歌野晶午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「家」をテーマにした五編のミステリー。どれも後味は悪いがミステリーとしては楽しめた。
「人形師の家で」
冒頭、人形師と彼が造った女性の人形との夢とも幻想とも現実とも分からないシーンがある。その後、主人公の青年がかつて住んでいた町に戻り自身に関する秘密の確認をするのだが、それが冒頭のシーンにこうした形で繋がるとは。一番罪深いのは…。
「家守」
密室トリックは散々読んできたが、これはちょっと斬新。力業という感じもするが面白い。しかしタイトルからしてもメインテーマはそこではなく、被害者がなぜ頑なにその家を離れようとしなかったかという物語。何とも暗澹たる思いにさせられる。
「埴生の宿」
記憶が混 -
Posted by ブクログ
ネタバレ以前読んだ「誘拐リフレイン」で高校生だったひとみが小学五年生になってて、前作の過去話なのかと思ったのですが、本作の方が先に出ていたんですね。「誘拐リフレイン」と同じノリで、ひとみがいろんなことに頭を突っ込んでいくような話を想定していたら、ほとんど歳三の活躍を描いた内容だったので、ちょっと期待と違った感があります。
前作の印象から「舞田ひとみシリーズ」は、ひとみの無茶な(けれど事件の核心に繋がる)行動が特徴のシリーズだと思っていました。なのでそれがない本作には、最後の最後で何か驚きの仕掛けがあるのかも、という期待をどうしても抱いてしまいます(「葉桜の季節に~」の印象も未だ残ってるので……)。そ -
Posted by ブクログ
歌野晶午の原点を、と思いストックされていたこちらの作品。どうせなら新装改訂版を読みたかったので長らく積読本と化しておりましたがやっと巡ってきてくれたので早速読んでみた。
一直線の長い廊下に連なるいくつもの部屋、1度消えて再び現れる死体。「愛」を感じるプロローグとの繋がりの読めない不明な展開。
そして2度目の類似した殺人事件。
登場人物に動機らしい動機が全く感じられず、最早本当に泥棒の仕業か!?!?なんて萎え一直線の推理に到達しましたが、なるほどこれは読めない。
風来坊の元メンバーの登場に戸惑い、ギャンブルなトリックに小首が捻れ、動機に口が尖った。
曲の中に隠されたメッセージの難解さとそれを