安部龍太郎のレビュー一覧

  • 銀嶺のかなた(二) 新しい国

    Posted by ブクログ

    豊臣秀吉編とでもいうべき第二巻、秀吉を軸に翻弄されまた自領を守り前田家の存続を測る利家と利長親子の駆け引き。違う角度から見る歴史は面白い。
    前田慶次もちょくちょく登場して嬉しい。

    0
    2025年04月02日
  • 銀嶺のかなた(一) 利家と利長

    Posted by ブクログ

    前田利家、利長親子を軸に描いた戦国物。本能寺の変の後の物語は秀吉、家康、明智光秀などが主人公である事が多いので、前田家から見た景色が面白かった。また、背後に南蛮貿易、キリシタンたちの暗躍があるのもなるほどと感じた。

    0
    2025年03月27日
  • 等伯(上)

    Posted by ブクログ

    いい本を読んだ。
    読後、何かに打ちのめされたかのようにしばらく放心状態になった。こんなにも迫力を感じることは久しい。
    著者の安部龍太郎はこの本で第147回直木賞を受賞。
    筆力が凄いと思う。

    長谷川等伯、安土桃山時代から江戸時代にかけて活躍した絵師。
    33歳で絵師を目指し能登から上洛し、苦難の道を経て、狩野派と肩を並べるほどの絵師になる。
    小説のクライマックス、日本水墨画の最高傑作「松林図」を身命を賭して描く場面が圧巻。

    この時代、歴史は激動の時。絵師も多かれ少なかれときの人により歴史の影響を受ける。

    故郷、七尾の家が七人衆の手のものに襲われ、養父母が自決に追い込まれる。上洛する途上、比叡

    0
    2025年03月19日
  • 蝦夷太平記 十三の海鳴り

    Posted by ブクログ

     鎌倉時代末期の津軽「安藤氏の乱」を描いた作品。中盤までは津軽・陸奥における各勢力図や経済体系が丁寧に描かれる。中盤から終盤にかけては室町期に向けた倒幕の動きが重なり、時代が動いていく。
     面白いけど冗長的というのが正直な感想。どのエピソードも面白く、盛り込みたい気持ちは分かるが、枝葉のエピソードの長さのせいで本筋がぶれてしまうのを度々感じた。例えば、イタクニップとの戦い。彼を追い込むが逃げられてしまうところで、急に熊との戦いが始まる。この経験がイアンパヌとの絆や季兼の覚悟に繋がるので必要性は理解するも次の展開を早くという気持ちが先行してしまう。都のシーンもしかり。最終盤でどんどん新しい人物が

    0
    2025年03月18日
  • 銀嶺のかなた(一) 利家と利長

    Posted by ブクログ

    前田利家と利長を描いた一巻目。
    織田信長の治世から本能寺の変により、織田家臣たちのパワーバランスが崩れて秀吉が台頭する。
    その時代の利家の逡巡や、民を支配するための信長ばりの殺戮の苦悩まで、時代に流されるのに抗う姿はリアルに伝わった。
    信長の娘永と婚姻を結んだ利長へと物語が引き継がれる。
    結末が分かっている歴史小説だけに、リアルに時代を描くこの小説の後編に期待する。

    0
    2025年03月01日
  • 灯台を読む

    Posted by ブクログ

    作家さん達が全国18か所の灯台を巡り、紹介する紀行文。島国である日本人は古くから海と共生してきたが、現在のような西洋式灯台が建設されたのは明治維新以降になってからだという。風の吹きすさぶ岬の突端でポツンと立ちながら必死に灯を届ける様子は、孤高であり浪漫を掻きたてられる。
    近代日本の文化遺産として、灯台が見直されつつあり、各地域では新たな観光資源となっている。各地に旅行に行く際に、灯台へふらりと寄ってみるのも楽しそうだ。私の地元の灯台も紹介されていたので、まずはそこから訪問したい。
    また、どの作家さんも『喜びも悲しみも幾年月』という映画について言及されていた。近代日本を支えた誇りある灯台守という

    0
    2025年02月11日
  • 婆娑羅太平記 道誉と正成

    Posted by ブクログ

    去年、楠木正成の息子を主人公とした朝日新聞朝刊小説にハマっていて、新聞の連載はとうに終わっているのに、未だ書籍にならず!!

