安部龍太郎のレビュー一覧

  • 天下布武 上 夢どの与一郎

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    時代モノの小説の中には「色々な要素」が入り込む余地が在ると思う。

    武芸がぶつかり合うようなアクション…妖しい術を弄する忍者の暗躍…軍勢が勇壮に戦う合戦…誰かをはめようとする謀略の仕掛け合い…事件の謎解き…家族…恋愛…青春…と、「エンターテイメント」のあらゆるモノが入っていて構わない訳だが…

    上述の「エンターテイメント」のあらゆるモノに加えて、「往時の対外国関係」を加味した仮説による、有名事件の「本当はこういうことだった?!」まで含めた、なかなかに壮大な物語だ!!

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    2014年12月10日
  • 浄土の帝

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    本作では“間接的”にではなく、“直接的”に後白河院の様子が描かれる。小説の視点人物に据えられているのである。彼の眼線で、当時の貴族達の駆け引きや、武士達の戦いが活き活きと描かれている。そんな中で後白河院が目指したもの…或いは「天皇と日本人」、「日本人と天皇」というような深いテーマをも考えさせてくれる内容だ…

    “時代モノ”の中には、こんな時代を背景にした作品は豊富とも言い難く、やや馴染みが薄い人物達が活躍している作品だが、これが面白い!!

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    2014年12月06日
  • 密室大坂城

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    巨大な城を捕まえて“密室”と言うのは、少々引っ掛かるが…2人の視点人物の心中に関しては、正しく“密室”である…

    “大坂の陣”を舞台とする、或いは舞台の一部とする物語には随分触れてきた感だが、その都度に何となく思うことが在る。或いは手近な場所で「“大坂の陣”に臨む豊臣陣営」のような状況が、多く起こっていないだろうか?何か、多少面倒なことや、一寸難しいことに関して、妥当性が高いのか否かがよく判らないことを声高に主張しているグループが、何やら主導的になって事の進行がよく判らなくなる…適任か不適任か判らない者が、主導的グループの成員、またはそこに近いというだけで指揮を執る…形式の上で敗れても、和議の条件次第では「必ずしも後退ではない?」という闘い方も在ろうが、そういう結果にはならない…“大坂の陣”は、色々な人達が各々の型で関っている大きな紛争で、時代モノの題材としては扱い易いのかもしれないが…或いは、「考えてみれば、幕府方が相当な犠牲を強いられ、大坂城側の完敗とも言い難い側面が在りながら、何故滅ぼされたのか??」という辺りに、「示唆に富むモノ」が在るから、色々な型で取上げられるのかもしれない…

    それにしても…本作の「活き活きとした豊臣秀頼」がなかなかに好い…

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    2014年11月30日
  • 等伯(下)

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    「すみません。業が深くて」--なんとすさまじい生涯であろうか。松林図の描写も迫真だ。仏道を求める、真の人生を求める激しさが芸術へと結実する。名場面、名台詞の数々が今も脳裏に焼き付いて離れない。このような小説に出会えて、幸福だ。

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    2014年11月27日
  • レオン氏郷

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    キリシタン大名の蒲生氏郷の小説。高山右近と並んでキリシタン大名として有名なのだとか。しかし右近が二代目クリスチャンなのに対し、氏郷は一代目。右近が洗礼名を授け、先輩として信仰の模範として描かれている。彼を見て信仰に入った氏郷も、この世の権力争いなどに翻弄され、右近と同じように信仰と現実の戦いに悩まされるという小説。作者はおそらく未信者だろうが、とても良く信仰者の葛藤が描けている。特に権謀術数にたけている伊達政宗とのやり取りはキリスト者として読んでいて氏郷の気持ちに共感できた。またその政宗と秀吉のこの世的な渡世のうまさには氏郷と共に呆れる思いがし、世のはかなさの中でエラそうに振舞ったり媚びへつらったりする事の空しさを思わされた。

    星五つ。

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    2014年07月26日
  • 等伯(上)

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    ネタバレ

    長谷川等伯がずっと好きだった。
    「好き」という表現は少々軽いかもしれない。

    狩野派全盛の織豊政権下、
    「時代の寵児」だった狩野永徳や、
    時の最高権力者である関白秀吉らに対し、敢然と戦いを挑み
    己の地位と長谷川派を画流を確立した等伯。

    そんな「時代の反逆児」等伯に対する思いは
    「好き」というより、「畏怖」「畏敬」の念に近い。

    最近になり、安倍龍太郎の直木賞受賞作「等伯」を読み、
    絵仏師、画家としての等伯を、
    法華経の信奉者として
    戦国の安土桃山時代を駆け抜けた人間として
    そして何より芸術を探求する表現者として
    深く理解することができた。

