の一人である佐藤由紀さんが、外山滋比古先生から
「日本人にとって、面白くてためになりそうな海外の本を翻訳しませんか?と提案され、「簡単に読み通せるから、これはいい。それに何度も読んで考えることができる」と、即断されたそうです。2016年に海竜社から出版され、2024年KADOKAWAから復刊された、「小さくて、とびきり幸せな本なのです。」。
素敵な本の復刊、ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
本当に 外山先生の本は 目から鱗がたくさん
もう少し若いうちに会いたかった本たち
今 この本を読んで 本当の日本語辞書が欲しいと痛切に思いました!外山先生のおっしゃってるようなものに近い辞書ってあるのでしょうか?
閑話休題
会社で社内向けにスピーチが時々ありました。
後から、回覧用に要約?文が関係部署から送られてきて、自分の話してる内容のダメさ加減にいつもウンザリしてました。 話し言葉、書き言葉は違うんだなぁと考えたんですが、先生の本から少しですが見えて来た事がありました。 いい歳ですが、もっと気づきを増やして、伝えてられる人になりたいと思わせていただきました。 -
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忘却の整理学
著:外山 滋比古
ちくま文庫 と-1-10
良書 わかりやすかった 覚えることと同様忘れることがいかに大切であるか、それが本書の主張です。
アンラーニングとして注目されている、”忘れる”
知の巨人、外山滋比古が、記憶との対で、忘却を扱ったもの。
蛇足ながら、盛岡の書店で「思考の整理学」のPOPを書いて、ベストセラーにつながった松本氏に解説をお願いしていること、外山氏のお人柄を感じることができました。
気になったのは、以下です。
・忘れてもよい。忘れっぽくても、よい頭はよい頭である。それどころか、新しいことを考えるには忘却の助けが必要である。
・博引傍証の記憶はすばらいい。ただ、忘れることのできる能力こそ大器の証である エルバート・ハッバード
・知ることを、ときに忘れることこそ喫緊である イギリス古諺
・思い出は人生の彩りであるが、忘却があってこそ人生は生きるにたえられるものになる。エンリコ・クラルドニ
■忘却の取捨選択
・正統の忘却は決して100%の亡失ではない。忘れるところと、記憶のままを残す部分とを区別する
・知識の記憶のみによって、個性を育むことはできない。知識も記憶も、そのままでは没個性的であり、超個性的である。
・忘却はひとりひとり独自の忘れ方をする点で個性的である
・忘却が個性化をすすめ、創造的はたらきの基盤であるのに目を向けないのは知的怠慢である。
・忘却は力である。忘却力は破壊的でなく、記憶力を支えて創造的はたらきをもっている。
■選択的記憶と選択的忘却
・忘却はまだらであって、画一的ではなく、選択的忘却ともいうべきものである
・別な言い方をすれば、人間の記憶は、生理的・心理的であって、物理的ではないということである
・人間の記憶は、生理的・心理的であるのに、コンピューターは物理的記憶である
■忘却は内助の功
・上達、進歩を支えるのは、後退、失敗の部分を除去する忘却のはたらきはきわめて大きい
・成功をのこし、不成功の部分だけを消滅させるのはまさに選択的忘却の面目躍如である
■記憶の変化・変貌
・記憶はそのまま古くなるのではない。忘却によって風化する
・イメージは美しいが、実物はそれほど美しくない。幻滅が起こる、思い出のところへは行かない方がよいということである
・思い出の世界では、対象を美化、拡大、増強する傾向が顕著であるのに対して、本当の夢はときとして醜悪の作用がはたらいているものが残っている。
・忘却がプラスに働くのに対して、記憶は、それを抑制するマイナスの作用をもっているのかもしれない
■いれたら出す
・入ってくるもの(Impression) が激増したのだから、それに見合う輩出能力(Expression)がないと、閉塞状況を招き、由々しきことになる。
・排出、排泄にとって主要なはたらきをするのが忘却である
・猛烈に学習する人、超多忙、たくさんのことを頭に入れる必要のある人はそれに見合うくらいに忘却力を強化し、善く忘れるように努力をしないと、精神の健康と活動は期待できない
・知と忘は、表裏一体なのではないか