    その影響で南北朝時代に興味を持ったので、書籍化を待っている間に、、と本書を手に取りました。

    道誉も正成も人望があり、とても魅力的な人物でした。
    特に佐々木道誉についてはほとんど知識がなかったので、本書が第一印象になります。
    二人は時に心強い仲間として、またある時は敵味方に分かれて戦うという、混沌とした時代ならではの運命が切なかったです。二人とも同じ志を持っているのにね。

    そして、後醍醐天皇の建武の新政って教科書でどう習ったっけ?!と気になりました。悪政、っていうかバ

    0
    2025年02月08日
  • 銀嶺のかなた(二) 新しい国

    Posted by ブクログ

    本能寺の変から秀吉の死の頃の前田家
    激動の時代を前田家の目線で見事に1冊にまとめた力量はすごい

    自分の子供ではない秀頼をトップにすえたい秀吉(ただの子煩悩の馬鹿ではない)や利家の陰に隠れて、出来ない2代目のイメージがあった利長の表にはでない動き方には、事実とは違うかもしれないが小説といしての冴えを感じました

    3巻以降も楽しみです

    0
    2025年01月26日
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変

    Posted by ブクログ

    目から鱗、とでも言うべきか。
    自分の認識が根本的に揺らぐ内容でした。
    ドラえもんのタイムマシンが欲しい、真実が知りたい、本気で思わせる1冊です。

    0
    2025年01月02日
  • 家康(八) 明国征服計画

    Posted by ブクログ

    この第8巻で、「前期」は完とのこと。
    秀吉の勢いは止まらず、彼の策略で家康は同盟関係にあった北条家とも手を切らざるを得ない状況に追い込まれる。
    何とか、秀吉の小田原征伐を食い止めたい家康の涙ぐましい努力も水泡に帰す。
    次に秀吉は、悪名高い明国出兵を打ち出すが、著者はこの背景にはイエズス会と朝廷とが関係していると著述する。
    新史料を駆使し、世界情勢の中で秀吉や家康の行動を捉えるこのシリーズ、「後期」の刊行が待たれる。

    0
    2024年09月27日
  • 家康(一) 信長との同盟

    Posted by ブクログ

    この辺りの歴史は人気があり、よくテレビなどでも取り上げられているためなんとなく流れは知っていた。
    しかし、信長との関係性や妻・瀬名の方との確執など、とても興味深くあっという間に読んでしまった。
    ただ一点残念、というか自分の好みだが、文中に「のちの〇〇である」とか、「現在の□□である」とか解説が入ると、一気に作品世界から覚めてしまうし、先の展開が分かってしまうのが残念だった。
    しかし、そういった箇所は必要最低限?くらい少ないので十分作品世界に引き込まれた。続きもまだたくさんあるので楽しみである。

    0
    2024年09月17日
  • 対決! 日本史4 日露戦争篇

    Posted by ブクログ

    日露戦争は第一次世界大戦につながる局地戦だった。
    いまのウクライナ戦争という局地戦が第三次世界大戦につながらないようにしなければならない。

    超大国の覇権が弱くなり世界のパワーバランスに変化が起こった時に世界大戦が起きたのが歴史を見てわかる事。

    第二次世界大戦、冷戦を通じて世界の覇権国となったアメリカは明らかに力を失い、中国、ロシア、グローバルサウスの国々が力をつけている。
    日本は日米同盟を重視しつつも、外交交渉で周辺各国と絶対に戦争を起こさないような知恵を考え続けるべきである。
    一見正しい威勢の良い言葉は一歩引いて判断すべきだと思う。

    0
    2024年08月11日
  • 平城京

    Posted by ブクログ

    かつて遣唐使として活躍した阿倍船人が平城京を造るために奔走する物語。同著者の「迷宮の月」に続く話である。
    白村江の戦い、壬申の乱といった聞いたことはあるけどイマイチ何なのか分かってない史実を織り交ぜ、遷都を妨害する黒幕の正体を追う船人の奮闘がドラマチックに描かれている。
    巻末解説にもある通り、テクノクラート×ミステリとして楽しめる一冊。
    地理や建造物に関する説明が随所にあり、より風景のイメージが湧きやすいが、人によっては疲れてしまうかもしれない。だが、細かいところは読み飛ばしてしまっても物語として十分楽しめる。

