森博嗣のレビュー一覧

  • 四季 春 Green Spring

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「僕はよく、夢の中で大きな怪獣に襲われる。
    どこに隠れても、どこまで逃げ回っても、追ってくるのだ。

    だけど、一番安全な場所を、僕は知ってる。
    その怪獣の頭の上に乗ることだ。
    怪獣の友達になれば良い。

    人間は、こうして、あらゆる恐怖を乗り越えてきた。
    神を奉ったのだって、同じ理由だろう。」

    0
    2022年04月06日
  • 神様が殺してくれる

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    Wシリーズの小休止のつもりで手に取ったが、読み始めたら最後ページを繰る手を止められなかった。

    主人公の手記のような体裁で始まったこの本、登場人物ひとりひとりにそこはかとない濁りを感じて「黒幕はこの人?いや、この人?」と推理しながら読んでいく。
    懺悔パートに入ってやっぱりこの人か…と落胆しそうになったのも束の間、奥にある真実を知って「えぇ!?」と声に出してしまった。いやー、気づかなかった…!真実を知ってから思い返すと、確かに言葉の端々に違和感あったな…とは感じるものの、いや、まさか、そんな斜め上を…。

    同性愛、血縁者との愛、血の繋がらない家族間の愛、それに対する倫理観と時代錯誤性、宗教観。
    DNAのサンプルの根源について考え出したら、それこそ性別があべこべ、さまざまな関係がひっくり返って混乱する。性別の先入観に囚われてるのかと頭を抱えつつも、いや、生物学的に考えたら…とぐるぐるしてしまう。
    海外の人はすぐ神の名を出すけど、日常的に神を持たない日本人には感覚が難しい。
    結局は誰が誰を、どういう意味で愛していたのか、掴むことができなかった。

    ーー真実というよりも、真実の上部の本当に綺麗な上澄みだけを掬い取ったものだと思う。

    手記に書かれた最後の言葉、これを見て掴むことは諦めた。
    主人公が隠したのなら、書けなかったのならもう分からない。

    越えてはいけないラインがあって、たまたまそれを越えなかっただけ。そうであると、たまたま育てられただけ。
    読書後よく思う。人はいつもギリギリで均衡を保ってるだけで、それはいつでも簡単に崩れる。
    自分は、運が良かっただけなのかもって。


    なんかでも、結局主人公が一番世の中の目を、性別を、気にしてるんだよね


    ーー皆さんは、ゴーストを待っているのですか?

    0
    2022年04月03日
  • 彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?

    Posted by ブクログ

    人工細胞で作られた生命体・ウォーカロン。人間との差がほとんどなく、違いを容易に認識できない状況であった。ウォーカロンと人間を識別できる研究成果を持つ研究者・ハギリは何者かに襲撃される。ハギリは情報局員・ウグイに保護される。人間とは何か、生命とは何かを考える、Wシリーズ1作目。

    0
    2022年04月02日
  • アンチ整理術 Anti-Organizing Life

    Posted by ブクログ

    「整理する」こと自体を目的にしない
    目的に沿って「整理する」ことが大事
    自分の行動をもう一度考えるきっかけになる本でした。

    0
    2022年03月26日
  • サイタ×サイタ EXPLOSIVE

    Posted by ブクログ

    SYアート&リサーチの面々は匿名の依頼を受けて、ストーカー行為を行っていると思われる男性の尾行を行う。世間を騒がす連続爆発事件も絡み、事態は思わぬ方向に進んでいく。Xシリーズ第5作。

    相変わらず、小川さんは危なっかしい。真鍋くんがいなかったら・・・。

    0
    2022年03月26日
  • 自由をつくる 自在に生きる

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あとがきより


    毎日が終わって、ベッドで少し読書をしてから、僕はライトを消す。
    そのとき、明日も楽しいことが待ってるぞ、と思えること、それが幸せだと思う。
    ときどきは嫌なこともあるし、どつしても回避できない障害だってある。
    けれど、その向こうに楽しみが待っているら生きていけるのだ。
    自由を目指して生きる理由は、それがとんでもなく楽しいからである。

    0
    2022年03月23日
  • デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping?

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    既存の「人間」という定義から我々が徐々に離れていることを、一個ずつ証明されている感覚。
    信じる神も持たず、続く子孫もいないから歴史も持てない、さらに、電子空間と反転している、していく可能性の浮上。

    ーー我々ははたして本当に生きているのか。
    永久に動き続けるものはない。ただ、エネルギィが供給され続ければ、ものは動く。だが、動くことは生きている証ではない。
    すべてを諦め、すべてから手を引き、生きることをやめてしまうという選択が、残されている道なのだろうか。何百年も生きられるとしたら、最後にはその選択をするのだろうか。

    電子空間に存在するものがいる、というのは正直、怖いという感情が先に立つ。現代では想像できないから。知らないという感情と、恐怖や嫌悪はとても近い。だからこそ、人は理解できないものを拒絶し、迫害する。その距離を埋めることができたら人は認めることができるかもしれないけれど。