■知的メタボリック症候群
・忘却はきわめて、人間的能力である。忘却は人間にしかできない
■記憶と忘却で編集される過去
・思い出の過去はまだらである
・ひとりひとりの思い出、思想の中の過去は、ナマの過去の固まったものではなく、主として忘却によって編集された、凹凸、まだら、様式化、つまり、作られた過去にすぎない
■ハイブリット思考
・知的過多症を元にもどすには2つの方法がある
①余分な価値の小さいと思われる知識・情報を捨てること
②思考によって知識を排除すること
・思考を増強することで、知識を削減するのである
■空腹時の頭はフル回転
・朝いちばんに考えよ、頭を使え
・中国の朝廷、朝,日が昇るのとともに開始されたという。それで、朝廷なのである
・頭の働きということから言えば、徹夜などもってのほかということになる
・洋の東西を問わず、断食が宗教上の修行として重視されてきたのも、その精神的効果の故であろう。断食には胃や腸の余剰物を取り除いて、臓器の機能を高めると同じように、心的清掃を行って精神を浄化する作用が認められてよい
■思考に最適 三上・三中
・三上 欧陽脩 馬上、枕上、厠上
・三中 入浴中、道中(散歩)、夢中・集中
■風を入れる
・原稿をねかせる 書きたいと思ったとき、しかも、締め切りは大分先である。圧迫感はなく自由にのびのび書くことができる。そうして、できた原稿を机の引き出しに納めて、締め切りを待ち、読み返した原稿を渡すという手順である
・唐代の詩人買島、僧推月下門 推すを敲くにするか、迷ったことを、推敲という
・原稿をねかせるのは、忘却の働きを促すということである。忘却は不要、不純、よけいなものを洗い落して純化、昇華させるかけがえのない作用をもっている
■スクリーニングが個性を作る
・忘却の多くが自動的で無自覚的である。
・忘れようと思わなくても、時がたてばたいていのことが忘れられる。
・忘れまいとしても忘れてしまうし、忘れたいと思っていても思うように忘れられないことも少なくない
・忘却は記憶よりも始末に悪く、思うようにならない
・忘却のスクリーンを何度も潜り抜けた記憶、追憶、思い出が多く甘美であるのは、不快、苦痛を伴う記憶はいちはやく消去されているからである
・忘却は、記憶を美化する働きがあるのかもしれない
■継続の危険性
・継続は力なり ということばを使う人がすくなくない
・ただやみくもに、続けているだけでは、力にならない。うまく続ける必要がある
・論語にいわく、学びて時に之を習う、また、説(よろこば)しからずや と。
・やはり、休みなく続けるのではなく、休み休み、忘れ忘れ、しながらゆっくり勉強しないと解することもできる
・継続は力なり 息抜きのない継続はときに危険なり、間歇的継続こそ真に力なりである。
■よく遊びよく学べ
・勉強ばかりで遊ばない子はバカになる
・勉強したら休み時間をとる、のでは順序が逆で、まず休んで、頭の中をきれいにしてから、勉強にする
・まず、忘却。そして、記憶。忘却してから記憶という順序になる。
・つねに忘却が先行しているのがのぞましい
■メモはしないほうが良い
・メモをとった話しは結局聴いたことにはならない
・聴いた話しをすべて、わがものにしようというのがよろしくない。半分わかれば上等、5分の1覚えていれば上々としなくてはいけない
・ノートを取らず聞いていると、その瞬間に重要なこととそうでない部分を区別して、どうでもいいことは忘れ、大事なことの方を頭に納めるということをしているのだと想像される
■絶対語感と、3つ子の魂
・ネクタイを或時結べなくなった。が、手が思い出したらしく、勝手に動いたのである。
・頭が覚えていたのではなく、手が覚えていた
■頭の働きを良くする
・やはり忘却が先行する
・まず、頭を整理する。それが忘却であるが、任意に意図的に忘れることは難しく、自然に、つまり時間をかけて、不要なものの破棄の行われるのを待つ
<結論>
・われわれは自分の頭を良くすることはできないと思っている。
・しかし、頭の働きを良くすることは可能である
・頭を良くすることができなくても、頭の中をきれいに、冴えたものにすることは不可能ではない
・忘却はそのもっとも有効な手段である
・ものを考えようとするすべての人は、忘却の価値をはっきり認めなくてはならない。
目次
まえがき
Ⅰ
忘却とは
選択的記憶と選択的忘却
忘却は内助の功
