「人間は考える葦である」と言ったのは、フランスの哲学者パスカルである。人間という生き物は葦のように脆弱であるが、考えること、思考できる偉大さがあるという意味だ。それだけ思考には意味があり、武器となる。しかし武器である以上磨かなければ意味がない。日ごろの点検整備を行なって、いつでも使えるよう整えることで初めて有効となる。本書は思考の整備、整理を行うための実例を述べた本である。
東大で一番読まれた本という文言に惹かれてしまった。「いっちょ頭の良い人の頭の中はどうなってるのか覗いてみっか」という軽いノリで手に取ってしまった。読んでみてある意味で、思考という概念の枠組みを作り直す試みであった。これをリフレーミングと言う。思考とはなんとなく行なっている人が多い。思考の全てを言語化はできない。しかし、方法を決めることはできる。なんとなくで発生していた思考を意図的にコントロールするものと定義する。そして、その方法を試行するのである。そう言った意味で、読む前と後では、思考自体の枠組みが変わっているだろう。
さて、手元に飲み物を用意して欲しい。できるだけ熱々のものを。茶菓子もあれば尚良しである。個人的なおすすめは、三重県伊勢市創業の名物・へんば餅である。ふっくらもちもちの生地にこし餡が包まれている。餡は甘すぎず、舌触りが滑らかで非常に美味しい。餅といえば緑茶であるが、へんば餅には香りの強いほうじ茶が特に合う。
では、冒頭で述べた哲学者は誰だったか思い出してほしい。もちろん上にスクロールせずにである。用語の説明や、美味しい餅菓子の解説を挟んだことで、多くの人が「誰だっけ?」となるであろう。少なくとも私が同じことをされたら、注意書きの制止を振り切り、画面をスクロールする。これは、人間に「忘れる」という機能があるために起きる。私たちは意図せず、記憶を忘却させる。それは必要だから起きるのだ。良い運動をするのために良質な食事が必要となるように、良い思考のためには忘れることが必要である。より純度の高い思考を行うために、私たちは忘れるのだ。