    印象的な台詞や注目すべき箇所には
    思わず鉛筆でラインを引いてしまった。
    受験の現代文読解のように(笑)
    読後の感動が冷めやらぬうちに、感想を書きたいと思う。

    人間は誰しも困難や挫折、悲劇と直面し、
    哀しみを味わい、葛藤し、悩みを抱えながら生きていく。
    武家社会の計略、因縁に巻き込まれ、
    「焦熱の道」を歩んだ等伯にも様々な悲劇が降りかかる。

    養父母の自決から、故郷の七尾を追われた等伯。
    京の都に妻と幼子を連れて旅立つ途中で
    信長の比叡山焼き討ちに独り巻き込まれ、
    追われる身となった苦しい時代。
    愛妻の死、
    狩野派との暗闘、
    師と仰いでいた千利休の自刃、
    そして愛息・久蔵の死。
    戦国時代の荒波に飲ま混まれれるような悲劇と困難の数々。
    窮地に陥った等伯も嘆き苦しむのだが、
    彼を救ったのは法華経の教えと
    「とこしえの真善美」を探求する芸術家としての信念だった。

    この本を読んでいて
    東日本大震災に伴う津波や原発事故で
    故郷や大切な人を失った人たちの姿が重なった。
    自分も被災地を訪れ、大切な家族を失った人達を取材した人間の一人である。
    ジャーナリストは、芸術家とは違うが
    世の中に真実を伝える「表現者」である点は共通すると思う。
    そういう意味では、大変おこがましいが、
    等伯の反骨心、権力や理不尽なものに敢然と立ち向かう姿を読むにつけ
    自分の弱い生き方を恥じるとともに
    「かく在りたいな」という畏敬の念を抱かざるを得なかった。

    自分も迷える人間だが、
    等伯のように悲しみも喜びもすべて背負いながら
    己の人生を強く生きていこうと思う。
    そして、等伯の絵を訪ね、京都や七尾、敦賀を旅したいと思った。

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    2014年05月11日
  • 等伯(上)

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    等伯展で、生きざまに感動し、この本を知ったとき、読みたいと思っていました。読み終えてから、再度、等伯の絵を見たいです。

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    2014年04月30日
  • 等伯(上)

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    信長の時代を、長谷川等伯(と、その妻)の視点で観れるのはすごく良かった。
    石川県から大阪府の間の位置とか道とかが分かってた方が面白いかも。

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    2014年04月02日
  • 天下布武 下 夢どの与一郎

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    本能寺の変の謎に迫る。
    諸説あるが世界を視野に入れていたとされる信長ならこんなことも起こりうるなぁ。

    過去の歴史、積み重ねを大事にするのは必要やと思うけど、将来のためにならないものは変えていく。
    情報伝達手段が発達していない当時は今以上に利権の集中と言うものがあり、武力がものを言う世界だったので力で変えようとしたのだろう。

    でも相手が悪かったのかな。
    もしはないですが、秀吉ではなく信長が世界に出てたら。
    そんな世界を想像するのも面白いかも。

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    2014年02月26日
  • 等伯(上)

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    1章ごとの話が濃くて読み応えがある。登場人物の性格も個性的で、覚えやすかった。
    画家「長谷川等伯」の視点から大きな歴史の流れが描かれており、歴史物としても、伝記としても興味深く読める。独特の醍醐味を味わいたくて、二度、三度と読みたくなる本。

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    2014年02月05日
  • 風の如く 水の如く

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    黒田如水を水とすれば、徳川家康は風。
    関ヶ原の戦いの裏で九州平定に黒田如水が動いたという史実を最近知った。

    大河ドラマにもなるというので、強く関心を持って、如水を取り上げた作品を読み進めるうちに出会った一冊。

    天下分け目の合戦に際し、多くの人がそれぞれの想いを胸に、多種多様な動きをしたが、全てを見通してた男がいた。

    またその時歴史を動かした人々の中に、天下の二兵衛と呼ばれた竹中半兵衛、黒田官兵衛の息子達が重要な役割を果たしていたとの事。

    なんだか浪漫を感じる。

    戦国時代を勝ち抜き260年にも及ぶ江戸時代を築いた家康の凄さを感じてしまった。

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    2013年12月05日
  • 蒼き信長(上)

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    中学時代から信長好き。あの頃読んだのは山岡荘八だったか。微妙なディテールの違いはあれど、大筋はやっぱり同じ。それでも楽しめるのは、やはり好きなればこそか。

    序章は信秀(父)のストーリーなので、そこは新鮮味あり。でもやっぱり好きなのは信長の話(笑)

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    2013年10月22日
  • 等伯(下)