    0
    2024年08月03日
  • 特攻隊員と大刀洗飛行場 四人の証言

    Posted by ブクログ

    福岡県にあった東洋一の太刀洗飛行場
    そこで働いていた特攻隊員や技術者、4人の証言

    こんなところに巨大な飛行場があったことに驚いた
    また平和祈念館にいかなければ

    0
    2024年07月16日
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変

    Posted by ブクログ

    芝川町の西山本願寺にある「信長の首塚」に信長の首が埋められている
    信長の怨霊を封じ込めようと言う意図があったのかもしれない
    スペインによるポルトガル併合の影響があり、ポルトガルの支援によって世界布教に乗り出していたイエズス会は、後ろ盾を失って、存亡の危機に陥った
    かくてキリシタン派は、秀吉を天下人に押し上げることによって天下を掌握した。そして変から4年後には、秀吉政権に明国出兵を承諾させることに成功した
    戦国時代は、キリシタンの時代だった


    0
    2024年07月09日
  • 黄金海流(下)

    Posted by ブクログ

    感想を聞かれれば間違いなく面白かったと答えるけれど、大物たちの去り際といい、港工事の結末といい、このボリュームの割に物足りなさも残る。
    敢えてさらりと書いたのだと思いますが、特に後者は完成の喜びを皆と一緒に味わいたかったな。

    0
    2024年06月21日
  • 黄金海流(上)

    Posted by ブクログ

    蝦夷地との交易の拠点とすべく伊豆大島の港湾開発計画が検討される中、そこから上がる莫大な利益を独占すべく陰謀や、独自のルールに固執する島民などの間で血生臭い事件が多発する。
    それに加えてあの長谷川平蔵が坊主に姿を変えて登場したり、松平定信らしき人が何故か合間合間に回想したりと、先がまだ読めない展開が続いている。
    こんなマイナーなテーマのくせにやけに面白しいし、まだ半分なのでこれから先の展開に期待します。

    0
    2024年06月17日
  • 風の如く 水の如く

    Posted by ブクログ

    読んだ本 風の如く水の如く 安部龍太郎 20240612

     長らく歴史小説、時代小説ばかり読んでた時期があって、司馬遼太郎、山岡荘八、吉川英治、池波正太郎。人物や出来事に焦点を当てて、それぞれの歴史観、解釈を楽しんでました。
     安部龍太郎の場合、設定が大胆なので歴史小説の範疇を超えて時代小説って感じがするんですが、段々とこれが事実のように感じていく。記録に残った事実は皆に知られてるけど、記録に残ってない事実も当然ある訳で、それは作家の想像力が埋めていくって意味では立派な歴史小説なんだよな。
     黒田如水は、関ケ原の合戦が行われてる時に九州を席巻して、どさくさ紛れに天下を狙ってたってのは周知の事

    0
    2024年06月12日
  • 薩摩燃ゆ

    Posted by ブクログ

    先月終わりに鹿児島に行く予定があったので、直前でこの文庫を買い持参しましたが、少々時間がかかってしまい、結局昨日読み終えました(笑)。

    薩摩藩の繁栄には、調所広郷という1人の家老がいたんですね。あまりの真っ直ぐさ、執念、信念、バイタリティに、言葉を失うぐらい圧倒させられました。そして先月訪れた仙巌園、至る所で眺めた桜島を思い出し、広郷も同じ風景を見ていたんだろうな、最期に浮かんだのはどこから見た桜島だったのカナ?と、胸がいっぱいになりました。
    最期は江戸ではなく、故郷薩摩の地で迎えさせてあげたかったです。

    0
    2024年04月20日
  • 対決! 日本史 戦国から鎖国篇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    〈戦国時代の日本は世界の大航海時代の中でとらえなければ理解することができない〉
    目的を持たずに海を渡らない。鉄砲伝来も。日本だけでは火薬は作れないから外国との貿易重要。貿易が盛んになると日本国内の経済構造が変化する。
    「日本がこれからどういう国になるべきなのか」という重大な路線選択が関ヶ原の戦い。

    0
    2024年04月02日