記憶の変化・変貌
入れたら出す
知的メタボリック症候群
思考力のリハビリ
記憶と忘却で編集される過去
ハイブリッド思考
Ⅱ
空腹時の頭はフル回転
思考に最適 三上・三中
感情のガス抜き
風を入れる
カタルシスは忘却
スクリーニングが個性を作る
継続の危険性
解釈の味方
Ⅲ
よく遊びよく学べ
一夜漬けの功罪
メモはしないほうが良い
思い出はみな美しい
ひとつでは多すぎる
〝絶対語感〞と三つ子の魂
無敵は大敵
頭の働きを良くする
あとがき
解説 松本大介
ISBN:9784480438706
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:224ページ
定価:680円(本体)
発売日:2023年03月10日第1刷 -
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ことばの教養
著:外山 滋比古
紙版
中公文庫
おもしろかった。
日本人にとって、複雑になってしまった日本語について語るエッセイ集
■心を伝える
・日本のことばはまず目で話す。そして、そのあと、口でも話すようになっている。
・だから、電話のように、目がきかないと、パンドラの箱のようにいろいろな間違いを飛び出させる
・いま、NHKのアナウンサーは一分間に300字くらいの速さで原稿を読んでいる
・このごろの人気タレントを注意してごらんなさい。たいていが早口ですよ。
・逆にゆっくりした話し方をしようと心掛けているが、もともとが早口のせいもあって、なかなかうまく行かない。
・わかものは年寄り以上に言葉にうるさいことがこの調査にもはっきり出ている
・わかものの中にことばの老人が住んでいるらしい。保守的である。他人が傷つけまいとする気持ちがつよい
・センテンス(文)の終わりは、句点(マル)、句や節の終わりは読点(テン)をつける
・学校でそう教わって、その通りにしてきたが、やがて、はっきりきめられないこともあることに気が付くようになった。
・センテンスであっても、意味が大きく次へ流れるようなときには、マルでなくテンを使うことが多くなった
・「…と思います」が悪文であることはたしかだ。
・電話は便利だと思っている人たちはすこし誤解している。
・かける側には、簡便である。
・かけられる側はありがたくないことが多い
・手紙で人と付き合うコツは、こまめに返事を書くことにつきる
・こまめ、というのは、すぐということである
・ふみの友、というのは、双方が返事を出す心がけさえ失わなければ、いつまでも続くのである
・年賀状にコピーを送る人はないが、添え書きのまったくないのは、コピーより悪いかもしれない
・かといって、すべてに添え書きできるとは限らない。へたに書いてはまずいような公的な相手もある
■諸家の書簡
・スペインのことわざに、「どういう人間といっしょに暮らしているかを告げよ、しからば、君がいかなる人物かを言い当てよう」、というのがある。
・怠惰は弱き心をもてるものの隠れ家にすぎない
・今の人のことを軽蔑した口ぶりで語ってはいけない。古人のことをやたらにありがたがってもいけない
・乃木将軍、夫人の辞世の句
うつし世を神さりましし大君の、みあとしたひてわれはゆくなり
・出てましてかへります日のなしときく、けふの御幸に逢ふそかなしき
■読書の愉しみ
・本があまりにもたくさん出るので、落ち着いていられないのかも知れない
・追い立てられるように、あわただしくつぎつぎ読む。
・読んだ本がその場でわかってしまわないと承知しない、せっかち読者である
・ささやかな読書歴を振り返ってみても、本当に影響を受けたと思うのは、たいてい、はじめはよくわからなかった本である。
・わかれば安心してすぐ忘れる
・わからぬからいつまでも心にかかって忘れない、反芻しているうちに、だんだん心の深部に達するようになるである。
・三上 馬上、枕上、厠上
・ヨーロッパに「名著を読んだら著者に会うな」ということわざがある
■読書のヒント
・禅でいう、啐啄(そくたく)の機、孵化する卵を親鳥がつついて殻を破ってやる。このタイミングを誤ると雛は死んでしまう
・日本ではじめての普通語辞書「言海」をつくったのは大槻文彦である
・明治20年代の日本は外国に対して恥ずかしくない近代国家の形をととのえるのに、追われていた。まず何が必要か。
