安部龍太郎のレビュー一覧

  • 信長燃ゆ(上)

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    本能寺の変、その黒幕はいったい誰なのか。
    諸説あるなかでも、著者なりの仮説があり、
    それに則ったうえで、物語が構築されている。

    それにしても、近衛前久、とても格好よい。

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    2015年05月27日
  • 血の日本史

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    正直かなりマニアックな作品だったと思う。
    大和時代から明治維新にかけての
    日本の血が流れたという
    裏の裏のそのまた裏側に触れたような。
    読んでいてあまりの恐ろしさに
    背筋がぞわぁ〜っとしたのもあるし
    なんか感動すら覚えたのもあるし。
    たくさんの血が流れて今があるのよね、ってしみじみ。
    この作品を読んで
    生前の隆慶一郎先生がこの作家にお会いしたい!!と言ったそうな。
    ほほう、やはり!と思うほど中身が濃い〜です。
    大和からそれこそ戦国時代前までには
    疎いので勉強になった気もする。

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    2015年05月18日
  • 等伯(下)

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    日経新聞に連載された歴史小説。秀吉が権力を握った激動の時代の中で、長谷川「等伯」が画家の高みを目指す姿が描かれている。狩野派との確執や石田三成の思惑に翻弄される多くの登場人物の行動が興味深い。歴史小説の醍醐味を味わう事ができた。新聞の連載を読むのとまた違う面白さも知った。

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    2015年03月12日
  • 等伯(上)

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    日経新聞に連載された歴史小説をもう一度読んでみた。信長が活躍する激動の時代の中で、政治に翻弄されながらも長谷川「等伯」が画家の高みを目指す姿が描かれている。主人公を支える家族や法華の教えにも心を動かされる部分が多い。反信長サイドから見た世情や信長の野望に触れるところも面白い。

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    2015年02月25日
  • 等伯(下)

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    かるい読み物や短編ばかり読んでいると、どっしりとした歴史の物語を、読みたくなる。満を持して(?)読み始めた。正直、上巻は退屈なところもあったが、下巻に入ると一気に読み進んでしまった。
    狩野永徳、千利休、といった文化人の描き方には引き込まれた。一方、残虐の限りを尽くす信長や、謀略をめぐらせる石田三成、教養のかけらもないと思わせた秀吉の慧眼など、誇張して描かれる戦国武将たちは、表舞台で歴史を作っているが、ここでは脇役にすぎない。
    信春(後の等伯)は、武士の出自。長男でなかったため、商家に養子に出され、そこで絵の才能を開花させる。
    政治に巻き込まれ、度重なる不運に泣かされるが、家族には恵まれていた。

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    2016年03月18日
  • 等伯(下)

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    昨秋、仙台博物館で『松林図屏風』を観て、吸い込まれるような衝撃を覚え、この本に出会ったときはすぐさま手にとり一気読みした。(新聞に掲載されていたことや、恥ずかしながら直木賞は知らなかった)
    時代の波に流され、大切な人たちを次々失い、それでも人生をかけて絵に精魂込める姿。根本に日蓮宗への信仰があったからこそであろう。すべてを読んで、あの松林図かと胸が熱くなった。

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    2015年01月12日
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(下)

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    朝廷や幕府というような、永く続いた権威が揺らいだ時代に、その権威の根幹と向き合い、同時に来る時代でのそれらの在り方を模索しようとした貴公子の物語…一言で本作を語るとそういうことになるであろうか?そして祥子内親王を巡る、伝奇モノ、恋愛モノという要素も在る…

    「永く続いた権威が揺らいだ時代」とさり気なく言ってみたが…或いはそういう辺りに“今日性”が深く根差しているかもしれない…

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    2015年01月12日
  • 戦国秘譚 神々に告ぐ(上)

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    本作の主人公としての近衛前嗣…面白い!!朝廷をリードする近衛家の後継者で、若くして関白に任じられた貴公子であるが、朝廷や幕府の明日を考えて「自ら動く」人物である。能書家で笛の演奏が得意で、学識が在る他方で、縁が在る薩摩の島津家から献上された短筒を愛用する射撃の名手でもあり、鷹狩りや乗馬も得意だ…こんな近衛前嗣が、躍動する物語である…

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    2015年01月12日
  • 彷徨える帝(下)

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    “能面”が秘める「重大な秘密」とは何か?それは人々や時代にとってどのような意味を持つのか?宗十郎や範冬の物語が展開し、やがて両者は争うことになって行く…

    本作は密かに伝えられる後醍醐天皇の思い、それを受け止めようとし、色々と考える宗十郎を通じて、「日本の社会というようなものは、どういうものなのか?」を問い、考えているような感もする。そうした重厚なものが、“伝奇”という華麗な包装紙に包まれて提示されている…というようにも思った…

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    2015年01月10日
  • 彷徨える帝(上)

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    必ずしも作品が豊富でもない時代を背景とする“時代モノ”…そういう作品は「こういう時代が在ったのか…」と新鮮なのだが、それと同時に「なかなかに興味深い」内容を含むことも多い…

    そうした「必ずしも作品が豊富でもない時代を背景とする“時代モノ”」に出会った。これがなかなかに面白かった!!

