安部龍太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
敵対する陣営に在る者同士として出会う道誉と正成は、やがて手を携え、そして袂を分かって行くが…その両者を軸に描かれる『太平記』の世界が非常に面白い!少し夢中になった…
鎌倉幕府の時代の末期、建武新政、そして室町幕府が起こる南北朝時代の始まりというような時期は戦乱が相次いだ。そういう時代の群像を代表するような人物として、本作では佐々木道誉と楠木正成とを取上げて主要視点人物に据えている。
作中の佐々木道誉や楠木正成は、知行地や縁者の知行地等を結ぶ流通経路や商業に大きな影響力を持って、徴税権を行使して財力を蓄え、それを背景に味方への物資補給を行いながら軍勢を動かす勢力として描かれる。土地の産物を動か -
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「遣隋使」の構想を実現させようと、抵抗勢力の様々な妨害にも負けずに打ち込む熱い人達が在り、それに共鳴する宗像の疾風や、九州北部の水軍の関係者が在り、そういう男達の間で平和を願う可憐なヒロインの伽耶が在る。実に好い!!
一寸面白いのは…大和朝廷の人達や、彼らと接していて日本語を話す朝鮮半島の関係者は「普通の日本語」を話す。“姫様”の伽耶も「普通の日本語」だ。が、疾風達のような水軍の男達、或いは伽耶の身近に使える侍女は「バリバリな福岡弁」を話している。「古代の日本の話し言葉?」ということになるが、本作の感じは「中央や外国に対して地方」という具合なので「疾風達が話す福岡弁」が妙にハマる…
戦いを繰り -
Posted by ブクログ
この作者の本は三冊目だけれど、初めておもしろかった。
天下人に最も近く、いつも力強く、自分を信じて自信を持って歩み続けたように思える信長を、葛藤を乗り越えて逃げずに踏みとどまった寂しい人物として描きだしているのが印象的。
真面目で、意外に心遣いを示したエピソードも残した信長が確かに、葛藤しないはずがない。考えればわかるはずなのに、つい見逃しがちなこと。人間は一面だけではない。父のやり方に疑問を感じる信忠が、自分も責任を負った時に、その重責に息苦しく感じているのを見抜いた父信長に慕う気持ちを感じた時に、気付かされた。
そして、その信長と恋仲になる晴子。この時代に、子供を産み、閨閥を作ることだ -
Posted by ブクログ
藤堂高虎主人公の下天を謀る、下巻。
もしかしたら下巻の方が高虎らしい?のかもしれんなとか。
戦国時代の苦労人で秀吉の弟、秀長に使えて
その後息子の秀保に使えて、引きこもって自殺しようとしたり
家康についていこうと決めたり。
もちろん関ヶ原もありの大阪冬の陣夏の陣もありの
家康が亡くなるまで、外様大名ながら徳川家3代に渡り使えてきて
よその家の御家騒動も片付けたりとか
もう一生涯バタバタ忙しいなぁー
確かに司馬遼太郎作品の中では一生涯世渡り上手な男、高虎!みたいな感じで描かれてることが多いのは確か。
実際にはどうだったのかあれだけど、まぁそれはそれはこれはこれ。
武将でありキレッキレな政治家だっ