安部龍太郎のレビュー一覧
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佐和山炎上を含む9つの物語からなる短編集。
1.信長の比叡山焼き討ち前夜を描いた峻烈
2.宗家の家臣伊奈正吉が朝鮮の役を前に秀吉の暗殺を図ろうとする玉のかんざし
3.木下勝俊の竜子への忍ぶる恋を描いた伏見城恋歌
4.三成の3男八郎を守ろうと忠義を果たす八十島庄次郎を描いた佐和山炎上
5.謀反の疑いで流刑にされる松平忠直一行を描いた忠直卿御座船
6.商家を襲う夜叉の怪談魅入られた男
7.横綱になる雷電の話雷電曼荼羅
8.岡田以蔵を描いた斬奸刀
9.イギリス領事の雇人で通訳の伝吉(ダン)の物語を描いた難風
個人的には8がお気に入りで大塔宮の斬奸刀だと思っていたが斬が実は軒だったという落ちにくすっ -
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ネタバレ歴史に疎い私ですが、知的好奇心がそそられる分野です。
日本史の通説もよくわかっていないながらも、本書を通じて、歴史の研究が進む中で新しい史実が見つかっていく面白さを感じます。
本書で扱う本能寺の変は、従来は、鬱屈がたまった光秀がたまたま起こしたと言われていましたが、実は、絶妙なタイミングを計り、この日しかなかったとまで本書では述べています。
日本の戦国時代と世界の大航海時代、日本史と世界史をリンクさせて理解する必要性も、本書で強く感じました。学校教育でも、日本を世界の一部として歴史を学ぶようなカリキュラムにすると理解が進むのにな、と感じます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本能寺の変が『黒幕陰謀説』に則って描かれている。
信長はイスパニア・ポルトガルなど外国の脅威からこの国を守り、彼の国に比す国力を持ってアメリカに進出しようと天下統一を急ぐ。
そのためにはこの国の因習・政治勢力を一掃させるため、朝廷・天皇を凌駕する権力を持とうと正親町天皇を譲位させ、誠仁親王に践祚。征夷大将軍の任命を受け、武の頂点に立った上、自らの嗣子、誠仁親王の五の宮を次の天皇につけるよう圧力をかけ、即位と同時に自ら太上天皇となり、公の頂点に立とうとする。
これに対し、前の関白近衛前久がもう一人の主人公。信長の野望を打ち砕くため、様々な陰謀を図り、明智光秀をして信長を打倒する。
読めば読 -
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私には新しい義貞
義貞の生き様を安部先生が生き生きと描かれており、時代背景のなかで義貞の存在感が今までになく輝き出した。
ただ、太平記では犬死とされている義貞の死を先生なりの解釈で読んでみたかった。いづれにしても、私の義貞に対するこれまでの評価とはまったく異る姿は大変興味深く読めた。