安部龍太郎のレビュー一覧

  • 維新の肖像

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    戊辰戦争の認識が変わった。我々の歴史観は、薩長土肥出身者によりつくられたものであったということだ。第二次世界大戦後の正義が戦勝国によりつくられたのと同じように。
    明治維新後の危うさが、そのままに近代日本の暴走の芽になっていたのか

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    2026年04月12日
  • 維新の肖像

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    ネタバレ

    語り手の朝河貫一という人物は知らない。
    歴史小説を読むたびに自分の不勉強を呪う。
    戊辰戦争を生き延びた元二本松藩士の息子である貫一氏は、後にイェール大学の教授になる人物である。
    戊辰戦争だけでなく明治維新を語るときに、薩長側からの視点なのか、旧幕府側からの視点で語られるのかで、全く逆の物語になる。
    新政府軍の手段を選ばない姿勢が、満州事変や上海事変を起こし、そこには義がないと見る歴史学者の貫一。
    手段を選ばず、勝てば何をしてもかまわない、と言う考え方は、現在における大国の覇権主義とかわらず、唾棄すべき思想であるが、その正義を声に出さない日本がある。
    と、現状のわが国を憂うような内容である。

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    2026年02月27日
  • 冬を待つ城(新潮文庫)

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    主な舞台は今の岩手になるだろうか。
    豊臣秀吉の最後の国内戦。
    たった3,000の相手に10万以上の軍を派遣し制圧せんとする。

    前半まで東北の暮らしや価値観が丹念に描かれる。そして中央と内通している味方の誰か。ミステリ要素もふんだんに散りばめられ、物語は続く。
    あの極寒の冬になれば、豊臣軍は退く。そうしてまたいつもの暮らしを、自分たちの普通の暮らしができる。誰もがそう思っていた。だからこそ冬を待つ城というタイトルなのかな。
    だが、そこには豊臣側の野望も含まれていた…見据える先には何が…という話。
    実際の事実は別にして、歴史小説としてとても面白いし、読みやすいものでもある。職場の人たちに勧めたこ

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    2026年02月14日
  • 蝦夷太平記 十三の海鳴り

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    舞台は今の青森。
    東北日本海側の経済、アイヌも含めた人々の暮らしが描かれる。そして内乱…と思いきや、中央権力とも無関係ではいられない、繋がっている社会。
    鎌倉末期は舞台としておもしろい。

    ちなみに、安倍龍太郎の歴史小説の主人公は、なぜか全員精力がすごい。もちろんそれだけではないが、不思議?神秘的?な力を持っている。

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    2026年02月14日
  • 血の日本史

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    古代から近世にいたるまでの日本史を、「権力者たちが流した血」「血によって動いた歴史」という視点から読み解く歴史論考。大化の改新、源平合戦、戦国乱世、幕末など、日本史の転換点で起きた流血の背景に、権力争い・思想・制度の変化がどのように絡み合っていたかを描き出す。“血”を手がかりに、人間の欲望と支配の構造を暴き出す。極端に短い短編の中に、人物造形、話の巧みさ、文学性まで盛り込んだ至極の作品です~

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    2025年12月17日
  • 朝ごとに死におくべし 葉隠物語

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    2025.11.02
    50も半ばとなってから読むとしみじみとした思いになるとしかいいようのない一冊。なかなか、人間、覚悟をもって生きられないと思う故。

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    2025年11月02日
  • 等伯(上)

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    ネタバレ

    長谷川等伯という安土桃山時代から江戸初期に活躍した画家の伝記小説。上下2冊の長編小説ですが、一気に読み進むことが出来ました。

    恥ずかしながら私は、この本を読むまで長谷川等伯を知りませんでした。同時代活躍した狩野永徳は知っていましたが。こういう本を読んで、今まで自分の知らなかった有名人を知るのは楽しいですね。

    さて、この本の終盤の山場に出てくる「松林図屏風」ですが、東京国立博物館の新春特別公開で、実物を見ることが出来ました。感激です!!

