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小牧・長久手の戦いで大勝した信雄・家康軍。歓喜の中にも戦への悲しさが拭えず「欣求浄土」への想いを新たにするが、秀吉の知略はそんな理想をも呑み込もうとしていた――。信雄が関白秀吉に取り込まれ、大義名分を失った家康はじわじわと窮地に立たされる。さらに天正大地震が襲い――。天下人への険しい道を描く、戦国大河シリーズ!!
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Posted by ブクログ
2025.10.28 本書の解説は縄田一男。このシリーズは解説がとても良い。読むかどうかは各巻の解説を読めば明らかではないかと思う。 次に小牧・長久手の戦いを始めとする家康と秀吉の戦いはきめ細かく描かれていて、地元に住んでいる者として、距離感なども含め、それぞれの立地や位置関係がしみじみと伝わる。 ...続きを読む最後に秀吉の名古屋弁というか尾張言葉の巧みさである。令和の今でも、名古屋の人は名古屋弁、尾張ことばと標準語を使い分けているが、秀吉の描写では、さもありなんという感じがこれも地元民としてリアリティが高い。 以上三点について述べたが、こうした例に示されるようにさまざまな点に目配りが効いている作品だからこそ読みやすく、なおかつ、面白いのだと感じる。
秀吉との和睦という副題がぴったりの内容。家康は、秀吉が信長を裏切り、全く異なる世界を作ろうとしていると思っていたが、秀吉は信長の夢見た律令制に従った統治制度を志していて、同じ理想を持つことを知り、少しずつ敵対心が溶けて、恭順への姿勢に変わっていった。
大河ドラマの影響でなく著書独特の「家康」という人物の描写、物語の進み方に興味を惹かれていた、(六)巻から間が空いたが違和感なく手にとる。 六巻まで物語を読んでみてあまり感じていなかったが、著書においてこれまでの歴史小説と違う構成の仕方が、臨場感や家康の心の機微が伝わる気がした。それは何かというと徹底...続きを読むした家康目線で物語が進んでいく事であった。 歴史小説では、大局的に物語が捉えられ同じ場面でも「家康」の苦悩や想い、戦略や戦術と半目の「秀吉」の苦悩や想い、両者の戦略や戦術、心の動きを表現する事で、互いの駆け引きや物語の進行、解説にも繋がっていた。しかし著書では徹底した家康目線に拘る事で、必ずあるはずの「秀吉」の家康に対しての想いや恐怖が解らない、この演出が人間家康の不安や苛立ちを伝わり易くし、一方の「秀吉」の存在感が大きくなり、緊張感を高め物語が締まって感じた。 もう一つ著書の良かった点は「秀吉」が語る「本能寺の変」の核心である。諸説ある「本能寺の変」の謎が物語の進行の中で腑に落ちるように伝わってきた。大変興味深い(七)巻であった。
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