安部龍太郎のレビュー一覧

  • 天馬、翔ける 源義経 中

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    平家との戦いが進む中、古くからの地盤を有するでもない義経が有能な家臣を従がえて勇戦することが叶ったのは、どういうことであったか?鎌倉幕府による全国支配の仕組みが築かれて行く過程はどういうことであったか?そういうようなことが、本書の物語を通じて色々と判るという面白さも在る。
    「戦いの時代」を描く物語となる訳だが、本作で描かれるその戦いも、非常に魅力的に描かれていると思う。造り込んだ映像作品とは違う、「読み物の好さ」に溢れていると思い、一寸夢中になった。

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    2020年12月13日
  • 天馬、翔ける 源義経 上

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    本作は、題名も示すように、「翔ける天馬」のように源平合戦の時代に勇躍した源義経の物語である。と同時に、それ以前の時代とは「一線を画す」という体制である鎌倉幕府による支配を成立させて行く、兄の源頼朝の物語という側面も大きいと思う。

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    2020年12月13日
  • 彷徨える帝(下)

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    たしかに、単なる伝奇小説でも歴史小説でもない。足利将軍家、南朝方との争いに、独自の世界観をもち、堂々と描き切っている。
    あまり馴染みのない後南朝時代。皇室のありかた、後醍醐帝、楠木正成など、歴史の影、隙間に触れる事ができました。
    素晴らしい。

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    2020年10月26日
  • 宗麟の海

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    題名の『宗麟の海』の「宗麟」とは、戦国大名の大友宗麟である。現在の大分県である豊後国を本拠地としていた。そして大分駅の辺りには、「旅の者よ!我が領国を観たか!」とでも言い出しそうな雰囲気を漂わせる大友宗麟の銅像が在った。
    加えて題名の「海」であるが、これは大友宗麟の人生が「海」と共に在ったかもしれないということを示唆しているように思う。
    大友宗麟は心臓に病気が在って、長時間の激しい運動のようなことはし悪いというような若殿として作中世界に登場している。健康上の些かの問題を抱えているが故に、自身の人生、自身の立場や役目、その他様々な事柄に関して思索的で、探求心が強い性格になっているような感でもある。
    大友宗麟は、ポルトガルとの交易や明国(中国大陸)との関係、国内での交易というような海に関連が深い事項と関わるのだが、敵対する勢力との抗争という中でも海を制する、海を利用するということに意を向けて行くこととなる。そういう意味で題名に「海」なのだと思った。
    大友宗麟は自身が文字どおりに軍勢の先頭に立って勇戦するということはしない。(それでも出陣の際は、ポルトガル人に贈られたアラブ種の大きな馬に、白く輝く甲冑姿で跨って現れるということはしている。)大友宗麟は、大友家の旗の下に集まった大軍勢の総帥として、戦いの全般の方針を構想し、構想に基づいて配下の将達に指示を与え、各将が役目を完遂することを助けるべく外交交渉や情報戦を展開させるのである。文字どおりに大友家の最盛期、絶頂期を「演出」ということになる訳だ。
    大友宗麟は、父と未だ幼かった末弟が謀略で殺害されてしまった<二階崩れ>という呼称で知られる混乱を収拾して行った後、豊前、筑前に勢力を持っていた周防、長門の大内家を「近攻遠交」を排除してしまうことに成功する。そして周防、長門を手中にして行く毛利家との抗争に入って行く。
    領国を護ろうとする大友家の戦いをプロデュースする総帥は大友宗麟であるのに対し、その領国を奪って傘下に収めようとする毛利家の戦いをプロデュースする総帥は老獪極まりない毛利元就である。あの手、この手と知恵と戦力を出し合っての抗争の場面は非常に面白い。
    この他、宣教師が「豊後国王の悪妻イザベラ」と伝えている奈多夫人こと弘子との挿話や、晩年に同居する女性ジュリアとの出会いや展開の挿話、「やや残念?」な息子達の挿話等、面白い箇所が本作には満載である。
    あらゆる手段を講じて領国を奪うべく侵入した毛利勢を、あらゆる手段を講じて跳ね返した大友宗麟であったが、そういう大きな仕事を成し遂げた他方で「全ての国を従がえる王となっても心が満たされるのか?」というようなことを想っているという辺り…興味深い。
    或いは本作は「大友宗麟?」という問いに答える作品として、永く読み継がれて行くように思える。そういうことも思うのだが、それ以上に、単純に本作は面白かった!!