    「必ずしも作品が豊富でもない時代」を背景としていると同時に、“伝奇”としての面白さにも溢れる作品で、一寸夢中になった…

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    2015年01月10日
  • 幕末 開陽丸 徳川海軍最後の戦い

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    大坂で、徳川慶喜が当時の艦長であった榎本武揚を解任し、沢太郎左衛門を艦長に任命して無理矢理に江戸へ向かったという挿話の少し前から、江差で“開陽丸”が沈んでしまうまでの物語…何か熱いものが在る…

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    2015年01月06日
  • 彷徨える帝(下)

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    時は室町中期。混迷の元凶をなす北朝南朝の争いに端をはっした闇の時代を描く筆者懇親の作品。吉野の山奥に逼塞していた南朝方が満を持して動き出す。鍵を握るのは幕府を崩壊させる秘密を有する三枚の能面。そして能面をめぐり将軍足利義教との手に汗に汗握るあつき戦いの火蓋が切って落とされる。。鎌倉公方による永享の乱、赤松氏による嘉吉の乱など歴史上の事実の裏側に潜む謎に大胆な解釈を加え、壮大なスケールにて書き記す歴史伝奇絵巻。特徴はテンポの良いストーリー仕立てはもちろん、その場にいるかのような繊細な情景描写と場面に応じた心理描写が巧みすぎ。

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    2014年12月28日
  • 天下布武 下 夢どの与一郎

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    本作は、とにかくも「様々な要素」が満載の、非常に愉しい作品だ!!他方で…「対外国関係」の“重さ”を寓話的に今日の読者に語り掛けるような一面も在るかもしれない…

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    2014年12月10日
  • 天下布武 上 夢どの与一郎

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    時代モノの小説の中には「色々な要素」が入り込む余地が在ると思う。

    武芸がぶつかり合うようなアクション…妖しい術を弄する忍者の暗躍…軍勢が勇壮に戦う合戦…誰かをはめようとする謀略の仕掛け合い…事件の謎解き…家族…恋愛…青春…と、「エンターテイメント」のあらゆるモノが入っていて構わない訳だが…

    上述の「エンターテイメント」のあらゆるモノに加えて、「往時の対外国関係」を加味した仮説による、有名事件の「本当はこういうことだった?!」まで含めた、なかなかに壮大な物語だ!!

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    2014年12月10日
  • 浄土の帝

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    本作では“間接的”にではなく、“直接的”に後白河院の様子が描かれる。小説の視点人物に据えられているのである。彼の眼線で、当時の貴族達の駆け引きや、武士達の戦いが活き活きと描かれている。そんな中で後白河院が目指したもの…或いは「天皇と日本人」、「日本人と天皇」というような深いテーマをも考えさせてくれる内容だ…

    “時代モノ”の中には、こんな時代を背景にした作品は豊富とも言い難く、やや馴染みが薄い人物達が活躍している作品だが、これが面白い!!

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    2014年12月06日
  • 密室大坂城

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    巨大な城を捕まえて“密室”と言うのは、少々引っ掛かるが…2人の視点人物の心中に関しては、正しく“密室”である…

    “大坂の陣”を舞台とする、或いは舞台の一部とする物語には随分触れてきた感だが、その都度に何となく思うことが在る。或いは手近な場所で「“大坂の陣”に臨む豊臣陣営」のような状況が、多く起こっていないだろうか?何か、多少面倒なことや、一寸難しいことに関して、妥当性が高いのか否かがよく判らないことを声高に主張しているグループが、何やら主導的になって事の進行がよく判らなくなる…適任か不適任か判らない者が、主導的グループの成員、またはそこに近いというだけで指揮を執る…形式の上で敗れても、和議の

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    2014年11月30日
  • 等伯(下)

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    「すみません。業が深くて」--なんとすさまじい生涯であろうか。松林図の描写も迫真だ。仏道を求める、真の人生を求める激しさが芸術へと結実する。名場面、名台詞の数々が今も脳裏に焼き付いて離れない。このような小説に出会えて、幸福だ。

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    2014年11月27日
  • レオン氏郷

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    キリシタン大名の蒲生氏郷の小説。高山右近と並んでキリシタン大名として有名なのだとか。しかし右近が二代目クリスチャンなのに対し、氏郷は一代目。右近が洗礼名を授け、先輩として信仰の模範として描かれている。彼を見て信仰に入った氏郷も、この世の権力争いなどに翻弄され、右近と同じように信仰と現実の戦いに悩まされるという小説。作者はおそらく未信者だろうが、とても良く信仰者の葛藤が描けている。特に権謀術数にたけている伊達政宗とのやり取りはキリスト者として読んでいて氏郷の気持ちに共感できた。またその政宗と秀吉のこの世的な渡世のうまさには氏郷と共に呆れる思いがし、世のはかなさの中でエラそうに振舞ったり媚びへつら

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    2014年07月26日
  • 等伯(上)

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    ネタバレ

    長谷川等伯がずっと好きだった。
    「好き」という表現は少々軽いかもしれない。

    狩野派全盛の織豊政権下、
    「時代の寵児」だった狩野永徳や、
    時の最高権力者である関白秀吉らに対し、敢然と戦いを挑み
    己の地位と長谷川派を画流を確立した等伯。

    そんな「時代の反逆児」等伯に対する思いは
    「好き」というより、「畏怖」「畏敬」の念に近い。

    最近になり、安倍龍太郎の直木賞受賞作「等伯」を読み、
    絵仏師、画家としての等伯を、
    法華経の信奉者として
    戦国の安土桃山時代を駆け抜けた人間として
    そして何より芸術を探求する表現者として
    深く理解することができた。

    印象的な台詞や注目すべ

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    2014年05月11日
  • 等伯(上)

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    等伯展で、生きざまに感動し、この本を知ったとき、読みたいと思っていました。読み終えてから、再度、等伯の絵を見たいです。

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    2014年04月30日