安部龍太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025.10.28
本書の解説は縄田一男。このシリーズは解説がとても良い。読むかどうかは各巻の解説を読めば明らかではないかと思う。
次に小牧・長久手の戦いを始めとする家康と秀吉の戦いはきめ細かく描かれていて、地元に住んでいる者として、距離感なども含め、それぞれの立地や位置関係がしみじみと伝わる。
最後に秀吉の名古屋弁というか尾張言葉の巧みさである。令和の今でも、名古屋の人は名古屋弁、尾張ことばと標準語を使い分けているが、秀吉の描写では、さもありなんという感じがこれも地元民としてリアリティが高い。
以上三点について述べたが、こうした例に示されるようにさまざまな点に目配りが効いている作品だからこ -
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本多正信、正純は歴史の表舞台に立った有名な親子。正信には養子に出した息子、政重がいて、この本の主人公だ。私は正信、正純を相似形として認識していたが、政重を知ることで正信をより深く理解出来たように感じた。正純、政重いずれも父、正信の一面と思えば、正信は陰湿な策謀家という私の評価も不屈の信念の人と変更すべきかもしれない。
それにしても親子三人の絡み合いはなかなか興味深い物語だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレGPSの進歩により、灯台がその役割を終えていっているという事実を初めて知った。
「海と灯台プロジェクト」協力のもと、灯台が存在することの意義を、その土地のあらましや歴史、灯台を守ってきた人々にスポットライトを当てることで言語化した、6名の作家さんによる紀行文。
作品を読みながら旅行気分に浸れるので愉しい。作家のみなさんが灯台の中の螺旋階段を登り、灯台室に入られる場面のわくわく感が伝わってきた。フルネルライトを初めて検索したが、見事なライトであった。
灯台の父と呼ばれるイギリス人のブラントンさんという方が、菜種油で火を灯す木造の灯明台が主な海の道標だった日本に、西洋式の灯台をもたらした。また -
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白村江の戦い以降断絶されていた日本と唐の国交回復に命を懸けた人達の物語。
主人公の粟田真人(あわたのまひと)を始めとした遣唐使一行に立ちはだかるのは未開拓の航路、GPSの無い航海、唐の気候、疫病、日本国内での勢力争い、そして唐の皇帝…
様々な困難に立ち向かう強さを見せつつも、娘に宛てた日記から垣間見える人間らしい弱さとのギャップが真人のキャラを際立たせている。
スマホも電気も無かった時代でも人間はここまで頑張れるんだ!という気持ちにさせる人間ドラマでありながら、中国、日本、朝鮮の歴史も学べる良書。エンタメとしても学びとしても大満足の一冊であった。
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Posted by ブクログ
薩摩藩主・島津重豪の命令によって無謀とも言える財政改革を始めた調所笑左衛門広郷の話。西郷隆盛の話を読んだ時に悪名高き家老として登場したので興味があった。
西郷や奄美大島の人々からしたら、島を黒糖地獄に追い込んだとんでもない悪人である。しかしながら笑三衛門の立場を知ると、ワンマン経営者から無理難題を押し付けられて不正改ざん行為を日々やらされている有能な部下のような哀れさを感じた。一度足を踏み入れてしまえば、二度と這い上がれない蟻地獄のようである。読んでいると、もうこれはマトモな死に方をしないんじゃないかと確信した…。
幕末の琉球貿易や裏取引である唐物抜荷の実態、そこから上がる膨大な利益を投資 -
Posted by ブクログ
日本の歴史は外圧から影響を受けて社会が変化して、古い政権から変化に適応したものが政権を取る繰り返し。
そして適応とは結局のところお金、経済を握る事。
室町後期から戦国時代にかけて、世界は大航海時代。ポルトガルが種子島に鉄砲を伝えたところから南蛮貿易が活発化。この流れに乗ったのが島津氏、毛利氏、そして信長だった。
当時の鉄砲の鉛の70-80%は輸入、火薬の硝石はすべて輸入。外交能力がないと生き残れなかった。
その中で信長は旧来の領土拡大ではなく、通商権を抑えた。つまり港。
信長は律令制の中央集権国家を構想。そして重商主義の志向。武士から土地を引き剥がす事で戦国時代を終わらせて国を安定さ