安部龍太郎のレビュー一覧

  • 冬を待つ城(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    小田原の北条氏を滅ぼし、天下統一の総仕上げとして奥州北端まで攻め込もうとする秀吉軍。中央に反抗し一揆を起こした土着民を平定するために行われた戦国最大の「奥州仕置き」であるが、秀吉(の歓心を得ようとする三成)の狙いは朝鮮出兵を間近に控え、寒さに強い武士と人足を確保する人攫いだった。この真の狙いを見抜き、奥州北端の九戸城で籠城作戦をとる九戸4兄弟の嫡男、政実。秀吉軍15万に対し、籠城方はたったの3千。伊達や蒲生、井伊、徳川などの連合軍に囲まれながらも知略で対抗する。安部龍太郎さんの小説は初めて。史実に基づきつつ一定のフィクションを織り交ぜた読みやすく、違和感のない内容。東北地方の歴史的背景や価値観が丹念に描かれ、奥州側の立場にめちゃくちゃ共感。「逆らえば滅ぼされ、従えば搾取される」。極端な言い方かもしれないが、北国の人々(南国も)はいつの時代も中央の権力者に搾取されてきた。価値あるものは奪われ、不要なもの、危険なものを押し付けられてきた。この状況が令和の今も残っていることを忘れないでおきたい。

    0
    2026年10月06日
  • 銀嶺のかなた(三) みやびの楯

    Posted by ブクログ

    待ちに待った第三巻。
    前巻の利長の代の続きからで、利常へと繋がれていく。二人とも前田家を長く守っていくための大局観を持ち、苦悩しながらも力強く生きる姿に感動した。
    全巻を通して、加賀百万石前田家三代の生き様を知ることができてとても面白かった。

    0
    2026年09月05日
  • 銀嶺のかなた(三) みやびの楯

    購入済み

    加賀百万石は伊達ではなかった

    信長、秀吉、そして家康の時代を生きぬいて前田家の礎を固めた利家、利長、利常。徳川の時代にも凄まじい暗闘があったという物語だが、それゆえに復興された城郭、今に残る文化に格段の輝きを見い出した。

    0
    2026年07月18日
  • 銀嶺のかなた(二) 新しい国

    購入済み

    納得の力作

    作者の洞察力に改めて敬服した。現代史でも真実が闇に塗り込められているなか、この激動の時代を読み解ける出色の歴史小説のひとつでは。やや劇的な色合いもあるが真相にせまった作品で、前田利家、利長の見方も一変した。作品のタイトルに込められた作者の意図もわかった。

    0
    2026年07月10日
  • 銀嶺のかなた(三) みやびの楯

    Posted by ブクログ

    120万石を所領する外様大名の加賀前田家の、三代に渡る悪戦苦闘の生残りを描いた大河歴史小説。

    特に本書「みやびの楯」は、家康を始めとする徳川家との政治闘争でもあり、徳川家の毒殺も厭わない所業に権力の横暴の怖さを知らしめた。
    大藩でありながら、大藩であるがこそ、加賀藩の徳川幕府下での立ち位置の難しさを緻密に描いており、権力に抗う者の物語としても大変充実した小説であった。

    0
    2026年07月02日
  • ふたりの祖国

    Posted by ブクログ

    朝河貫一の慧眼に深く感じ入るとともに、読みながらシロビキ主導でウクライナに侵攻したロシアと関東軍主導で満州に侵攻した日本が重なった。

    1
    2026年05月06日
  • 平城京

    Posted by ブクログ

    平城京遷都を史実の中にフィクションを織り交ぜながらミステリー仕立ての構成で、とても読みやすく面白かった。

    飛鳥から奈良時代への幕開けの時を描いた作品。
    主人公は阿倍比羅夫の息子、阿倍宿奈麻呂の弟船人。
    船人は架空の人物で実在の人物ではない。
    史実の中に架空の人物がうまく入り込みミステリーを作り上げていると思う。

    不比等が平城京遷都を急がせただろうことは、何となく知っているし、天智天皇派と天武天皇派に遺恨が残っていたことも何となく知っている。
    そこを上手く利用してミステリーになっていると思う。

    現在、ちょうど薬師寺や唐招提寺方面から平城宮跡に向かう方向に、その昔大極殿を作る時に使う木材を運ぶために利用したとれる川が流れており、小説を読むとその情景を思い出して感慨深いものがある。

    個人的には持統天皇の後、繋ぎの印象の強い元明天皇が生き生きと描かれているところは新鮮だった。
    小説には、幼き日の仲麻呂や吉備真備が登場し、やがて成長して遣唐使船に乗るところまで描かれていて、歴史が繋がっていることも実感する。


    阿部龍太郎さんの小説は初めて読んだけど、他の小説も読んでみようと思う。

    0
    2025年12月27日
  • 家康(七) 秀吉との和睦

    Posted by ブクログ

    2025.10.28
    本書の解説は縄田一男。このシリーズは解説がとても良い。読むかどうかは各巻の解説を読めば明らかではないかと思う。
    次に小牧・長久手の戦いを始めとする家康と秀吉の戦いはきめ細かく描かれていて、地元に住んでいる者として、距離感なども含め、それぞれの立地や位置関係がしみじみと伝わる。
    最後に秀吉の名古屋弁というか尾張言葉の巧みさである。令和の今でも、名古屋の人は名古屋弁、尾張ことばと標準語を使い分けているが、秀吉の描写では、さもありなんという感じがこれも地元民としてリアリティが高い。
    以上三点について述べたが、こうした例に示されるようにさまざまな点に目配りが効いている作品だからこそ読みやすく、なおかつ、面白いのだと感じる。