・憲法、中央銀行、国語辞書。近代国家に欠かせない、政治、経済、文化の柱となる仕事である。という認識があった。
・言海は明治初年のナショナリズムを母体として生まれた
・本を読むのもつきあいなら、一度だけで本当のところはわかりにくい。
・おりにふれて旧交をあたためる。
・長年親しんでいるはじめてわかる本がある。
・読書百遍意おのずから通ず。
・世の中があわただしくなったが、本とのつきないは静かに深くありたい。
・やはり、おもしろくなくてはいけない。
・おもしろいというのは、おもしろおかしいのと同じではない
・いまの世の中には本当におもしろい本にめぐり合うことは昔に比べて本が多くなっているだけに困難である。
・真の良書、掛け値なしにおもしろい本は、どれかということを今ほど問われている時代はないと言ってよい
・教育はある程度の権威を前提とする
・権威とは権力をふるって威張ることではない
・尊敬に値いすると思われる存在にはいくらそっとしていてもおのづから権威がそなわる
■ことばと文章
・文章料理の上達には、休ませないことだ。毎日つくる、つまり、毎日書く。
・欲を言えば、ほめてくれる人が身近にあるといい
・ある老詩人が、自分を育ててくれたのは、ほめられたことばであると告白している。
・日本人はつよいことばをはばかる。
・敬語をやかましく言うのも当然だ
・皮肉なことに、われわれ自身そのことを忘れがちである
・手紙より電話のほうが多くなるのは、現代が相手のことを考えなくなったためであろう
目次
1 心を伝える
2 諸家の書簡
3 読書の愉しみ
4 読書のヒント
5 ことばと文章
あとがき
ISBN:9784122050648
出版社:中央公論新社
判型:文庫
ページ数:240ページ
定価:571円(本体)
発行年月日:2008年10月
発売日:2008年10月25日初版
発売日:2010年07月20日再版 -
Posted by ブクログ
断捨離してなぜか本棚に残した本の消費、はじめの記念すべき1さつ目です。
著者のエッセイの抜粋をかいつまんでテンポ良く読むことができ、気に入った。2017年発刊で6年以上前のもので少し古くなったが、暮らしを良くするための箴言集として良いと思った。早歩きの散歩や朝活やシエスタとまではいかないが昼寝、3人以上のたわいないおしゃべりや、読書をとばして読んで、という部分を取り入れたい。あとはいま30代なので、50歳からの後半30年ではライフワークをするかなにか節目で切り替えて仕事したいです。
3度4度読む本が2、3冊あれば読書家とのことです。これを、そうしようと思う。 -
Posted by ブクログ
いろんな本を乱読:めちゃくちゃに読んでいると、セレンディピティ:思いがけない発見があるという教えです。
気の向いた本を、手当たりしだいに読むのは、たのしいが、それだけでなく、おもしろい発見もある
知的刺激ということからすれば乱読にまさるものは少ないようである
妙に力を入れるのではなく、風のように読むのが面白い
乱読はおもしろい
気になったのは以下です。
・自分のことを振り返ってみても、人から本をもらうのは、ありがたさ五分、めいわく五分ということが多い
・人と交わるには遠くの人がいい
・本は買って読むべきである、もらった本はありがたくない
・自分の目で選んで、自分のカネで買ってきた本は、自分にとって、タダで借り出してきた本より、ずっと重い意味をもっている。
・あわただしく読んで、あわただしくまとめたような書評が正鵠を射るということはまずありえないだろう
・手当たり次第、本を買って、読む。読めないものは投げ出す。身ゼニを切って買ったものだ。どうしようと、自由である。
・本の少ない昔は考えにくいことだが、本があふれるいまの時代、もっともおもしろい読書法は乱読である
・わかりにくい翻訳書が読みやすい啓蒙書以上に人気があったのは、よくわからないからである。おもしろくないからである。翻訳者自身もはっきりわかっているかどうか疑わしい翻訳である。
・かくされているから好奇心をそそられる。白日のもとにさらしてみれば、目をすむけたくなる。危ないのがおもしろい。安全、健全なものは退屈に決まっている。
・義務感がいけない。押し付けられているのがいけない。
・おもしろい本とためになる本があれば、たいてい、おもしろい本が悪書、ためになる本は良書となる。
・日本語では音読できても意味の分からないことはいくらでもある
