森博嗣のレビュー一覧

  • 風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake?

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    生殖による人口増加がほとんどない世界で、今でも子供が誕生する特別な地チベット・ナクチュ。調査のために再訪したハギリたちは新たな遺跡の存在を知る。
    人間とは何か、生命とは何かを考える、Wシリーズ3作目。

    登場人物の名前から百年シリーズとのリンクが示唆されています。森博嗣作品は最後の1行でいつも驚かされます。

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    2022年04月23日
  • 諦めの価値

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    森博嗣のブログや新書を読み慣れているので論調は想像する通りだった。
    読者との問答集が途中に挟まっているのが珍しいように感じた。
    中でも「夢を諦めた方がいいでしょうか?」「今のままでいいのでは?」のやりとりが、一番興味深かった。
    夢の実現のために何か投資(金銭的時間的に)をしておらず、漠然と思い描いて暇な時にふとよぎる程度の「夢」なら、諦める以前の話では、ということらしい。確かに。

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    2022年04月23日
  • τになるまで待って PLEASE STAY UNTIL τ

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    Gシリーズ3作目。
    恵美ちゃんズ(加部谷・山吹・海月)の会話の雰囲気に慣れてきてたのしい、かわいい。
    犀川先生の瞬殺ウケちゃったけど、最後の睦子おばさんの発言にすべて持っていかれた…なに…!!?

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    2022年04月20日
  • 夢の叶え方を知っていますか?

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    夢というもののとらえ方からして普通と違う。自分で作ることの楽しみを見出せるかが人生を豊かにする夢となる。

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    2022年04月19日
  • χの悲劇 The Tragedy of χ

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    香港で仕事をする島田文子のもとに男が現れ、真賀田研究所在籍していた頃に起こった航空機事故に関する質問を受ける。その後、島田文子は密室殺人事件に巻き込まれ、その事件を契機に謎の人物と会うことになる。
    前作から大きく変化したGシリーズ第9作にして、後期三部作の第1作。

    森博嗣作品はシリーズごとではなく、出版順に読むことで面白さが倍増します。本作はS&Mシリーズや四季シリーズ、百年シリーズ、Wシリーズを先に読むと、結末の意味がよくわかります。

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    2022年04月16日
  • 魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?

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    チベットで行われる『人口生体技術に関するシンポジウム」に出席したハギリたちはクーデターに巻き込まれてしまう。難を逃れるためにハギリたちは外界から隔離された特別居住地区ナクチュに向かう。人間の子供が生まれなくなった世界の中で、ナクチュは昔と変わらず人間の子供が生まれていた。
    人間とは何か、生命とは何かを考える、Wシリーズ2作目。

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    2022年04月09日
  • アンチ整理術 Anti-Organizing Life

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    物が散らかるということを否定的にとらえていない著者の、整理術に関する考えが語られる内容。冒頭で、結論が述べられていて、結果だけが知りたいならそれで十分かもしれない。
    そういう見方もあるのね、と思いながら読み進めた。あまり役に立てようという視点では読まなかったのだが、一番役に立つと思ったのは、やる気が出るのを待つのではなく、嫌だなと思いながらやってみるということであった。
    自分は割と、やる気が出ないなと思うことは先延ばしにしがちだけど、この考えに触れてから、とりあえず手を付けてみる様になった。何か作業をするにも慣性の様なものがあって、嫌だと思いながら始めても、一度始めるととりあえず作業は続くものである。

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    2022年04月06日
  • 四季 春 Green Spring

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    ネタバレ

    「僕はよく、夢の中で大きな怪獣に襲われる。
    どこに隠れても、どこまで逃げ回っても、追ってくるのだ。

    だけど、一番安全な場所を、僕は知ってる。
    その怪獣の頭の上に乗ることだ。
    怪獣の友達になれば良い。

    人間は、こうして、あらゆる恐怖を乗り越えてきた。
    神を奉ったのだって、同じ理由だろう。」

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    2022年04月06日
  • 神様が殺してくれる

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    ネタバレ

    Wシリーズの小休止のつもりで手に取ったが、読み始めたら最後ページを繰る手を止められなかった。

    主人公の手記のような体裁で始まったこの本、登場人物ひとりひとりにそこはかとない濁りを感じて「黒幕はこの人?いや、この人?」と推理しながら読んでいく。
    懺悔パートに入ってやっぱりこの人か…と落胆しそうになったのも束の間、奥にある真実を知って「えぇ!?」と声に出してしまった。いやー、気づかなかった…!真実を知ってから思い返すと、確かに言葉の端々に違和感あったな…とは感じるものの、いや、まさか、そんな斜め上を…。