    0
    2025年10月28日
  • 家康(八) 明国征服計画

    Posted by ブクログ

    2025.10.27
    秀吉の朝鮮渡海はさせてしまったほうが家康にとってはよかったのではと思うが、日本の民の負担を思えば、そこまで戦線拡大をせずにすみ、国力を損なわずにすんだと思う。

    0
    2025年10月27日
  • 家康(六) 小牧・長久手の戦い

    Posted by ブクログ

    2025.10.27
    信長編はここまで。長寿であった家康の「働き盛り」の中年期。
    ふと思うが、家康の覇業がなったのは健康長寿がその大きな理由のひとつだと思うが、健康長寿の理由が何かを示した作品には出会っていない。これだけストレスフルな毎日でどうやって身体と心の健康を保っていたのか誰か教えてほしい。

    0
    2025年10月27日
  • 家康(五) 本能寺の変

    Posted by ブクログ

    2025.10.27
    解説は歴史学者の藤田達生
    解説にある「警世の句」があふれているのも安部家康の特徴

    0
    2025年10月27日
  • 家康(一) 信長との同盟

    Posted by ブクログ

    2025.10.23
    本書の解説は沢田瞳子。骨太な歴史観を横糸に織り込んだ、戦国時代とは何かを問う一大歴史絵巻とのこと。同感

    0
    2025年10月23日
  • 家康(二) 三方ヶ原の戦い

    Posted by ブクログ

    2025.10.23
    本書の解説は細谷正允。家康は螺旋的な人物。時間の経過とともに螺旋階段を昇るように上へ上へ、と記している。同感。

    0
    2025年10月23日
  • 家康(三) 長篠の戦い

    Posted by ブクログ

    2025.10.23
    本書の解説は熊谷達也。この解説も秀逸。家康がかっこよくない。という指摘が的を得ている。

    0
    2025年10月23日
  • 生きて候 本多正信の次男・政重の武辺 下

    購入済み

    本多正信、正純は歴史の表舞台に立った有名な親子。正信には養子に出した息子、政重がいて、この本の主人公だ。私は正信、正純を相似形として認識していたが、政重を知ることで正信をより深く理解出来たように感じた。正純、政重いずれも父、正信の一面と思えば、正信は陰湿な策謀家という私の評価も不屈の信念の人と変更すべきかもしれない。
    それにしても親子三人の絡み合いはなかなか興味深い物語だ。

    0
    2025年04月13日
  • 生きて候 本多正信の次男・政重の武辺 下

    Posted by ブクログ

    政重のかっこいい生き方を知れてよかった。政重のように義を貫き、時代に沿った生き方をしたい。宇喜多秀家もかっこいい。ちょっと前に涅槃読んで直家のことは知ってたけど秀家についてももっと知りたい。正純はなんでこうなった。

    0
    2025年03月07日
  • 生きて候 本多正信の次男・政重の武辺 上

    Posted by ブクログ

    どうする家康で正信を知ったばかりだが、こんなに義のある次男がいたとは。下巻ではどう生きるのか楽しみ。

    0
    2025年02月28日
  • 銀嶺のかなた(一) 利家と利長

    Posted by ブクログ

    前田利家について名前を知ってるくらいでその息子については全然知らなかったが、信長や勝家、秀吉との関係や立ち位置が知れて面白かった。各所で話の正当性を過去の文書から引用していて分かりやすかった。

    0
    2025年02月01日
  • 灯台を読む

    Posted by ブクログ

    日本財団「海と灯台プロジェクト」から生まれた紀行。近年の流行作家門井慶喜、澤田瞳子、阿部智里、川越宗一、永井紗耶子、安部龍太郎。それぞれある地域の灯台を3カ所訪れ時空を超えて想いに馳せる。
    映画「喜びも悲しみも幾歳月」の世界は遠い過去。無人化さらにGPSの普及により灯台は役目を終えつつある。
    とはいえ灯台の立つ場所は古代からの交通の要衝。異国との貿易の出発点、文化が交わる場所でもあった。

    地域の海の記憶を辿り、新たな海洋体験を 灯台とともに

    0
    2024年12月05日
  • 灯台を読む

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    GPSの進歩により、灯台がその役割を終えていっているという事実を初めて知った。
    「海と灯台プロジェクト」協力のもと、灯台が存在することの意義を、その土地のあらましや歴史、灯台を守ってきた人々にスポットライトを当てることで言語化した、6名の作家さんによる紀行文。

    作品を読みながら旅行気分に浸れるので愉しい。作家のみなさんが灯台の中の螺旋階段を登り、灯台室に入られる場面のわくわく感が伝わってきた。フルネルライトを初めて検索したが、見事なライトであった。

    灯台の父と呼ばれるイギリス人のブラントンさんという方が、菜種油で火を灯す木造の灯明台が主な海の道標だった日本に、西洋式の灯台をもたらした。また、戦時中は灯台が攻撃の対象になったこと、灯台がある場所には神社があることなども知ることができた。

    絶滅危惧種ともいえる灯台に、何を感じ、何を見るかは、そのひとの感応力によるのかもしれない。
    灯台が海をわたる人々の命を守るために重要な役割を果たしてきたことは、時を経ても語り継がれなければならないと思った。

    0
    2024年11月18日