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手紙、原稿、論文……日常生活の中で、文章を書かねばならない場面は多い。知的で味わい深く、自分の考えをうまく伝える文章を綴るには、何を心がければよいのか。本書は、エッセイの名手として知られる著者が、書く前の準備、上手な文章にするための心得、手紙のコツなど、文章上達のための基本を披露する。書くことへの苦手意識がいつの間にかなくなる、親身のアドバイス満載の書。
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Posted by ブクログ
思いを伝えるための文章には、心がこもっていないといけない。 その思いを伝えるための方法を述べたのが本書である。 気になったのは以下になります。 ■文章とは料理のようなものである ・相手あっての文章という考えに立つと、文章は料理のようなものだということがわかる。 ・まず、食べられなければならない...続きを読む。何を言っているのか、わからない。これでは料理にならない。 ・誤字脱字当て字が多いと言われる。ごはんの中に石がはいっているようなもので、石が歯にカチットあたるのはたいへん気になる。 ・ある程度、栄養があり、ハラもふくれないといけない。いくら表現にこってみても、中身がなくては困る。何をいっているのかが、読む側にはっきり伝わり、なるほどと納得するのがいい文章となる。 ・おもしろさ、とは、相手の関心をひくもの、読まずにはいられない、放ってはおかれないという気持ちを読む人に与えるもの。 ・文章は料理のように、おいしく、つまり、おもしろくなくては話にならない。 ■短い文章を書くほど難しい ・つくづく短い文章は恐ろしいと思うようになった。 ・いまの社会は多忙で、同じことなら手短にしてくれという。長い文章より、簡潔な表現がこのまれる。それは読む側の都合であって、書く方からしてみれば、短文というものは実にやっかいなものなのである。 ・(文章)修業の第一の心得はたゆまず、すこしずつやること。一度にまとめてするより、小刻みにした方がよろしい。 ・読まないでは、書くことはできない。何度も読んでみる。言葉に出して読んでみる。 ・句読点をおろそかにしていては上達しない ・電話は推敲ができない。いったん口をついて出たことばはもうひっこめられない。 ■書くとおもったときに書くのが一番いい ・寺田虎彦は、締め切りはまだ先なのに、すぐ書いてしまう。締め切りまでのばしてもいいものが書けるとはかぎらない。むしろ、書いてみたいという気持ちの起こっているそのときがもっともいい時期かもしれない。 ・そうして書き上げたのを引き出しに入れておいて、締切の直前になって出してきて、手を入れて依頼者に渡していた。 ・テーマは依頼をうけてから考えてはいけない。おもしろい考えが浮かんできたら、忘れないように、手帳かノートに書き留めておいく。いったん消えると二度と姿をあらわしてくれない。 ・他人にはいわないこと。自分ではいい考えだと思うことはあっても、他人からつまらぬといわれると出鼻をくじかれ、書く張り合いがなくなってしまう。 ・テーマを絞るとき、考えつくことを全部紙に書き出してみるといいようだ。 ・時間をかけてていねいに書こうとする。よくない。これがあだになる。清水幾太郎氏も、速く書かなければいけないことを教えている。 ・いい文章を書こうとおもったら、信用できる辞書を手元に置くことだ。 ■上手な文章を書く秘訣 ・文章に上達するにはとにかく書いてみることである。 ・よくわかる文は、主語と動詞が一つずつである。そうすれば、自然、センテンスが短くもなる。 ・題をつける。題だけでなく、パラグラフ(段落)ごとに、小見出しをつける練習をすると筋道のはっきりした文章が書けるようになる。 ・おもしろくないところ、それは、同じことばがすぐ近くで重ねて出てくるところである。 ・文の終わりが同じ「た」とか「る」とかで終わらないように気をつけるだけでも、文章は目だって読みやすくなる。 ・前後の文章を結びつける論理的接続詞を乱用しないようにすると文章がよくなる。 ・かざりの言葉が多すぎる。形容詞や副詞を乱用しない。かざりをすくなくすることは、ことばの生地の美しさを見せることにもなる。 ■手紙(≒メール)の心得 ・今日できることを明日にのばすな。 ・あとで返事をするには、もう一度読み返さなくてはならない。その場で返事をするならその手間が省ける。 ・時間がたてばたつほど、書きにくくなるのが手紙である。 ・後でだすなら、あらましのことを書いておく。あらためて書くよりも思い出すのに苦にならない。 ・手紙を書くには、相手を思いやる心がないといけない。手紙を書くには、手紙の心が必要である。 ・人によって文体をかえる。①あらたまった言い方、②標準の言い方、③くだけた言い方、3つのスタイルを用意する。 目次 第1章 文章を書くこころとは 第2章 文章を書く前に―準備しておくべきこと 第3章 上手な文章を書く秘訣 第4章 味わい深い文章にするための心得 第5章 心を伝える手紙の心得 第6章 手紙にあふれた思い―先人の書簡より あとがき ISBN:9784569567358 出版社:PHP研究所 判型:文庫 ページ数:224ページ 定価:448円(本体) 発行年月日:1995年2月15日 第1版第1刷
前回読んだときに何も感想を書いていなかったようなので、再読した今回、感想をメモしておきます。 外山さんの本は、どれも読みやすいのがいいですね。文体がそれほど難しくなく、主張もはっきりしています。今回は、文章を書くということについて、いろいろ思いを語っています。 現代人も、筆や万年筆はあまり...続きを読む使わなくなりましたが、パソコンやスマホで、相当文章を入力しているのは間違いありません。ある意味では、昔の人よりも、文字を書いている(入力している)かも知れません。 しかし、文章を書くための道具が変わったように、文章を書く心持ちもずいぶん変わってしまったように感じました。 前半、第4章までは、文章を書くための秘訣や心得が書かれています。特に、第四章はテクニック的に参考になることが多く書かれています。 後半の第5章、6章は手紙について。これを読むと、現代人の書く文章がいかに変わってしまったか、実感することができると思います。 私自身もそうですが、別に文章を書くことを生業としていない人でも、参考になることが多いと思います。特に、今は年賀状をしたためている人も多いでしょうから、ちょっと読んでおくことをお薦めします。(2014/12/30)
