森博嗣のレビュー一覧
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物が散らかるということを否定的にとらえていない著者の、整理術に関する考えが語られる内容。冒頭で、結論が述べられていて、結果だけが知りたいならそれで十分かもしれない。
そういう見方もあるのね、と思いながら読み進めた。あまり役に立てようという視点では読まなかったのだが、一番役に立つと思ったのは、やる気が出るのを待つのではなく、嫌だなと思いながらやってみるということであった。
自分は割と、やる気が出ないなと思うことは先延ばしにしがちだけど、この考えに触れてから、とりあえず手を付けてみる様になった。何か作業をするにも慣性の様なものがあって、嫌だと思いながら始めても、一度始めるととりあえず作業は続くものである。 -
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ネタバレWシリーズの小休止のつもりで手に取ったが、読み始めたら最後ページを繰る手を止められなかった。
主人公の手記のような体裁で始まったこの本、登場人物ひとりひとりにそこはかとない濁りを感じて「黒幕はこの人?いや、この人?」と推理しながら読んでいく。
懺悔パートに入ってやっぱりこの人か…と落胆しそうになったのも束の間、奥にある真実を知って「えぇ!?」と声に出してしまった。いやー、気づかなかった…!真実を知ってから思い返すと、確かに言葉の端々に違和感あったな…とは感じるものの、いや、まさか、そんな斜め上を…。
同性愛、血縁者との愛、血の繋がらない家族間の愛、それに対する倫理観と時代錯誤性、宗教観。
DNAのサンプルの根源について考え出したら、それこそ性別があべこべ、さまざまな関係がひっくり返って混乱する。性別の先入観に囚われてるのかと頭を抱えつつも、いや、生物学的に考えたら…とぐるぐるしてしまう。
海外の人はすぐ神の名を出すけど、日常的に神を持たない日本人には感覚が難しい。
結局は誰が誰を、どういう意味で愛していたのか、掴むことができなかった。
ーー真実というよりも、真実の上部の本当に綺麗な上澄みだけを掬い取ったものだと思う。
手記に書かれた最後の言葉、これを見て掴むことは諦めた。
主人公が隠したのなら、書けなかったのならもう分からない。
越えてはいけないラインがあって、たまたまそれを越えなかっただけ。そうであると、たまたま育てられただけ。
読書後よく思う。人はいつもギリギリで均衡を保ってるだけで、それはいつでも簡単に崩れる。
自分は、運が良かっただけなのかもって。
なんかでも、結局主人公が一番世の中の目を、性別を、気にしてるんだよね
ーー皆さんは、ゴーストを待っているのですか?
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ネタバレ既存の「人間」という定義から我々が徐々に離れていることを、一個ずつ証明されている感覚。
信じる神も持たず、続く子孫もいないから歴史も持てない、さらに、電子空間と反転している、していく可能性の浮上。
ーー我々ははたして本当に生きているのか。
永久に動き続けるものはない。ただ、エネルギィが供給され続ければ、ものは動く。だが、動くことは生きている証ではない。
すべてを諦め、すべてから手を引き、生きることをやめてしまうという選択が、残されている道なのだろうか。何百年も生きられるとしたら、最後にはその選択をするのだろうか。
電子空間に存在するものがいる、というのは正直、怖いという感情が先に立つ。現代では想像できないから。知らないという感情と、恐怖や嫌悪はとても近い。だからこそ、人は理解できないものを拒絶し、迫害する。その距離を埋めることができたら人は認めることができるかもしれないけれど。
生きるために人間であることを諦めるというのは、つまり、生きるために死ぬようなものなのか。
人間は人類が脅かされることに怯えるあまり、トランスファやウォーカロンが生きているということを認めることができない。しかしその結果は巡り巡って、自分達は生きているといえるのか?というパラドックスに陥っている。
「存在しているものを生きているというのだよ」と話すヴォッシュの言葉を、純粋に受け入れられたら楽になるけど、簡単には難しい。
まぁでも、この一連の思考全てがトランスファにとっちゃ「無限ループに陥るため、演算に適しません」ってことなんだろうな。
サリノの扱いを見ると、肉体が死なないって厄介だなとしか思えなかった。
命の価値が、どんどん軽くなっていく。
それにしても、この巻までずっとウグイもアネバネも人間じゃないと思ってた。ハギリ博士がずっと他者や読者を騙してるのかと… -
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ネタバレ水柿助教授シリーズの第2弾である。水柿君=作者 森博嗣 ととらえていいと思う。多分。普段の森博嗣はというか、この時期辺りの著作はGシリーズを書き始め、スカイ・クロラシリーズも手掛けており、無駄のない洗練された文章がウリになっていた。が、しかし本書は無駄が多い。ダジャレやこの前置きはどこまで続くんだ?というような叙述トリックもびっくりのグダグダっぷりにぶん投げたくなる購入者もいるかもしれない。
そういう意味で、評価を1つ下げている。が、作家 森博嗣がある意味のびのびと好きなことを書いているととらえれば、これほど自由に書いている作品もそうそうないだろう。奥さんへの惚気かわからないが、ミステリー作家になったのは(あくまでも主人公は水柿君なので森博嗣と同一視するのはどうかと言われそうだが、匂わせまくっているからもういいでしょう笑)奥さんを驚かせたい一心であったというのはなんとも心温まる話ではないか。
ただ、奥さんにはものすごく不評だった(西之園萌絵ちゃんと思しきヒロインのキャラがあまりにも立ちすぎてて腹が立ったらしい)のに、出版社に持ち込んだらデビュー。そして、今まで節約していた奥さんもだんだんと好きなものが買えるようになり、幸せな作家生活を送ることになった…というハッピーエンド。
勿論、現実はそうではないのだろうけども、小説だもの、いいじゃない。上記だけを見ると「小説家になろうかな~」とか思いがちですが、でも森氏のように才能がないとね…とは思います。
期日を守るのが当たり前と思っていた水柿君。しかし、小説の業界だとむしろ異端児だったというのはなかなかに驚いた。普通いついつまでに書いてくださいと言われたら納期は守るもんだが、本書の言葉を真実とするのであれば「いや、やはりちょっとうまく行きませんでしたわ~」で締切が延びるのは小説を書くというのもひとつの「芸」ゆえだからか? という事は…と色々と邪推したくなる気持ちをぐっとこらえたくなる。
とまぁ、脱線しまくりでそもそも何の話をしてたんだっけ?になりがちな本書だが、そういう出版の裏側や作家デビューのいきさつを「水柿君」という人物に仮託してしあげたシリーズ第2弾。とても面白く読ませてもらった。 -
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Vシリーズ最終話。
もう、最初から終わりの予感を感じさせる登場人物たちのセリフまわしに、寂しさが押し寄せる。
事件は猟奇殺人の様相だけど、森作品でよく語られる動機問題がここでも繰り返される。
多くの人に理解されない動機。そもそも動機とも言えない、ただ殺したいから殺すという人間も一定数いるということ。そこに都合よく動機らしきものを後付けする愚かしさ。
真賀田四季の登場と林の祝儀袋で仄めかすへっくんの正体、ここでS&Mシリーズとの繋がりを知りゾクゾクする。
保呂草と紅子の間で交わされる女王と下僕のようなラストシーンは美しく、胸がキュンとする。
あ〜、終わってしまった。だけど、次のステージに行けるのだ!
保呂草と紅子にはまた会えるのを期待して、次は短編2冊に向かいます。