・悪文、難解文をそれとも知らずに読む社会にすぐれた読書文化ができるわけがない
・わからない本を何度も何度も読んでいれば、本当にわかるようになるのか。わかる、のではなく、わかったような気がするのである。とにかく、何度も読めるのは、どこかおもしろいからである。
・実際に何度も繰り返して読む本が5冊や7冊もあれば、りっぱである。
・本は読み捨てでかまわない。本を読んだら、忘れるにまかせる
・知識はすべて借りものである。頭のはたらきによる思考は自力による
・本を読んでものを知り、賢くなったように見えても、本当の人間力がそなわっていないことが多い。
・年を取る前に、知的無能になってしまうのは、独創力に欠けているためである。知識は化石みたいなもの。それに対して思考は生きている。
・書くことばよりも話すことばの方が、大きな意味をもっていることが納得される
・速く読むのは雑になりやすい。きめ細かいところは読み取ることができない
・外国語を読むのは難業である。読むとはいうが、速度がのろくて、読むというより解読といった方が当たる。
・やみくもに速いのはいけないが、熟読吟味はよろしい、のろのろしていては生きた意味をくみとることはおぼつかない。本は風のごとく読むのがよい。
・われわれは、だれしも、自分はものが読める、読書の能力がると思っているが、多くは思い込みで、本当に読める人はごく少ない。
・読む側があらかじめ知識をもっているときの読み方、これをアルファ読みと呼ぶことにする
・内容、意味は解らない文章の読み方で、これをベータ読みと呼ぶことにする。 すべての読みはこの2つのどちらかになる。
・乱読ができのは、ベータ読みのできる人である。アルファ読みだけでは乱読はできても、解読はできない。
・とにかく小さな分野の中にこもらないことだ。
・いろいろなジャンルの本を興味にまかせて読んでいく。ひとつの専門にたてこもっていると、専門バカになるおそれがあるけれど、乱読なら、そうはならない。
・それどころか、専門主義、些末主義が見落とししてきた大きな宝をとらえることが可能である。
・全部読み通す必要はない。
・失敗を恐れない―それが乱読に必要な覚悟である
・セレンディピティ:思いがけないことを発見する能力。思わぬ失敗が大発見につながった時に使われる。ケガの功名。
・乱読本は読むものに、化学的影響を与える。全体としてはおもしろくなくても、部分的に化学反応をおこして熱くなる、発見のチャンスがある
・昔からケガの功名というが、セレンディピティは失敗、間違いの功名である。
・寺田寅彦は、頭のよい科学者と頭のよくない科学者を、足の速い旅人とのろい旅人に擬してそれぞれの特質を明らかにしている
頭のいい人は富士山のふもとまで来ると満足して帰ってしまうが、
頭のよくない人はとにかく登る。登ってみないとわからないことを発見することができる。
足の速い人はひたすら先へ進むことのみを考えて脇目もふらない
足ののろい人はあとからゆっくりやってきて、俊足の見逃した花を見つける
・乱読のよいところは、速く読むことである。専門、あるいは知識を得るための読書は知らず知らずのうちに、遅読になりやすい
・読み飛ばしたって、心にひびくところは消えたりしない、ということがわかって、ノートをとりながらの読書はやめた。
・あてもなく、いろいろな本を読んだ。
・突如、編集は料理に似た加工であるというアイデアがひらめいた。そうだ、思わず声をあげた。料理人も編集に近いことをしているのではないかと思ったのである。
・文学史をいろいろ読んでいると、おかしいことに気づく
・どうして同時代のテクスト、稿本が残らなかったのか。
・すべての稿本が亡くなってしまったのは、火災などによるものではなく、もっと怖ろしい破壊力を持つ価値の革命があったと想像する方が合理的である。
・鎌倉期においてそういう革命がおこり、それまでのテクストをすべて葬り去った。その代わりに新しいバージョン、テクストが生まれ、それが現在まで生きてきた。そう考えることも、可能だる。
・30年くらいたつと、文化的状況が一変する。1世代、30年たつと、知的風土がほぼ完全に刷新される
・いくら知識がふえても、どんどんわすれていけば、過剰になる心配はない
・美しい回想は記憶と忘却のはたらきによるというのが新しい忘却の美学である。
目次
文庫版のためのまえがき
1 本はやらない
2 悪書が良書を駆逐する?
