以前買った雑誌サライに「半島に行く」の連載を見付けた。二度行ったことのある丹後半島だったので、興味を持った。
さて、その連載が一冊の本となって上梓されたのを新聞広告で知り、購入、
気楽な歴史紀行と思ってたら、どうしてどうして、面白くて、久しぶりにページを捲る手が止まらない読書となった。
歴史作家と歴
...続きを読む史学者と画家の三人が、司馬遼太郎氏の「街道を行く」のようなことをと考え、街道が整備されたのは江戸時代、むしろ昔は海こそが遠方との交通手段で、半島はその結節点と見込んで始まる企画。
六つの半島に旅して、語られる事物の豊かなこと。
奥能登の大屋敷。若しやと思ったら、網野義彦氏「日本の歴史を読みなおす」で、百姓≠農業を着想し、その海を通じての交易の豊かさを語った場所だった。そして更なる能登の話題は長谷川等伯。
鞆の浦では、最後の足利将軍、義昭の話。信長に京都から追放されて、幕府は終わったと思っていたが、鞆の浦で毛利の庇護のもと将軍として振舞っていたという。大河ドラマや歴史の本でも大抵、傀儡のくせに信長に逆らって捨てられた気位ばかり強い無能のように描かれるが、藤田教授によれば、隠然たる力を持ち、本能寺の変は、義昭ー光秀ラインに長曾我部、毛利までが反信長で繋がった結果とのこと。光秀や長曾我部の文書の解説は歴史研究の面白さをたっぷり味わせてもらえた。
海や山の風景や料理や温泉など紀行文の味わいもたっぷり。僕もどこかに半島旅したいな~。
僕のサライで読んだ丹後半島の旅は収録されていない。まだまだ続くのだろう。司馬さんの本のような大作になるかな。