安部龍太郎のレビュー一覧
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ネタバレ一昨年の、明治維新から150年を記念したイベントが目白押しだったころから、「本当に江戸時代は暗黒時代だったのか。明治維新で世の中はよくなったのか」に疑問を呈するような本がずいぶんと出版されるようになったと思う。
この本も、その一冊。
第二次大戦直前の、反日感情渦巻くアメリカで、イェール大学の歴史学教授として勤める朝河貫一は、数々の嫌がらせを受けながらも、その地に踏みとどまるのだった。
日本が批判を受ける、手段を選ばない軍国主義、帝国主義については、かねてから論文を通して批判をしてきたところだが、学問の場である大学で、いわれのない差別や嫌がらせを受けるのは間違っていると、こちらについても断固と -
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安部龍太郎氏の小説は三作目。
大友宗麟という人物の情報は、戦国時代の九州の雄であり、キリシタン大名だったくらいだった。また、赤神諒氏の「大友二階崩れ」を読んでいたのもあって、宗麟に対するイメージはあまり良くなかった(本小説との差という意味では、吉弘鑑理の描かれ方があまりにも異なっており驚いた)。
その点で、本作は宗麟が如何に凄いのかが非常に合理的に描かれていた。序盤に老臣の吉岡長増から出された課題、①強力な水軍、②寺社の統制、③大内家の討伐(周防・長門の領有)を、時間をかけて達成していく。銀山の開拓→南蛮貿易→国力の増強、国衆の統制といった経済と政治の関係が明瞭で面白かった。毛利勢の撃退後 -
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令和2年になってコロナが騒がれる前に読み終わった本ですがレビューを書くのを忘れていました。緊急事態宣言のお陰でテニスもピアノもできなくなってしまい、更には天気が雨であったので、絶好のレビュー日和となりました。
今年の大河ドラマは明智光秀が初めて主役として登場してきますが、光秀がなぜ謀反を起こしたのか、多くの人が様々な意見を述べています。
最近では新しい史料による研究も進んできていて、新しい解釈もされているようです。歴史の真相が明らかになってくるのは面白いものですね。
以下は気になったポイントです。
・正親町天皇に和睦の勅命を出してもらったとき、信長は、山門領は比叡山延暦寺に返却するとい -
購入済み
新たな正成像
南朝に殉じた忠臣という側面から描かれることが多かった楠木正成。経済的事情から台頭した背景を説き起こし、新たな正成像を提示した。伊勢湾利権から織田家の発展を描いてきた安部龍太郎ならではの分析は興味深い。著者の初期作品で後南朝時代を舞台にした「彷徨える帝」には正成の末裔という設定で、南木正盛という人物が登場する。本書を読んで興味を持った方は、ぜひ「彷徨える帝」も読んでほしい。
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日本史は好きで多くの武将について読んできたと思いますが、最近になって有名な武将として記録されるまでには至らないけれども、大名としてかなり活躍したであろう人達にも興味を持つようになりました。
このような部分の研究も進み、それを本にしてくれる、この本の著者(安部氏)のような方が出てきてくれて本当に嬉しいです。なんだか、このような活動は学会では功績としては認められないようですね。
今までの価値観にとらわれない人が登場してきたというのも私にとっては嬉しい限りです。本を買うことしか当面はできませんが、応援したく思います。
以下は気になったポイントです。
・越前敦賀は、南北朝時代には新田義貞が足利