森博嗣のレビュー一覧
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不可能を可能へと導く、組み立てた机上の空論とは
Vシリーズの今作品は空の上での密室殺人、空を飛んでいる二人乗り飛行機の一人が殺されるという状況の中で、いつ、どうやって、誰が殺人を行ったかを考えていく。
殺したタイミングにばかり考えの殆どを持っていかれていた私でも、段々と読み進める中で物語の真相に関わる大切な関係性がわかると、それに続く真相も受け入れやすくはなったが、いかんせんその大きなトリックが大きすぎるが故に再現性はあるのかと考えてしまったところはある。
一つ目の殺人と二つ目の殺人とがどのような意味合いでつながりがあるのか。そしてそのつながりを見出している関係性はどのような人物像に生じ -
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ネタバレ全てがFになる
最初の西之園萌とマガタ博士の無駄が無く緊張感のある分析的な会話
犀川博士の厭世的で俗物と非合理を冷笑しながらタバコとコーヒーを嗜んだり、
西之園萌の天才世間知らずお嬢様というコテコテのキャラが犀川に素直な恋心を抱いたり、
自由人で個性的な研究所の面々、
会話とキャラクターの個性が良かった
村上春樹のセックス抜きをもう少しライトに現実的にしたような読後感
会話にはエヴァンゲリオンのミサトさんとカジさん辺りの倦怠感のあるものを感じた
孤島に15年間閉じ込められた博士が、自らの体を動かして親を刺させて来た叔父の子を出産し、それを自分の死体として偽造し逃げ遂せるという謎解き要素を破壊 -
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我々はなぜ「偶然」に「意味」を見出そうとするのか
Vシリーズ三作品目は何か屋敷ものを彷彿とさせるミステリであり、そこで起きた凄惨な事件に対してまた紅子さんが迫っていく。トリックについては伏線は張られていたとされているが紅子さんの専門性とも関連づいたある種奇天烈感を感じた。全ての現象にはそれが起こるきっかけやそれが起こったことによる結果があるが、我々はそこにある種の理由を求める。今作品は「動機」にフォーカスを当て、作品によっては賛否両論となる森ミステリの中でもよりその「動機」とは、「筋道」とは、といった「ミステリの骨格」に迫ったものであるように感じた。
S &Mシリーズとの大きな違い -
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25 大人たちが支配されている観念が覆ると
こどもたちは大人を見放すことになる。
戦時中は戦う人が偉い、経済成長期は働く人が偉い、
現代は人の絆、友達の輪を大事にする人が偉い、と
価値観が時代ごとに大きく変わっている。
そしてこの価値観が崩壊したとき、こどもたちは
今の世代の大人を信用しなくなるかもしれない。
下の世代と意見が合わなくても、こちらの価値観を
押し付けすぎないように気をつけよう。
31「やっていけない」と「やってはいけない」の
微妙な違いについて。
32「鉄道模型」と「模型飛行機」、前後関係に意味が?
名詞が並んで複合された言葉は、一般に、前の語が
形容で、後ろの語がその本 -
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私を操る、見えざる糸とは
Vシリーズの2作品目はミステリ作品にありがちな伝統文化のお家騒動。操り人形の舞台で起こった連続殺人の謎を追いつつも、作品全体に流れる悪魔じみたオカルトの世界観にも触れていた。
作品としてのトリックはシンプルで事件が進むにつれて誰が犯人なのか、どのように犯行に及んだのかは分かり易い。ただこの作品の本質はそこでは無いような気もする。それが最後の一行に込められた「見えざる糸」の種明かしなのかなとも思いつつ、もうここまで来るとそれはどちらかというと読み手を驚かせる衝撃を超えたオカルトとかそちらのゾワっと感の強さを感じてしまった。
登場人物の深掘りも段々とされていく中で未 -
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表紙のきれいな写真に惹かれて手に取りました。
工学博士の著者が、森の中の静かなお家で自分の好きなことだけして過ごす日々と、世の中や人生についての考えなどを語る随筆集。
合理的で共感できる部分もたくさんあった。ちょうど世の中の同調圧力(圧をかけている方は気付いてないけど)に疲れていたので、そんなの知らんがな!やめたらええやん!的な論調は(著者にそんなこと言ってないって怒られそう)スカっとすることもあった。
ただ、そんなに頑なに拒否らなくても…もうちょっと寄り添ってもいいんじゃ?と思う箇所もあり。
でも飼い犬がとても懐いているし、奥様を大切にされてるし、良い人なんだなあと思いました。
小説を書かれ -
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ネタバレp42-43
11文章を書き写すことが作文ではないように、
人の観察を観察しても意味がない
絵でも文章でも、何故そんなものを描いたのか、という点に作者のオリジナリティがあり、作者の創造力が宿っている。
つまり、人の目を通したものでは、「着眼」という最も大事な行為が抜けている、ということ。
p131
55 好きでやっているわけではない、
ということが理解してもらえないけれど……。
好きとか嫌いとか決めない、が一番僕の状態を示している。
p153
66小説を書く以前に、何冊か本を書いた。
コンピュータと力学に関するものだった。
「AI」と「文系」をテーマにすると良い
コンピュータ -
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子供のころからの読書体験を綴って、所々に読書についての考えを入れている。したがって、読み物としては面白い。小説家だからであろう、文章もうまい。著者がどのような人物かわかる。ほとんどの物書きは、たくさんの本を読んでいるものだが、著者の森氏はほとんど読んでいないようだ。35歳を過ぎてから読書をする時間が増えたといい、それでも毎月1冊か2冊だという。これには驚いた。
ただし、実践的な読書術、選書術など、何かしらのテクニックを得たいのなら参考になるところはほとんどない。著者の考え方はユニークで、一般化できるものではないからだ。
本で一度読んだことは、ほとんど忘れない。二回読むことはない。一度読めば