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    2020年10月18日
  • 対決! 日本史 戦国から鎖国篇

    ネタバレ 購入済み

    久しぶりに面白い本に出会えた

    私は若いときバスガイドをしていて長崎は修学旅行のコースでしたので、鎖国やキリシタンの事を学んでいたので、この本は凄く読みごたえがありました。ぜひほかの時代も対決して欲しい。特に南九州には神和があるので、古事記、日本書紀を読みといて欲しいです。楽しみにしています

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    2020年09月29日
  • 維新の肖像

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    明治維新により、失ったものも大きいという事が良く理解できた。いつの時代も勝った者の世の中。しかし、多くの人を犠牲にした戦争へと進んだ罪は重いと思う。

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    2020年05月06日
  • 信長の革命と光秀の正義 真説 本能寺

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    歴史小説に挑んで30年の著者が新史料をもとに書き下ろした「本能寺の変」の最先端解釈。信長の最期の言葉「是非におよばず」の真意とは・・・?

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    2020年02月10日
  • 婆娑羅太平記 道誉と正成

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    敵対する陣営に在る者同士として出会う道誉と正成は、やがて手を携え、そして袂を分かって行くが…その両者を軸に描かれる『太平記』の世界が非常に面白い!少し夢中になった…
    鎌倉幕府の時代の末期、建武新政、そして室町幕府が起こる南北朝時代の始まりというような時期は戦乱が相次いだ。そういう時代の群像を代表するような人物として、本作では佐々木道誉と楠木正成とを取上げて主要視点人物に据えている。

    作中の佐々木道誉や楠木正成は、知行地や縁者の知行地等を結ぶ流通経路や商業に大きな影響力を持って、徴税権を行使して財力を蓄え、それを背景に味方への物資補給を行いながら軍勢を動かす勢力として描かれる。土地の産物を動かす、それに徴税する権利を有するに留まらず、流通商業に影響力を行使する勢力が伸びるという構図が、鎌倉時代末期には既に勃興していたとする訳である。
    作中の「戦い」の描写が面白い。合戦そのものは、新旧様々な戦術が出て来て興味深いのだが、佐々木道誉の陣営も楠木正成の陣営も諜報活動を担う“忍者”に相当する配下を擁している。更に、足利陣営に在って本作では謀略を担っている足利直義は、筆跡を巧みに真似て文書を偽造する者まで擁している…
    臣下や様々な層の関係者に慕われる人格者で、大塔宮護良親王に心酔して義を貫こうとする楠木正成…剛勇を誇る名門出身の武人であり、用兵の駆け引きに巧みで、大胆な謀略を駆使してでも、自由に流通・商業を起こして安寧な領国経営をしながら全国に影響力を行使しようとする野心家の佐々木道誉…作中の2人の中心的視点人物は何れも魅力的だ!
    更に、作中の“新政”の時代だが…主流に立った者ばかりが色々な意味で有利になり、様々な利害が余り顧みられず、何やら混乱が深まる様…何処となく「現代」を想起させた…
    “時代モノ”の背景になる時代として、この時代のモノは相対的に少ないかもしれないが、かなり興味深い。御薦め!!

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    2019年10月07日
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(下)

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    「神々に告ぐ(下)」(安倍龍太郎)を読んだ。
    正親町天皇即位の礼に向かっての緊迫感が凄まじい。
    『近衛前嗣』と『松永久秀』二人を軸に信長や長尾景虎をも巻き込み物語は未曾有の高みへと駆け上るのである。
    いやー面白かった。
    もっと安倍龍太郎作品読まねばなるまい

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    2019年09月24日
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(上)

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    「神々に告ぐ(上)」(安倍龍太郎)を読んだ。
    『近衛前嗣』がいかなる人物なのか全くの白紙状態のまま読み始めたのだけれど、これはまたなんとも興味深い公家さんだ。戦国の世をどう生きていくのかこの先が楽しみ。
    なお、前嗣の前に立ちはだかる『松永久秀』は私の妻がご贔屓の武将なのである。

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    2019年09月24日
  • 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変

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    いろいろ知らないことが多く、勉強になる本。戦国時代のキリスタンの影響力が印象的です。あと、作家の想像力が感じられて、素直にすごいなあと思いました。

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    2018年12月24日
  • 下天を謀る(上)