    生きるために人間であることを諦めるというのは、つまり、生きるために死ぬようなものなのか。
    人間は人類が脅かされることに怯えるあまり、トランスファやウォーカロンが生きているということを認めることができない。しかしその結果は巡り巡って、自分達は生きているといえるのか?というパラドックスに陥っている。
    「存在しているものを生きているというのだよ」と話すヴォッシュの言葉を、純粋に受け入れられたら楽になるけど、簡単には難しい。
    まぁでも、この一連の思考全てがトランスファにとっちゃ「無限ループに陥るため、演算に適しません」ってことなんだろうな。

    サリノの扱いを見ると、肉体が死なないって厄介だなとしか思えなかった。
    命の価値が、どんどん軽くなっていく。

    それにしても、この巻までずっとウグイもアネバネも人間じゃないと思ってた。ハギリ博士がずっと他者や読者を騙してるのかと…

    0
    2022年03月19日
  • ムカシ×ムカシ REMINISCENCE

    Posted by ブクログ

    東京近郊に広大な敷地を持つ旧家・百目鬼家の屋敷内で老夫婦が刺殺される事件が起きる。老夫婦の遺の整理と鑑定を請け負ったSYアート&リサーチの面々は新たな事件に遭遇する。Xシリーズ第4作。

    SYアート&リサーチに新たなメンバーが入り、少しにぎやかになります。森博嗣作品は刊行順に読むと、登場人物の関係や動きがわかりやすくなります。

    0
    2022年03月19日
  • 工学部・水柿助教授の逡巡 The Hesitation of Dr.Mizukaki

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    水柿助教授シリーズの第2弾である。水柿君=作者 森博嗣 ととらえていいと思う。多分。普段の森博嗣はというか、この時期辺りの著作はGシリーズを書き始め、スカイ・クロラシリーズも手掛けており、無駄のない洗練された文章がウリになっていた。が、しかし本書は無駄が多い。ダジャレやこの前置きはどこまで続くんだ?というような叙述トリックもびっくりのグダグダっぷりにぶん投げたくなる購入者もいるかもしれない。

    そういう意味で、評価を1つ下げている。が、作家 森博嗣がある意味のびのびと好きなことを書いているととらえれば、これほど自由に書いている作品もそうそうないだろう。奥さんへの惚気かわからないが、ミステリー作家になったのは(あくまでも主人公は水柿君なので森博嗣と同一視するのはどうかと言われそうだが、匂わせまくっているからもういいでしょう笑)奥さんを驚かせたい一心であったというのはなんとも心温まる話ではないか。

    ただ、奥さんにはものすごく不評だった(西之園萌絵ちゃんと思しきヒロインのキャラがあまりにも立ちすぎてて腹が立ったらしい)のに、出版社に持ち込んだらデビュー。そして、今まで節約していた奥さんもだんだんと好きなものが買えるようになり、幸せな作家生活を送ることになった…というハッピーエンド。

    勿論、現実はそうではないのだろうけども、小説だもの、いいじゃない。上記だけを見ると「小説家になろうかな~」とか思いがちですが、でも森氏のように才能がないとね…とは思います。

    期日を守るのが当たり前と思っていた水柿君。しかし、小説の業界だとむしろ異端児だったというのはなかなかに驚いた。普通いついつまでに書いてくださいと言われたら納期は守るもんだが、本書の言葉を真実とするのであれば「いや、やはりちょっとうまく行きませんでしたわ~」で締切が延びるのは小説を書くというのもひとつの「芸」ゆえだからか? という事は…と色々と邪推したくなる気持ちをぐっとこらえたくなる。

    とまぁ、脱線しまくりでそもそも何の話をしてたんだっけ?になりがちな本書だが、そういう出版の裏側や作家デビューのいきさつを「水柿君」という人物に仮託してしあげたシリーズ第2弾。とても面白く読ませてもらった。

    0
    2022年03月12日
  • キウイγは時計仕掛け KIWI γ IN CLOCKWORK

    Posted by ブクログ

    Gシリーズ第9作。建築学会が開催される大学で学長が何者かに射殺される。事件の前には、γ(ガンマ)の文字が刻まれ、銀のプルトップが差し込まれたキウイが大学に届いていた。学会に出席していた加部谷たちが事件の謎に迫っていきます。

    真実とは、当事者ではない者が起こった出来事を納得するための推論のこと。Gシリーズを読んで、そんなことを感じました。

    0
    2022年03月12日
  • 諦めの価値

    Posted by ブクログ

    こうあるべき自分に縛られて、息切れ気味だった時「諦めの価値」というタイトルに惹かれた。自分に期待しない、他人にも期待しない。あれもこれもと複雑に考え過ぎて、人の目を気にするのはやめる。著者の本は数冊読んでいるが、毎回奥様とのエピソードが興味深く楽しみにしている。読み終えた後のスッキリ感...今回も森博嗣ワールドでした。