3 読書百遍神話
4 読むべし、読まれるべし
5 風のごとく
6 乱読の意義
7 セレンディピティ
8 『修辞的残像』まで
9 読者の存在
10 エディターシップ
11 母国語発見
12 古典の誕生
13 乱談の活力
14 忘却の美学
15 散歩開眼
16 朝の思想
あとがき
ISBN:9784594075583
出版社:扶桑社
判型:文庫
ページ数:232ページ
定価:580円(本体)
発行年月日:2016年10月
発売日:2016年10月10日初版第1刷
発売日:2018年11月30日初版第9刷 -
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思いを伝えるための文章には、心がこもっていないといけない。
その思いを伝えるための方法を述べたのが本書である。
気になったのは以下になります。
■文章とは料理のようなものである
・相手あっての文章という考えに立つと、文章は料理のようなものだということがわかる。
・まず、食べられなければならない。何を言っているのか、わからない。これでは料理にならない。
・誤字脱字当て字が多いと言われる。ごはんの中に石がはいっているようなもので、石が歯にカチットあたるのはたいへん気になる。
・ある程度、栄養があり、ハラもふくれないといけない。いくら表現にこってみても、中身がなくては困る。何をいっているのかが、読む側にはっきり伝わり、なるほどと納得するのがいい文章となる。
・おもしろさ、とは、相手の関心をひくもの、読まずにはいられない、放ってはおかれないという気持ちを読む人に与えるもの。
・文章は料理のように、おいしく、つまり、おもしろくなくては話にならない。
■短い文章を書くほど難しい
・つくづく短い文章は恐ろしいと思うようになった。
・いまの社会は多忙で、同じことなら手短にしてくれという。長い文章より、簡潔な表現がこのまれる。それは読む側の都合であって、書く方からしてみれば、短文というものは実にやっかいなものなのである。
・(文章)修業の第一の心得はたゆまず、すこしずつやること。一度にまとめてするより、小刻みにした方がよろしい。
・読まないでは、書くことはできない。何度も読んでみる。言葉に出して読んでみる。
・句読点をおろそかにしていては上達しない
・電話は推敲ができない。いったん口をついて出たことばはもうひっこめられない。
■書くとおもったときに書くのが一番いい
・寺田虎彦は、締め切りはまだ先なのに、すぐ書いてしまう。締め切りまでのばしてもいいものが書けるとはかぎらない。むしろ、書いてみたいという気持ちの起こっているそのときがもっともいい時期かもしれない。
・そうして書き上げたのを引き出しに入れておいて、締切の直前になって出してきて、手を入れて依頼者に渡していた。
・テーマは依頼をうけてから考えてはいけない。おもしろい考えが浮かんできたら、忘れないように、手帳かノートに書き留めておいく。いったん消えると二度と姿をあらわしてくれない。
・他人にはいわないこと。自分ではいい考えだと思うことはあっても、他人からつまらぬといわれると出鼻をくじかれ、書く張り合いがなくなってしまう。
・テーマを絞るとき、考えつくことを全部紙に書き出してみるといいようだ。
・時間をかけてていねいに書こうとする。よくない。これがあだになる。清水幾太郎氏も、速く書かなければいけないことを教えている。
・いい文章を書こうとおもったら、信用できる辞書を手元に置くことだ。
■上手な文章を書く秘訣
・文章に上達するにはとにかく書いてみることである。
・よくわかる文は、主語と動詞が一つずつである。そうすれば、自然、センテンスが短くもなる。