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    絵仏師であった長谷川等伯が国宝「松林図屏風」を描く境地に至るまでの生涯を綴った時代小説。第148回直木賞受賞作。織田信長、豊臣秀吉、狩野永徳など、多くの偉人に翻弄され続けた等伯の生涯に焦点を当て、日蓮宗法華宗など当時の宗教による教えも丁寧にわかりやすく書き記されている。確かに当時の文化は宗教と密接に結びついているので、そこのところを疎かにしないところに筆者のこの作品に対する意気込みと思いが伝わってくる。
    登場人物である千利休の人間性に興味をもったので、次は「利休にたずねよ」(山本兼一著 第140回直木賞受賞作)を読んでみようと思う。
    こんな風に興味が広がっていくのが読書の醍醐味。

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    2014年08月13日
  • 下天を謀る(上)

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    ネタバレ

    直木賞作家が描く、戦国末期の諜将:藤堂高虎。
    とにかく面白い!

    高虎本人は勿論、周囲で描かれる、豊臣秀長、秀次についても
    これまでのイメージが覆される人物像。

    何よりも太閤秀吉については、三成、淀殿との関係性から
    晩年の凋落ぶりが生々しいくらいに描写される。

    主題の“謀る”の意味も取り違えていた。
    秀吉・家康それぞれに重用された、高虎の生き様に
    物語にどんどん引き込まれている。

    とにかく、下巻が楽しみでならない。

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    2013年06月06日
  • 下天を謀る(下)

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    あっという間に上下巻を読んでしまいました、新しい歴史感というのでしょうか、新しい戦国時代の歴史の理解したように感じます。一読の価値ありお勧めです

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    2013年06月01日
  • 下天を謀る(下)

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    本作の藤堂高虎…巨体を揺す振って槍を振るう荒武者であり、独特な構想力で城の縄張りを立案し、建設時の技術的難しさを克服するアイディアを出し、配下の甲賀・伊賀の忍者を駆使した諜報戦を行い、徳川陣営の“裏の参謀総長”といった趣で謀を巡らす…こういう多面的な藤堂高虎だが、繊細で義理堅い男でもある…本作は、こういう「素晴らしい男」に出会わせてくれる!!多くの皆さんに奨めたい!!

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    2013年06月01日
  • 下天を謀る(上)

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    本作の解説に在るのだが…藤堂高虎は「利得第一を原理に行動」で「保身が巧い」と見られ勝ちな人物であるが、実はそうでもない…徳川家康が実力派大名の中から見出した彼の“同志”的存在であり、幕藩体制の礎づくりに尽力した人物であり、他方で領国の繁栄を目指して有益な仕事を多くしているということが、本作では綴られている…

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    2013年06月01日
  • 下天を謀る(上)

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    藤堂高虎を主人公にした時代小説なのですが、ちっとも古臭く感じないのは、精神性が素晴らしく私たちの心に響く何かがあるからだろう

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    2013年05月25日
  • 血の日本史

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    ネタバレ

    筑紫国造磐井の反乱から紀尾井坂の変までの歴史の破れ目に遭遇した人たちの葛藤の記録を描く46編の短編集。

    タイトルの通り、裏切り、謀略、反逆、暗殺など歴史の暗い部分を集めながらも、歴史的事象における人物の心の動きや背景も含めて物語にしてくれているので、歴史の勉強にもなる入り込みやすい内容。

    「闇」の部分を集めたというコンセプトに、こういう作品は今までみたことがなく印象深かった。

    なかでも平将門、木曾義仲、高師直の話は熱いものがこみ上げて来るものがあって良かった。

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    2013年05月16日
  • 天馬、翔ける 源義経 下

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    絢爛豪華な源平絵巻もの、圧倒的な情景再現力。既知の義経物語を当時の朝廷の動きに着目して描いた作品。律令制度が崩れ、御恩と奉公という新たなる武家制度の規範を目指す時代。類まれな政略家だが小心者の頼朝。義を重んじる知勇優れた天才武人だが空気を読めない義経そして智謀優れた政略家だが自分勝手で人をかき混ぜるだけかき回し知らん振りを決め込むワガママ後白河法皇。思惑が火花を散らし生き残りをかけた手に汗握る調略戦。攻防の鍵を握るのは“雅道“と“三種の神器“。作者は吾妻鏡などその時代の作品を読み込み独自の視点でキャラを設定し既知の歴史的事実に潜む心の闇に光をあて見事に真相を立体的に浮き上がらせる。そして義経物語には珍しい素敵な終わり方♪。ところで今週から鎌倉祭が開催されるとの事。悠久の時を感じれるイベント。天気もいいし今から行ってみよう〜。

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    2013年04月27日