    同性愛、血縁者との愛、血の繋がらない家族間の愛、それに対する倫理観と時代錯誤性、宗教観。
    DNAのサンプルの根源について考え出したら、それこそ性別があべこべ、さまざまな関係がひっくり返って混乱する。性別の先入観に囚われてるのかと頭を抱えつつも、いや、生物学的に考えたら…とぐるぐるしてしまう。
    海外の人はすぐ神の名を出すけど、日常的に神を持たない日本人には感覚が難しい。
    結局は誰が誰を、どういう意味で愛していたのか、掴むことができなかった。

    ーー真実というよりも、真実の上部の本当に綺麗な上澄みだけを掬い取ったものだと思う。

    手記に書かれた最後の言葉、これを見て掴むことは諦めた。
    主人公が隠したのなら、書けなかったのならもう分からない。

    越えてはいけないラインがあって、たまたまそれを越えなかっただけ。そうであると、たまたま育てられただけ。
    読書後よく思う。人はいつもギリギリで均衡を保ってるだけで、それはいつでも簡単に崩れる。
    自分は、運が良かっただけなのかもって。


    なんかでも、結局主人公が一番世の中の目を、性別を、気にしてるんだよね


    ーー皆さんは、ゴーストを待っているのですか?

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    2022年04月03日
  • 彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?

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    人工細胞で作られた生命体・ウォーカロン。人間との差がほとんどなく、違いを容易に認識できない状況であった。ウォーカロンと人間を識別できる研究成果を持つ研究者・ハギリは何者かに襲撃される。ハギリは情報局員・ウグイに保護される。人間とは何か、生命とは何かを考える、Wシリーズ1作目。

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    2022年04月02日
  • アンチ整理術 Anti-Organizing Life

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    「整理する」こと自体を目的にしない
    目的に沿って「整理する」ことが大事
    自分の行動をもう一度考えるきっかけになる本でした。

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    2022年03月26日
  • サイタ×サイタ EXPLOSIVE

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    SYアート&リサーチの面々は匿名の依頼を受けて、ストーカー行為を行っていると思われる男性の尾行を行う。世間を騒がす連続爆発事件も絡み、事態は思わぬ方向に進んでいく。Xシリーズ第5作。

    相変わらず、小川さんは危なっかしい。真鍋くんがいなかったら・・・。

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    2022年03月26日
  • 自由をつくる 自在に生きる

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    ネタバレ

    あとがきより


    毎日が終わって、ベッドで少し読書をしてから、僕はライトを消す。
    そのとき、明日も楽しいことが待ってるぞ、と思えること、それが幸せだと思う。
    ときどきは嫌なこともあるし、どつしても回避できない障害だってある。
    けれど、その向こうに楽しみが待っているら生きていけるのだ。
    自由を目指して生きる理由は、それがとんでもなく楽しいからである。

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    2022年03月23日
  • デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping?

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    ネタバレ

    既存の「人間」という定義から我々が徐々に離れていることを、一個ずつ証明されている感覚。
    信じる神も持たず、続く子孫もいないから歴史も持てない、さらに、電子空間と反転している、していく可能性の浮上。

    ーー我々ははたして本当に生きているのか。
    永久に動き続けるものはない。ただ、エネルギィが供給され続ければ、ものは動く。だが、動くことは生きている証ではない。
    すべてを諦め、すべてから手を引き、生きることをやめてしまうという選択が、残されている道なのだろうか。何百年も生きられるとしたら、最後にはその選択をするのだろうか。

    電子空間に存在するものがいる、というのは正直、怖いという感情が先に立つ。現代では想像できないから。知らないという感情と、恐怖や嫌悪はとても近い。だからこそ、人は理解できないものを拒絶し、迫害する。その距離を埋めることができたら人は認めることができるかもしれないけれど。

    生きるために人間であることを諦めるというのは、つまり、生きるために死ぬようなものなのか。
    人間は人類が脅かされることに怯えるあまり、トランスファやウォーカロンが生きているということを認めることができない。しかしその結果は巡り巡って、自分達は生きているといえるのか?というパラドックスに陥っている。
    「存在しているものを生きているというのだよ」と話すヴォッシュの言葉を、純粋に受け入れられたら楽になるけど、簡単には難しい。
    まぁでも、この一連の思考全てがトランスファにとっちゃ「無限ループに陥るため、演算に適しません」ってことなんだろうな。

    サリノの扱いを見ると、肉体が死なないって厄介だなとしか思えなかった。
    命の価値が、どんどん軽くなっていく。

    それにしても、この巻までずっとウグイもアネバネも人間じゃないと思ってた。ハギリ博士がずっと他者や読者を騙してるのかと…

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    2022年03月19日
  • ムカシ×ムカシ REMINISCENCE

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    東京近郊に広大な敷地を持つ旧家・百目鬼家の屋敷内で老夫婦が刺殺される事件が起きる。老夫婦の遺の整理と鑑定を請け負ったSYアート&リサーチの面々は新たな事件に遭遇する。Xシリーズ第4作。