・題をつける。題だけでなく、パラグラフ(段落)ごとに、小見出しをつける練習をすると筋道のはっきりした文章が書けるようになる。
・おもしろくないところ、それは、同じことばがすぐ近くで重ねて出てくるところである。
・文の終わりが同じ「た」とか「る」とかで終わらないように気をつけるだけでも、文章は目だって読みやすくなる。
・前後の文章を結びつける論理的接続詞を乱用しないようにすると文章がよくなる。
・かざりの言葉が多すぎる。形容詞や副詞を乱用しない。かざりをすくなくすることは、ことばの生地の美しさを見せることにもなる。
■手紙(≒メール)の心得
・今日できることを明日にのばすな。
・あとで返事をするには、もう一度読み返さなくてはならない。その場で返事をするならその手間が省ける。
・時間がたてばたつほど、書きにくくなるのが手紙である。
・後でだすなら、あらましのことを書いておく。あらためて書くよりも思い出すのに苦にならない。
・手紙を書くには、相手を思いやる心がないといけない。手紙を書くには、手紙の心が必要である。
・人によって文体をかえる。①あらたまった言い方、②標準の言い方、③くだけた言い方、3つのスタイルを用意する。
目次
第1章 文章を書くこころとは
第2章 文章を書く前に―準備しておくべきこと
第3章 上手な文章を書く秘訣
第4章 味わい深い文章にするための心得
第5章 心を伝える手紙の心得
第6章 手紙にあふれた思い―先人の書簡より
あとがき
ISBN:9784569567358
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:224ページ
定価:448円(本体)
発行年月日:1995年2月15日 第1版第1刷 -
Posted by ブクログ
「こうやって、考える。」の続編。前者が発想力が身につく150のヒントに対して、こちらは、柔軟な視点を養う150のヒントである。
本屋でとなりにあったので、一緒に求める。表紙の絵がシリーズとして似ているのが嬉しい。ならべると背表紙で絵ができるような感覚。
同じく190頁たらずで、行きと帰りの電車で2冊ともよめてしまう気軽さ。
本書はこれまでの著作の中から、「柔軟にものごとを見るヒント」となるような箇所を抜粋して、一冊の本にまとめたものである。とある。
気になった点は以下です。
・「頭の中のよぶんなものを捨てる」
勉強すると、頭はわるくなる。知れば知るほど、バカになる
・「記録したら、すぐ忘れる」
むやみと記録し、たちまち忘却のなかへ棄てさる
・「いやなことは、すぐ忘れる」
とにかく悪いことは、なるべく、すぐに忘れることである。それには、新しいことを夢中ですることだ。
・「ふえすぎた知識は、ゴミ出しする」
ふえすぎた知識は捨てなくてはならない。知識はゴミではないが、ありすぎて、あふれるようになればゴミと同然です。
・「単なる記憶は役に立たない」
記憶はもともとそんなに頭がよくないから、忘却に助けられない記憶はあまり役にたたない。
・「知っただけで満足しない」
記憶は知識をふやすが、知識そのものは新しいものを生み出さない
・「忙しくても昼寝する」
本ばかり読むのは能ではない。忙しくても、昼寝する。そうすれば、自然に頭が整理され、よくはたらくようになり、りっぱな成果を収めることができる。
・「忙しいほうが、よく仕事ができる」
仕事が多くなれば、仕事が早くなり、案外時間があまる。
・「わかったつもりにならない」
人々は目に比喩と抽象というメガネをかけて現実を見る。都合のわるい現象は目に入らない。
・「新しいものは嫌われる」
すぐれていても新しいものは嫌忌されやすい。天才が故郷に容れられないのもそのためである。
・「流れる水は腐らない」
静水は悪化しやすく、動水はいつまでも生きている
・「立ち聞き、のぞきがもたらすもの」
