安部龍太郎のレビュー一覧
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信長と近衛の謀略戦は最終章へ。
近衛は、明智光秀、細川藤孝、羽柴秀吉に調略の手を伸ばし、伊賀の忍、公家の美女、あらゆる要素を利用し信長を討とうと目論む。この作品中で、近衛、細川、明智が当初足利義輝と共に公武合体の体制で日本を統一しようとしていたという設定がおもしろい。
新しい国家感の違い(信長:自ら朝廷を凌駕せんとする 近衛:朝廷を中心とした国家を目指す)から事態は本能寺の変へと向かう。
安部氏の描く信長は、天才的発想と強靭な意志を持ちながらも孤独な姿、心の疲弊に苦しんでいる。合理的な頭脳をもった彼は世の中の理不尽な(と信長には思われる)物事が許しがたく、世の中の体制、常識というものに戦 -
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本多正信の次男、本多政重を描いた作品です。
阿部龍太郎の作品は、わかりやすくていいですね。
史実では自由奔放な人物として何度も主家を変えるのですが、この作品ではその事にはあまり触れずに、関ヶ原合戦の前後を中心に描いています。
政重は、その後、会津120万石から30万石に減封・移封された米沢藩の、上杉家家老・直江兼続の娘婿となります。
兼続も、謀将・正信の次男政重を通じて、お家存続のために仕方なく縁組を行なったのでしょう。
しかし、兼続の娘は病死してしまい、今度は弟・大国実頼の娘を娶らせますが、政重は、減封によって生活に苦しむ米沢家家臣団に気兼ねして、出て行きます。
最後に、加賀前田家に仕えて、 -
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2007/3/4購入。買い逃していた
2010/2/8~2/14
この信長燃ゆは、安部氏の三部作「関ヶ原連判状」、「神々に告ぐ」の最終作。信長という希代の傑物を相手に守旧派である近衛前久がどのように皇室や既得権益を守ったか、が描かれる。
何故、信長の野望は本能寺で光秀の謀反によりついえたのか?数々の作品がこのテーマを扱ってきたが、安部氏流の解釈に基づく作品が本作。物語は本能寺の変の35年後、信長に小姓として仕えていたたわけの清麿が本能寺の変について記録を残して欲しいと依頼されるところから始まる。史実をもとに想像の翼をはためかせて、安部氏の想像は、これこそが歴史の真実と思わせるところまで昇華 -
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朝廷黒幕説だけど朝廷の貴人と信長が恋愛関係(表現が適切か分からんけど)になるところや弥助がかなり優秀な人物だったりと斬新な解釈で面白い。最近の研究では信長凡才説が主流みたいだが当時の黒人を即座に家来にしている辺り人物を観る目に関しては優秀だったと思われる。何より天下を取った秀吉や家康が生前に毛ほども武力反乱(秀吉は命令違反したり、家康も交渉はしているけど)しなかったし。ただ本書でも英雄的面よりも酷薄さも表現されているので中立的な評価はされていよう。
近衛前久が剛毅そうで陰湿で息子も騙すので人物としては嫌いになる。とはいえ現代から見てなのでむしろ天皇制を守った偉人と言えなくもない。