    椅子に座って暫く「松林図屏風」を観てみました。しかし、その屏風から光と陰は感じることは出来ましたが、残念ながら私には、風までは感じることが出来ませんでした

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    2025年09月26日
  • 銀嶺のかなた(一) 利家と利長

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    ネタバレ

    加賀100万石の礎を築いた前田利家と利勝の親子の物語。1巻は前田利家・利勝親子が柴田勝家率いる織田軍の一員として上杉謙信軍を攻めた手取川合戦から、本能寺の変を経て権力を掌握した秀吉が勝家と雌雄を決することになる賤ヶ岳の戦いの序盤まで。

    本書の中で、毛利家が本能寺の変の後に秀吉と手を組んで講和を結んだのは、南蛮貿易を仲介しているイエズス会から秀吉方につくように指示があったからという説を取っている。巨万の富を生む石見銀山の銀を南蛮貿易によって輸出し、火薬の原料の硝石や弾の原料の鉛の輸入はイエズス会の仲介がなければできない。

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    2025年09月23日
  • 関ケ原連判状 上巻

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    2025年、25冊目です。

    現在は、朝日文庫から発刊されているようですが、わたしは、リユース店で200円で購入して購入しました。
    この時の出版社は、新潮文庫でした。

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    2025年09月18日
  • 関ケ原連判状 下巻

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    「古今伝授」と、本能寺の変のめぐる「秀吉の密書」を切り札に、細川家の行末を模索する細川幽斎の、前田家と徳川家康、朝廷、そして嫡男の細川忠興を絡めた謀略を描いたストリーは、関ヶ原の合戦前夜の緊張感あふれる雰囲気と共に、とてもスリリングだった。
    また数多く描かれてきた関ヶ原の合戦の中から、細川家という新たな視点で描かれたことで、とても新鮮に感じた。

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    2025年08月06日
  • 対決!日本史6 アジア・太平洋戦争篇

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    当時世界情勢の中の日本の状況と国内世論で戦争反対を叫ぶことは相当困難だったと想像する。
    唯一と言って良いマスメディアが戦争を煽っていた中、一般市民に戦争を避ける判断はできるはずがないと思われる。
    そこで重要なのは学者、政治家、軍人といった当時のエリートが国際関係を正しく判断して戦争を避けつつ国益を損なわない舵取りをすべきだったがそれに失敗したのが破滅に至った原因。

    本書で触れられている南京虐殺のくだりは知れて良かった。敵は便衣兵であることの恐怖は計り知れない。一般人であろうがやらなければやられる恐怖、女子供でも密告されて後で標的になるかも知れない恐怖、自分が軍に入れば同じことをやらざるを得な

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    2025年07月29日
  • ふりさけ見れば 下

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    結末は少々でき過ぎな気もするが、よくできたエンタメ歴史小説である。

    国の成り立ちに関わるある「情報」を求め、ドロドロの権力闘争の渦中に身を投げ、課せられたミッションを果たそとする主人公阿倍仲麻呂の真っ直ぐな生き方と躍動に胸のすく思いがする。

    古の日本にも世界の大国と渡り合える日本人がいたことを思い起こさせる。
    真備や王維、二人の「妻」などの脇役も光っている。

    Netflixで連続ドラマにならないか?
    堺雅人あたりを主人公に?

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    2025年05月03日
  • 銀嶺のかなた(二) 新しい国

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    豊臣秀吉編とでもいうべき第二巻、秀吉を軸に翻弄されまた自領を守り前田家の存続を測る利家と利長親子の駆け引き。違う角度から見る歴史は面白い。
    前田慶次もちょくちょく登場して嬉しい。

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    2025年04月02日
  • 銀嶺のかなた(一) 利家と利長

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    前田利家、利長親子を軸に描いた戦国物。本能寺の変の後の物語は秀吉、家康、明智光秀などが主人公である事が多いので、前田家から見た景色が面白かった。また、背後に南蛮貿易、キリシタンたちの暗躍があるのもなるほどと感じた。

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    2025年03月27日
  • 等伯(上)

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    いい本を読んだ。
    読後、何かに打ちのめされたかのようにしばらく放心状態になった。こんなにも迫力を感じることは久しい。
    著者の安部龍太郎はこの本で第147回直木賞を受賞。
    筆力が凄いと思う。