わからないことづくめを、なんとかわかったと思うようになるまでもっていくのが人間の知力で、それによって人間は進化してきた。
・「木を見て森も見る」
細部をしっかりとらえるには、全体をどのように見ているかの方法論が、たとえ、表面には出てなくても、無意識のうちには存在しなくてはならないだろう。
・「あてもない旅をする」
あてもない旅をするのは、不自然なことであるが、その非実用性が人間の精神形成に役立つものであることを見逃してはならない。
・「おもしろいことは忘れられない」
おもしろいことは、正しいことより、生命力がつよい。おもしろいことは忘れられにくい。
・「ムダを目の敵にしない」
芸術はムダの中から生まれるぜいたくな花である。ムダが文化であることを、もう一度見直すべきであろう
・「毎日書く」
文章料理の上達には、休まないことだ。毎日つくる。つまり毎日書く。毎日書いていれば、ある程度まではうまくなる。
・「書いたあとは耳で読む」
書き上げた原稿を声にだして読み返してみると、いろいろな不備に気づく。
・「骨をもった文章を」
明快な文章を、というのは、ただ、わかりやすければいいというのとはすこし違う。明快は文章は骨をもっていなくてはならない。筋道が通っている必要がある。つまり論理的であって、しかも、わかりやすい、それが明快な文章ということになる。
・「人の話は最後まで聞く」
言論を大切にするのだったら、相手の意見をかりに考えを異にしても、じっと最後まで聞く度量がなくてはならない。
目次
はじめに
第1章 余裕のあるアタマをつくる
第2章 常識から自由になる
第3章 わからないことは放っておけ
第4章 ひらめきを生む習慣
第5章 日本語をしなやかに使う
第6章 アウトプットもやわらかく
第7章 自由自在に生きるコツ
出典一覧 -
Posted by ブクログ
2022/09/12
さらっと短い時間で読める外山さんの言葉や生き方についての知恵が詰まった本。
さらっと読めるけど、一回読んだだけではこの本の内容を理解して自分なりに消化することができるまでには時間がかかりそうな感じがどの文章からも漂っています。
言葉とともに生きてきて、それをどのように扱うかとか色々なことに思考を巡らせていた外山さんだからこそ書くことができるわかりやすさも兼ね備えた噛みごたえのある文章。
それぞれの話には外山さん自身が今までの人生を生きる中で抱いてきた疑問とそれをどのように解決しようとしてどのように思考したのか、その結果どう言うところに辿り着いたのかまでが例を交えて述べられています。
何回も気になるところを読み返して自分の中に落とし込んでいきたいなと思わされる話がたくさん掲載されています。 -
Posted by ブクログ
生活の上に思考がある。徹夜で勉強が偉いような風潮があるが、愚の骨頂。
人間的価値は生活から。人間は生活があるから人間、知識がいくらあっても生活のない人は価値が小さい。
知識そのものは無力、生活の中で使用してこそ。
生活の乏しい知識人間は知識のものぐされ。
書くと忘れる。忘れた方が良いことは書け。
あとがきがまた秀逸。
「歳をとり忘れっぽくなることを嘆くなかれ、日々新しく前進すると考えたい。老年、恐れるに足らず、の心境になれば人生は明るくたのしいものになりうる。
でも他人に自分の考えを押し付けるつもりはない。一人の人間の愚直な考えを開けっぴろげに披露した。」
何て素敵なお方! と思ってウィキペディア見たら、昨年お亡くなりになられてた。。。
でも、先生の素晴らしいお考えは書物として残り、今後も私たちの人生の指針となるはず。他のご本も読ませていただこう。
「リンゴも人生もキズがあるほど甘くなる 」(幻冬舎 2014)なんて、タイトル見ただけで読みたくなる!