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    血気盛んな武者たちが、将に成長していく様を、小気味よく語ってくれて、楽しくてしかたがないです。
    特に、冒頭(プロローグ)から登場した水野勝成殿が、そのあともちょくちょく登場してくれるのが、嬉しくて嬉しくて!下巻も楽しみです。

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    2018年11月12日
  • 姫神

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    「遣隋使」の構想を実現させようと、抵抗勢力の様々な妨害にも負けずに打ち込む熱い人達が在り、それに共鳴する宗像の疾風や、九州北部の水軍の関係者が在り、そういう男達の間で平和を願う可憐なヒロインの伽耶が在る。実に好い!!
    一寸面白いのは…大和朝廷の人達や、彼らと接していて日本語を話す朝鮮半島の関係者は「普通の日本語」を話す。“姫様”の伽耶も「普通の日本語」だ。が、疾風達のような水軍の男達、或いは伽耶の身近に使える侍女は「バリバリな福岡弁」を話している。「古代の日本の話し言葉?」ということになるが、本作の感じは「中央や外国に対して地方」という具合なので「疾風達が話す福岡弁」が妙にハマる…
    戦いを繰り広げる男達が操る船や武器、作中人物達が身に着けるモノや、細々したモノに関しては、それなりに“考証”もなされた描写で、加えて「未だに古い伝統を受け継いで、人々の立ち入りを制限している」という島も含めた自然、四天王寺のような大和側の都会や朝鮮半島や大陸の都市というような情景も生き生きとしている。本作を読んでいると、何か「7世紀頃の世界で冒険をしている」ような不思議な気分になる…
    偶々ながら、なかなかに愉しい作品に出会った!!或いは…本作は「映画化?」ということにでもなれば、なかなかに華々しい作品になりそうだとも思った…

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    2018年08月31日
  • 等伯(下)

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    最高!直木賞獲っただけのことはある!
    ふ〜。あっという間に読んでしまった。もしかしたら映画化されるのでは?とひそかに思っている。

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    2018年04月04日
  • 宗麟の海

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    キリスト教に心惹かれていく大友宗麟。
    この頃の日本では神仏のみが信仰の対象であった。
    キリスト教は、日本を滅ぼす悪魔として弾圧されていた。
    そのため、国王として入信するのに躊躇いがあった。
    苦悩に身悶えする様と残忍で冷酷な様を重厚な文章で鮮やかに描き分けている。
    重厚過ぎるほど重厚で圧巻の物語。

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    2018年03月14日
  • 維新の肖像

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    今年2018年は明治維新150年。このため全国で様々なイベントが行われたりしているが、政府も「明治150年」関連施設推進室を設置して「明治の精神に学び、日本の強みを再認識」すべきと提言しているようである。しかしこの作品は実在した歴史学者「朝河貫一」の人生を通じて明治維新そのものが持つ思想と制度の欠陥を指摘する。

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    2018年03月13日
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(下)

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    どうして、長尾景虎や斎藤義龍、織田信長らが足利義輝の号令により、
    上洛を試みたのか、その背景がストンと落ちてきた。

    松永久秀と織田信長の関係性もきわめて印象的に描かれていて、
    巷間で指摘されるところの、織田信長は松永久秀を特別扱いにしている、という点についても、
    よくよく呑み込めるようになっている。

    とにもかくにも一読の価値あり。

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    2017年05月10日
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(上)

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    剣豪将軍・足利義輝と三好長慶、松永久秀との争い。
    織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を討つ以前の話だが、
    政の中心地である京の都ではどのような権力闘争があったのか、
    そのような視点から物語る作品はなかったように思う。

    主人公は近衛前久、本作では前嗣であるが、朝廷を軸として、
    戦国時代のみならず、日本を通時的に読み解くうえで、
    たいへん勉強になるものだった。目から鱗が落ちるとはまさにこのことだ。

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    2017年05月09日
  • 五峰の鷹

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    石見銀山管理する家に突然の裏切り
    家の再興のために
    五峰=五島列島を根城にした「王直」
    を足掛かりに唐船奉行まで出征?
    続編はないのか?

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    2017年04月22日
  • 関ヶ原連判状 下巻

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    最後の最後まで気の抜けない展開。

    関ケ原の勝敗が決定した瞬間の描写、
    そして、石田三成の悲嘆がとても印象的。

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    2016年07月08日