このところしばらく外山滋比古さんの本が好き。別に小説家になりたいわけでもなければ、日常的に文章を書く機会なんかこうやって読書感想文を書くくらいのもの。だけれどこの本を見つけたとき、外山さんのように凛とした文章を書く人が普段どんなことに気を配っているのか知りたいなあと思って手に取り、興味深く読んだ。...続きを読む 印象に残ったのは、本文中で外山さん自身も述べられている通り、ひとつひとつの文章の短さ。小説なんかを読んでいると稀に見かける、形容詞や接続詞が多用されるあまり「次の読点はまだか〜」と待ち遠しくなってしまうような長い文章は、ひとつもない。スピーチにしろ、原稿にしろ、長いものより短いものを用意する方がよっぽど大変と外山さんは言う。わたし自身よく経験するけれど、ダラダラと書いたり話したりしているといつの間にか向かっている方向が不明瞭になって、容量を得なくなってしまう。ずっとしゃべり続けることはできる。でもその結果、相手に内容がしっかり伝わったかが定かでないのなら、その会話にどれほどの意味があるのだろう。主婦ライフにおいては内容があるんだかないんだかわからないような世間話も非常に大切(むしろ時にそれがあるから生きていけると思うくらい大切)だけれど、主旨を端的に伝える訓練もしていきたい。 そういえば文中で、「文章の書き方」みたいな本をいくら読んだところで、実際にたくさん文章を書いてみないことには上達するはずもないから、とりあえずひたすら書きまくれ、という内容のことが書いてある箇所があった。おっと、ちょうど今「文章の書き方」みたいな本を読んでいたわ、、、と我に返って、ちょっと笑った。何をもって上達と言えるかわからないけれど、幸い、こうやって日常的にあれやこれやと文章を書くことが楽しくて仕方ない性格なので、外山さんの言葉を胸にこれからも細々と続けていこうと思う。
自分と自分の文通 文章は料理のように とにかく書いてみよ 話は中途から 書きたいことをまず書いて肉付けしよう!
『読書百編、意自から通ず』 その時は意味がわからなくても、何度も繰り返し読むことで身に入る。ここで大事なのは声に出して(頭の中でもいい)読むことだ。いつか意味が分かるようになった時、それは自分のものになっている。美しい文章の書き方も読むことで身につく。これは他の著書でも書いていた。著者が伝えたい大事...続きを読むなことなのだろう。 文章にもトレンドがある。句読点の付け方や段落の付け方は時代とともに変化していくものらしい。古文とまでいかなくとも10年ほどで変化するというから面白い。 文章のトレンドと同じく言葉にも新しいことが古い言葉がある。作家は古いものを好む。なぜなら新しい言葉は消えてしまうから。 あとがきに、この本は3回改良して出版されたと書いてある。今回は第6章として先人たちの手紙の話が追加された。しかし恥ずかしい話、文章が難しくて読むことができなかった。 この本を読むと手紙が書きたくなる。文章に大切なのは心。技術は心を伝えるためにあるのである。
「文章を書くこころ」4 著者 外山滋比古 出版 PHP文庫 p154より引用 “自分の書いた文章がなだらかに読めないようでは、 他人が読んでわかりやすいわけがない。” 英文学者である著者による、 文章を書く為の方法をまとめた一冊。 文章を書く心のあり方から、 偉人達の送りあった書簡の紹介まで、...続きを読む 具体的な方法と共に記されています。 上記の引用は、 第四章の締めの一文。 私の場合、 文章の前の段階である手書きの文字に、 この引用があてはまってしまいます。 時々走り書きのメモなどは、 何を考えて書いたのか分からない物が出てきてしまいます。 p43“足りないのは才能ではなく、精進と努力である。”と、 著者の言うとおり私の精進が足りないだけですが。 この読書録を書き始めてしばらく経ちますが、 私の文章は少しは読みやすくなっているのでしょうか? とりあえず自画自賛しながら続けたいと思います。 文章を書くのが苦手な方に。 ーーーーー
文章を書く上での心得。難しいことは何も書いていない。ふだん、文章をよく書く人も書かない人も、読めば何かしら得るものがあるはず。
エッセイなどの文章を書くためのテクニックや、手紙を書くときの心構えを、やさしく説いた本です。 著者は英文学の教授ですが、エッセイの名手として知られています。本書の文章自体も、平易で滋味深い語り口で書かれており、さすがだと思わされました。
思考の整理学の著者が書いていたので手に取った。「文章を書く」ことについて外山先生がこれまで心がけてきたことを書いている。シンプルに締まった文章、味わい深い文章、とは。時に日本語の特徴を踏まえながら、また新聞の投書や手紙を例に出しながら綴っている。 文を書くことを楽しんでいる方なのだなぁという雰囲気が...続きを読む伝わってくる。この投書はこうすると良いよね、面白いよねと語りかける感じ。
外山滋比古の著作は、東大・京大の学生にひろく読まれているらしい。実際手にとればさもありなん、おもしろくてタメになる。そのうえわかりやすい。読めばひとつ学問を修めた気分になる(気になった、で放置するか人生に活かすかは個人差がある)。本書もタイトルそのままの内容で、論文・散文・手紙など、あらゆる「書く」...続きを読む行為へのアドバイスが詰まっている。学生・社会人問わずおすすめしたい一冊。
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