    0
    2022年03月06日
  • 赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE

    Posted by ブクログ

    医者の篠柴と小説家の鮭川が謎めいた美女・赤目姫ととも屋敷を目指す物語から、次第に視点が時空を行き来していき、幻想的な物語へと変化していきます。

    百年シリーズ第3作にして最終作。前作とがらりと変わって幻想的な物語。この物語の真意は、次のシリーズを読むことで理解できるのかもしれません。

    0
    2022年03月05日
  • 赤緑黒白 Red Green Black and White

    Posted by ブクログ

    Vシリーズ最終話。

    もう、最初から終わりの予感を感じさせる登場人物たちのセリフまわしに、寂しさが押し寄せる。
    事件は猟奇殺人の様相だけど、森作品でよく語られる動機問題がここでも繰り返される。
    多くの人に理解されない動機。そもそも動機とも言えない、ただ殺したいから殺すという人間も一定数いるということ。そこに都合よく動機らしきものを後付けする愚かしさ。

    真賀田四季の登場と林の祝儀袋で仄めかすへっくんの正体、ここでS&Mシリーズとの繋がりを知りゾクゾクする。
    保呂草と紅子の間で交わされる女王と下僕のようなラストシーンは美しく、胸がキュンとする。
    あ〜、終わってしまった。だけど、次のステージに行けるのだ!
    保呂草と紅子にはまた会えるのを期待して、次は短編2冊に向かいます。

    0
    2022年03月01日
  • ジグβは神ですか JIG β KNOWS HEAVEN

    Posted by ブクログ

    Gシリーズ第8作。前作から3年後の話。β(ベータ)と名乗る人物をあおぐ宗教団体の施設で、フィルムでラッピングされた女性の遺体が発見された。見え隠れする天才・真賀田四季の影。果たして真賀田四季は事件に関係しているのか。

    天才・真賀田四季の登場により物語が大きく動き出す本作。今までのGシリーズに感じたモヤモヤがある程度解消されます。

    S&Mシリーズ、Vシリーズ、四季シリーズ、百年シリーズ(2作目まで)を先に読まないと、Gシリーズの面白さは激減すると思います。

    0
    2022年02月26日
  • 科学的とはどういう意味か

    Posted by ブクログ

    消化しきれない多くの情報が溢れている現代だからこそ、自ら分析し考えて消化する思考を身に付けておく必要がある。扇動的な情報に踊らされない為に。

    0
    2022年02月20日
  • 目薬αで殺菌します DISINFECTANT α FOR THE EYES

    Posted by ブクログ

    名前に「α」がついた目薬に劇物が混入される事件が発生。一方、加部谷恵美が発見した変死体が握っていたのも「α」の目薬だった。これらの事件は「φ(ファイ)」から始まったギリシャ文字の事件群と関係があるのか。
    Gシリーズ第7作。

    本作で主要人物の人生が大きく動き始めており、次作以降に物語も大きく動くのではないかを予感させます。

    0
    2022年02月19日
  • ムカシ×ムカシ REMINISCENCE

    Posted by ブクログ

    再読。Xシリーズ4作品目。お金持ちのお屋敷で起こった殺人事件……ではなく、そこの遺産整理をする小川さん達。近作の「歌の終わりは海」に少し似ているように感じた。以前読んだ時よりしんみり。再読っていいもんだな。

    0
    2022年02月18日
  • タカイ×タカイ CRUCIFIXION

    Posted by ブクログ

    有名マジシャン・牧村亜佐美の自宅敷地内にある地上約15メートルのポールの上に、他殺死体が掲げられていた。調査依頼を受けた鷹知祐一郎と、鷹知に協力する小川令子、真鍋瞬市はW大助手・西之園萌絵の助けを得て、事件の真相に迫ります。Xシリーズ第3作。

    S&Mシリーズ(『幻惑の死と使途』)とGシリーズを読んでから、本書を読むとさらに楽しめます。

    0
    2022年02月13日
  • 朽ちる散る落ちる Rot off and Drop away

    Posted by ブクログ

    Vシリーズ第9弾。
    シリーズ第7弾「六人の超音波科学者」から連なり、短編集「地球儀のスライス」の中の「気さくなお人形、19歳」が大いに関わっている作品。

    山の中の研究所地下に隠された大きな秘密。
    入れ子構造になった密室で発見された遺体。どう考えても自殺としか思えない状況で、どう見ても他殺としか考えられない遺体の状況。その謎を解くのはやはり自称科学者の瀬在丸紅子。科学的論理で謎を解く場面はまるで探偵ガリレオを彷彿とさせワクワクする。

    そして最後に紅子と保呂草が、林警部と祖父江刑事ひと芝居打つシーンがいい。
    シリーズも終盤を迎え、紅子に加え、練無の魅力が際立ってくる。あと1作。どんな結末を迎えるのか。早く読まねば。

    0
    2022年02月13日
  • 追懐のコヨーテ The cream of the notes 10

    Posted by ブクログ

    森博嗣氏の著作を読み始めてから3年ほど経ち、その間、膨大な著作を読むことができたのが幸運だった。これからはリアルタイムで出版されるのを待つか、過去の作品を再読するかになってしまうのが少し悲しい。本作も味わって読むことができた。感謝。

    0
    2022年02月11日