安部龍太郎のレビュー一覧
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黒田如水を水とすれば、徳川家康は風。
関ヶ原の戦いの裏で九州平定に黒田如水が動いたという史実を最近知った。
大河ドラマにもなるというので、強く関心を持って、如水を取り上げた作品を読み進めるうちに出会った一冊。
天下分け目の合戦に際し、多くの人がそれぞれの想いを胸に、多種多様な動きをしたが、全てを見通してた男がいた。
またその時歴史を動かした人々の中に、天下の二兵衛と呼ばれた竹中半兵衛、黒田官兵衛の息子達が重要な役割を果たしていたとの事。
なんだか浪漫を感じる。
戦国時代を勝ち抜き260年にも及ぶ江戸時代を築いた家康の凄さを感じてしまった。 -
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絵仏師であった長谷川等伯が国宝「松林図屏風」を描く境地に至るまでの生涯を綴った時代小説。第148回直木賞受賞作。織田信長、豊臣秀吉、狩野永徳など、多くの偉人に翻弄され続けた等伯の生涯に焦点を当て、日蓮宗法華宗など当時の宗教による教えも丁寧にわかりやすく書き記されている。確かに当時の文化は宗教と密接に結びついているので、そこのところを疎かにしないところに筆者のこの作品に対する意気込みと思いが伝わってくる。
登場人物である千利休の人間性に興味をもったので、次は「利休にたずねよ」(山本兼一著 第140回直木賞受賞作)を読んでみようと思う。
こんな風に興味が広がっていくのが読書の醍醐味。 -
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絢爛豪華な源平絵巻もの、圧倒的な情景再現力。既知の義経物語を当時の朝廷の動きに着目して描いた作品。律令制度が崩れ、御恩と奉公という新たなる武家制度の規範を目指す時代。類まれな政略家だが小心者の頼朝。義を重んじる知勇優れた天才武人だが空気を読めない義経そして智謀優れた政略家だが自分勝手で人をかき混ぜるだけかき回し知らん振りを決め込むワガママ後白河法皇。思惑が火花を散らし生き残りをかけた手に汗握る調略戦。攻防の鍵を握るのは“雅道“と“三種の神器“。作者は吾妻鏡などその時代の作品を読み込み独自の視点でキャラを設定し既知の歴史的事実に潜む心の闇に光をあて見事に真相を立体的に浮き上がらせる。そして義経物
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語り尽くされた感のある関が原合戦を当時の朝廷の動きに着目して描いた作品。信長、秀吉があいついでなくなり天下の趨勢は次第に家康へと。天下布武を狙う石田三成。文治政治を復興させたい近衛前久。そして天下三分の計略を謀る細川幽斎。思惑が火花を散らす。生き残りをかけた手に汗握る調略戦。攻防の鍵を握るのは歌道の伝承を記す“古今伝授“と秀吉の秘事が記されている“連判状“。歴史の謎に光をあて関ヶ原合戦裏の攻防を浮き彫りに。最後の最後までワクワクドキドキ。歴史、ミステリー好きの私にはたまらない一品です。なおこの作品、加藤廣の「信長の棺」とセットで読むと楽しみ倍増です。
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戦国時代を生き抜き、時代を代表する狩野永徳と競い合った絵師、長谷川等伯(信春)の物語、いよいよ下巻です。上巻少しのんびりしていた物語が、時代の流れと共に一気に加速します。ここでは、永徳に弟子入りすることになった等伯の息子久蔵の成長ぶりが目を引きます。久蔵のたぐいまれな絵の才能を見抜き、狩野派を継がせようとする狩野永徳と、一人息子ゆえに自分の長谷川派を継がせたい父親等伯。りこうな久蔵は当然、父の元へ帰りますが、そのことがわがままな狩野永徳の怒りをかうことになり、等伯の絵師としての仕事をことごとく妨害しにかかります。狩野永徳を羨ましがっていた等伯は、そこではじめて自分がたとえようもない宝物を持って
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直木賞受賞作であり、その主人公も戦国時代から江戸時代までを生き抜いた絵師ということで興味もわいてきたので、読んでみました。主人公長谷川信春(等伯)は、生れながらにして絵を描くことが好きな絵仏師です。狩野永徳の存在に焦燥感を感じ、出身地能登から都に出て絵師として大成したいという願いを持っていました。義父母の非業の死により故郷を離れざるを得なくなり、途中、織田信長の比叡山襲撃焼き討ちに遭遇し、比叡山側についたため信長側から追われる身となります。そんな逆境の中でも絵を描くことだけは忘れず、それで名をあげていきます。やがて本能寺の変がおこり、信長側の追跡がなくなったことで、やっと落ち着いて絵師としての
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日本はある種特殊かも。
国家の主権は国民となっているが、脈々と続く天皇家がありながら、天下を治るのは公家であり武家でありしてきた。
なるほど〜
こういう歴史もあるかも。
信長を語る書籍は沢山ある。
今まで沢山の書籍を読んだと思うが、ほとんどがお濃の方をきちんと描写していた。
美濃を治めていた斎藤道三の娘が信長をきっちりコントロールしてたんだろうなと、何となく思い込んでたが、それはそれで人間味のある信長像。
だが本能寺の変までの一年余りに凝縮されたストーリーでみると、もっと人間味のある信長像が描かれている。
新たな歴史観を感じさせてくれた一冊。 -
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正信次男坊のお話。予想以上に面白くて半日で読んでしまった。
物語らしい脚色もありながら、目を背けたくなるような現実も突きつけてくる。本当に朝鮮の役はむごい。どうしてこんな事をしたんだろうと思うが、理由なんかいらない。こんな事してはいけないのだ。強くてカッコいい主人公だが、結局は無力で見過ごしているところもちゃんと書いているのが現実的だった。
登場人物もみんな魅力的!本当に20代なのかってくらいおっさん臭いしっかりした主人公(でも子供の泣き声に弱い)録より何より自分の生き方にこだわる天晴な人物。
秀家はかっこいいし、三成の姿勢には泣けた。近衛信尹さんが愉快。そして正信パパがなんか可愛い←