安部龍太郎のレビュー一覧
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ネタバレ『ふりさけ見れば』 安部 龍太郎 著
阿倍仲麻呂とその生涯の友である吉備真備を軸に、中国側からは、玄宗皇帝・楊貴妃・安禄山・鑑真・王維・李白、日本側からは、天智~称徳天皇・藤原不比等・藤原仲麻呂と、「VIVANT」並みの豪華キャストで展開。
白村江の戦いで日本が唐・新羅軍に敗れ、日本が唐に冊封のため使者を送ったところ、①律令制度を導入し律令国家とすること、②仏教を国の基本理念とすること、③長安にならった条坊制の都を築くこと、④国史で天皇の由緒正しさを示すこと、を唐から申し渡され、①は大宝律令制定、②は各国に寺の造設、③は藤原京の造営、④は『古事記』の編纂計画、と対応。しかし、④の国史に -
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歴史の学び直しの一環として読んだけれど単純に面白かった。何故かこのシリーズを最新の4巻目から読んでしまったけど、この第1巻の方が最後まで学ぶだけでなく楽しく読むことができた。
作中で安部さん、佐藤さんが語られているように「日本史」「世界史」として分けるのではなく、ひとつの繋がりのある「歴史」として学べる環境が学校でも整えられればいいのになぁと思う。子どもの頃は、そんなことを考えずに単にテストや受験を意識して暗記科目として捉えてる部分もあったけど、歴史を学ぶこと自体は楽しかった。でも、他科目との繋がりを気づけずにいてとても残念だったなと。
過ちを繰り返さないためにも、また相手の思考の背景にあるも -
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ネタバレ主人公の三島清十郎は西日本各地と明国を股にかけた貿易で政治力を発揮していく。鉄砲伝来直後、天下統一に向けて各地の武将が鎬を削る時代。火縄銃そのものの製造は勿論のこと、兵器として運用するために重要な鉛や硝石をどのようにして得るか、商品を買い付けをする銀をどう抑えるかなど、貿易の描写に力点が置かれているので勉強になった。
・石見銀山は日本最大の銀鉱床で当時の日本の銀は世界産出およそ3分の1を占めていた。銀山の利権を確保するために、支配権を巡って大名同士が激しい戦を繰り広げていた。
・灰吹法は、まず銀鉱石と鉛を同時に熱し銀と鉛の合金を作ることで鉱石と分離させる。その合金を灰の上で熱すると、融解点の -
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日本という国家が段々と形作られていく、その過程において「天皇」というブランドが何を意味するか
朝廷はなぜ中華システムの一端に組み込まれることを拒絶し、あくまで独立した1つの民族として中国と対等に接しようとするのか
そして天皇と皇帝、日本と中国の板挟みになりながらもあくまで任務に忠実であろうとする粟田真人を支えたものは何なのか
舞台は中国大陸ですが、日本の古代国家建設における朝廷の試行錯誤や葛藤が真人の背中から伝わってくる感覚が味わえて読み味抜群でした
武周革命において唐王朝の支配が一大変革期を迎えていた時代、「東の蛮族」であった真人が宮中に渦巻く複雑な勢力抗争を利用しながらその奥へ奥へと入り込