    SYアート&リサーチに新たなメンバーが入り、少しにぎやかになります。森博嗣作品は刊行順に読むと、登場人物の関係や動きがわかりやすくなります。

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    2022年03月19日
  • 工学部・水柿助教授の逡巡 The Hesitation of Dr.Mizukaki

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    ネタバレ

    水柿助教授シリーズの第2弾である。水柿君=作者 森博嗣 ととらえていいと思う。多分。普段の森博嗣はというか、この時期辺りの著作はGシリーズを書き始め、スカイ・クロラシリーズも手掛けており、無駄のない洗練された文章がウリになっていた。が、しかし本書は無駄が多い。ダジャレやこの前置きはどこまで続くんだ?というような叙述トリックもびっくりのグダグダっぷりにぶん投げたくなる購入者もいるかもしれない。

    そういう意味で、評価を1つ下げている。が、作家 森博嗣がある意味のびのびと好きなことを書いているととらえれば、これほど自由に書いている作品もそうそうないだろう。奥さんへの惚気かわからないが、ミステリー作家になったのは(あくまでも主人公は水柿君なので森博嗣と同一視するのはどうかと言われそうだが、匂わせまくっているからもういいでしょう笑)奥さんを驚かせたい一心であったというのはなんとも心温まる話ではないか。

    ただ、奥さんにはものすごく不評だった(西之園萌絵ちゃんと思しきヒロインのキャラがあまりにも立ちすぎてて腹が立ったらしい)のに、出版社に持ち込んだらデビュー。そして、今まで節約していた奥さんもだんだんと好きなものが買えるようになり、幸せな作家生活を送ることになった…というハッピーエンド。

    勿論、現実はそうではないのだろうけども、小説だもの、いいじゃない。上記だけを見ると「小説家になろうかな~」とか思いがちですが、でも森氏のように才能がないとね…とは思います。

    期日を守るのが当たり前と思っていた水柿君。しかし、小説の業界だとむしろ異端児だったというのはなかなかに驚いた。普通いついつまでに書いてくださいと言われたら納期は守るもんだが、本書の言葉を真実とするのであれば「いや、やはりちょっとうまく行きませんでしたわ~」で締切が延びるのは小説を書くというのもひとつの「芸」ゆえだからか? という事は…と色々と邪推したくなる気持ちをぐっとこらえたくなる。

    とまぁ、脱線しまくりでそもそも何の話をしてたんだっけ?になりがちな本書だが、そういう出版の裏側や作家デビューのいきさつを「水柿君」という人物に仮託してしあげたシリーズ第2弾。とても面白く読ませてもらった。

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    2022年03月12日
  • キウイγは時計仕掛け KIWI γ IN CLOCKWORK

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    Gシリーズ第9作。建築学会が開催される大学で学長が何者かに射殺される。事件の前には、γ(ガンマ)の文字が刻まれ、銀のプルトップが差し込まれたキウイが大学に届いていた。学会に出席していた加部谷たちが事件の謎に迫っていきます。

    真実とは、当事者ではない者が起こった出来事を納得するための推論のこと。Gシリーズを読んで、そんなことを感じました。

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    2022年03月12日
  • 諦めの価値

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    こうあるべき自分に縛られて、息切れ気味だった時「諦めの価値」というタイトルに惹かれた。自分に期待しない、他人にも期待しない。あれもこれもと複雑に考え過ぎて、人の目を気にするのはやめる。著者の本は数冊読んでいるが、毎回奥様とのエピソードが興味深く楽しみにしている。読み終えた後のスッキリ感...今回も森博嗣ワールドでした。

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    2022年03月06日
  • 赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE

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    医者の篠柴と小説家の鮭川が謎めいた美女・赤目姫ととも屋敷を目指す物語から、次第に視点が時空を行き来していき、幻想的な物語へと変化していきます。

    百年シリーズ第3作にして最終作。前作とがらりと変わって幻想的な物語。この物語の真意は、次のシリーズを読むことで理解できるのかもしれません。

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    2022年03月05日
  • 赤緑黒白 Red Green Black and White

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    Vシリーズ最終話。

    もう、最初から終わりの予感を感じさせる登場人物たちのセリフまわしに、寂しさが押し寄せる。
    事件は猟奇殺人の様相だけど、森作品でよく語られる動機問題がここでも繰り返される。
    多くの人に理解されない動機。そもそも動機とも言えない、ただ殺したいから殺すという人間も一定数いるということ。そこに都合よく動機らしきものを後付けする愚かしさ。

    真賀田四季の登場と林の祝儀袋で仄めかすへっくんの正体、ここでS&Mシリーズとの繋がりを知りゾクゾクする。
    保呂草と紅子の間で交わされる女王と下僕のようなラストシーンは美しく、胸がキュンとする。
    あ〜、終わってしまった。だけど、次のステージに行けるのだ!
    保呂草と紅子にはまた会えるのを期待して、次は短編2冊に向かいます。

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    2022年03月01日