    長谷川等伯、安土桃山時代から江戸時代にかけて活躍した絵師。
    33歳で絵師を目指し能登から上洛し、苦難の道を経て、狩野派と肩を並べるほどの絵師になる。
    小説のクライマックス、日本水墨画の最高傑作「松林図」を身命を賭して描く場面が圧巻。

    この時代、歴史は激動の時。絵師も多かれ少なかれときの人により歴史の影響を受ける。

    故郷、七尾の家が七人衆の手のものに襲われ、養父母が自決に追い込まれる。上洛する途上、比叡

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    2025年03月19日
  • 蝦夷太平記 十三の海鳴り

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     鎌倉時代末期の津軽「安藤氏の乱」を描いた作品。中盤までは津軽・陸奥における各勢力図や経済体系が丁寧に描かれる。中盤から終盤にかけては室町期に向けた倒幕の動きが重なり、時代が動いていく。
     面白いけど冗長的というのが正直な感想。どのエピソードも面白く、盛り込みたい気持ちは分かるが、枝葉のエピソードの長さのせいで本筋がぶれてしまうのを度々感じた。例えば、イタクニップとの戦い。彼を追い込むが逃げられてしまうところで、急に熊との戦いが始まる。この経験がイアンパヌとの絆や季兼の覚悟に繋がるので必要性は理解するも次の展開を早くという気持ちが先行してしまう。都のシーンもしかり。最終盤でどんどん新しい人物が

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    2025年03月18日
  • 銀嶺のかなた(一) 利家と利長

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    前田利家と利長を描いた一巻目。
    織田信長の治世から本能寺の変により、織田家臣たちのパワーバランスが崩れて秀吉が台頭する。
    その時代の利家の逡巡や、民を支配するための信長ばりの殺戮の苦悩まで、時代に流されるのに抗う姿はリアルに伝わった。
    信長の娘永と婚姻を結んだ利長へと物語が引き継がれる。
    結末が分かっている歴史小説だけに、リアルに時代を描くこの小説の後編に期待する。

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    2025年03月01日
  • 灯台を読む

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    作家さん達が全国18か所の灯台を巡り、紹介する紀行文。島国である日本人は古くから海と共生してきたが、現在のような西洋式灯台が建設されたのは明治維新以降になってからだという。風の吹きすさぶ岬の突端でポツンと立ちながら必死に灯を届ける様子は、孤高であり浪漫を掻きたてられる。
    近代日本の文化遺産として、灯台が見直されつつあり、各地域では新たな観光資源となっている。各地に旅行に行く際に、灯台へふらりと寄ってみるのも楽しそうだ。私の地元の灯台も紹介されていたので、まずはそこから訪問したい。
    また、どの作家さんも『喜びも悲しみも幾年月』という映画について言及されていた。近代日本を支えた誇りある灯台守という

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    2025年02月11日
  • 婆娑羅太平記 道誉と正成

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    去年、楠木正成の息子を主人公とした朝日新聞朝刊小説にハマっていて、新聞の連載はとうに終わっているのに、未だ書籍にならず!!

    その影響で南北朝時代に興味を持ったので、書籍化を待っている間に、、と本書を手に取りました。

    道誉も正成も人望があり、とても魅力的な人物でした。
    特に佐々木道誉についてはほとんど知識がなかったので、本書が第一印象になります。
    二人は時に心強い仲間として、またある時は敵味方に分かれて戦うという、混沌とした時代ならではの運命が切なかったです。二人とも同じ志を持っているのにね。

    そして、後醍醐天皇の建武の新政って教科書でどう習ったっけ?!と気になりました。悪政、っていうかバ

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    2025年02月08日
  • 銀嶺のかなた(二) 新しい国

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    本能寺の変から秀吉の死の頃の前田家
    激動の時代を前田家の目線で見事に1冊にまとめた力量はすごい

    自分の子供ではない秀頼をトップにすえたい秀吉(ただの子煩悩の馬鹿ではない)や利家の陰に隠れて、出来ない2代目のイメージがあった利長の表にはでない動き方には、事実とは違うかもしれないが小説といしての冴えを感じました

    3巻以降も楽しみです

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    2025年01月26日