外山滋比古のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
近頃頭がごちゃごちゃするなと思い読むに至る。社会と思考の変化や、著者の実践、思考に対する向き合い方など、色々な方向から思考について書かれていて、ためになる章が必ずどこかにあるように思う。
僕が特に面白いと思ったのは思考自体に個性が宿るとする考え方。T.S.エリオットという方の触媒を使ったアナロジーでは、詩において個人の感情や個性を表現するという常識から脱却するべきだという意志が表されている。詩人は”個性という物質”を使って”個性的な化合物”を作るのではなく、触媒のように、普通なら反応しない物事を反応させるように詩を作るべきであり、その反応のさせ方にこそ個性が宿るのだと。そこから筆者は、忘却をよ