あらすじ
東京近郊で連続する誘拐殺人事件。誘拐された子供はみな、身代金の受け渡しの前に銃で殺害されており、その残虐な手口で世間を騒がせていた。そんな中、富樫修は小学六年生の息子・雄介の部屋から被害者の父親の名刺を発見してしまう。息子が誘拐事件に関わりを持っているのではないか?恐るべき疑惑はやがて確信へと変わり…。既存のミステリの枠を超越した、崩壊と再生を描く衝撃の問題作。
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Posted by ブクログ
歌野晶午さんの作品を読むと毎回さすがと思ってしまう。
本当に好きな作品しかない。
自分の息子が殺人犯だということがわかってから、どうにかして現実に折り合いをつけるために、いろいろなシナリオを考える父親の妄想が続く。
かなり序盤で息子が殺人犯だということに気づいていたので、残り半分以上どのように展開していくのかと思っていたが、まさか父親の妄想が何パターンも続くとは思っていなかった。
途中から、これも妄想なんでしょと思いつつ読むのも楽しかった。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
すべて妄想だと、途中でわかったが、最初はこんなに早い段階で終わりに近づき、この先何の物語が書かれるのかと思っていた。
どの妄想も先が読めず、結局救いようがないが、現実の世界では、どのような最後を迎えるのだろう。と思っていた。
パンドラの箱を用いて、どのような現実が待っていようと、希望を持って現実に向かい合って行こう。と終わり方は洒落てました。
Posted by ブクログ
父親の妄想ではあったが、何通りもの結末が考えさせられたミステリーは初めてだった。本当に自分の息子が誘拐殺人犯と何か繋がりがあるのか?それとも息子が犯人なのか?と父目線での考察に非常にハラハラさせられた。
最後結末を濁しているのも、想像力を掻き立てられ個人的にはおもしろかった。
Posted by ブクログ
やはりこの作家の作品は展開の仕方が予想つかないのでどれも面白い。
今回は息子が殺人を犯したのかどうか、証拠はあるが本人には聞けず妄想だけがどんどん膨らんでいく。
最初ははらはらしていたが、次の展開では妄想だと判断。
最後は父親がどんな決断をしたのか分からないが最初に殺された近所の子のニュースから妄想が発展していったと思いたい。
、親の責任を放棄して現実逃避はやるせない。
最後は読者に委ねる形をとったのかな??
Posted by ブクログ
我が息子が犯した事件なのか?否か?父親の苦悩と妄想の繰り返し。
どこまでが現実の描写かわからなくなるが、手は止まらず読み進めてしまった。
タイトルに納得!
Posted by ブクログ
結末が気になり、あっという間に読み切ってしまった。途中、妄想の描写が多くて、どこまでが現実でどこまでが妄想なのか混乱する箇所があった。父親の気持ちを想像して胸が痛くなったが、自分ならどうする?と考えさせられた。終わり方が少しモヤっとした。
Posted by ブクログ
すごい。読み応えある1冊だった…
読んでいて 辛くなってくる
けど
それ以上に読まされた。
予想以上の話のながれ
これは?どっち??ってなる
そういう意味では とても面白い
内容は 読みながら思考がぐるぐる。
被害者側、加害者側の心情
周りからの目や気持ち、行動
人を殺す。ということについて
あぁ…そうかぁ…確かにね…と
納得してしまったり。
その立場側から見たときの正当性…
親としての苦しみが
痛いほど伝わってきた
自分可愛さ故の彼の行動や気持ちも
うんうん。って
そうなるよ。。。って
でも
起きたことは変わらない
あぁ…酷く辛い……
これは再読。しばらく無理かな
私が怖…となったのは
生命保険。
怖すぎる……
壊滅的な中にも 救いを求める。
最後の結末は
苦しい読者の気持ちを
ほんの少しだけ 軽くしてくれた
Posted by ブクログ
父が息子の部屋からあるものを見つけ、
それを機に息子の犯罪への関与を疑い、
疑心暗鬼になる。
自分はどう行動すべきか自問自答し、妄想の世界へ。
そして私達もその妄想に引き込まれていく。
どこまでが本当?
あらゆる妄想の末、息子と父は向き合い最後は爽やかに終わるが、果たして真相は?!
と気になりました。
Posted by ブクログ
自分が富樫修の立場だったなら、可愛い我が子が得体の知れないサイコパスだったなら。自らを冷血と自覚する富樫でなくとも、自分の息子が連続児童誘拐殺人事件の犯人かもしれないと思うと現実逃避に走りたくなるだろう。この結末では数々の最悪の想像を経て、遂に真実と向き合う覚悟ができたと信じたい。親としてどう更生へ導けばいいのか、どう償えばいいのか、重苦しく答えの出ないテーマに「どうか自分の身には起こりませんように」と考える私も富樫のように冷血だろうか。
Posted by ブクログ
何度も何度も最悪の事態を想像しては悩み続ける富樫修。父として、夫として、自分自身の本音と向き合い、子や妻を心配し、不安に苛まれ、状況を憂い、なんとか子を守ろう、信じようとする。子育てにおいて「殺人」ということではないにしろ、親なら誰でも考えるなぁ、と共感してしまった。
タイトルもなるほど!
しかし、想像力豊かなパパでした。
Posted by ブクログ
文章の相性が凄いです。止まらなくて、一日で読みました。
自宅、カフェ、庭、色々な所で読みながら、何度か、「なんやねん!」と立ち上がり、「でも、どーすんねん」と座り。最後は、「反則やー」と項垂れながらも、タイトルに共感し、文章力に感動しました。
Posted by ブクログ
マトリョーシカのような構成。
一人称だからこそ人間の正直さ、素直さ、冷酷さが際立ち、ひどいと思いながらも自分にも同じ部分を見つけてしまう。
とはいえ子に対する気持ちのドライさは母親と父親の違いがあるだろうな。
お父さんの想像の中の息子がリアルな息子よりだいぶ終わってて、たまにリアルな息子が出てくると意外と無邪気で「本当にこの子が…?」と疑いたくなる。証拠はそろってるけどね。
父は自分の冷酷さを自覚しているからこそきっとそれを息子に投影していて、そんな壮絶な想像の中でさえも保身を考えている自分にさらに嫌悪を抱くと言う延々負のループが続いている。
でもそれをひどい父親って責められるかというとそんなことなくて、だって読者含め誰だって自分がかわいいでしょって問われているようだった。実際私に関して言えば、その通りですって感じだった。
読み終わってみるとタイトルが本当に秀逸。
もう読み返したくはないけどあっぱれな一冊。
Posted by ブクログ
うーん、唸らされました。
やっぱり歌野晶午は『読ませる』作家ですね。
最後の展開にはもちろん賛否両論あるとおもいますが、個人的にはアリかなと。
さんざん妄想やってきて、色んなことを読者に考えさせて、その中で父親の性格も垣間見えて、って運んできた最後に、『いやー、ほんとのほんとはこうだったんですわー』って言われても、私は冷めると思います。だって、さんざんここまで妄想してきたのに、多分この最後にどんな結末を用意しても、イマイチに終わると思いますからね。
あえて本当のところはぼかす。けれども、絶望の中に希望を見出す。良い小説というのは、結末を完全体に書き切るのではなく、読者にそのあとの展開を予想させるような終わり方をするものが多いので、これもまたその例だと思います。
私としては、かなりすっきりとした終わり方かなぁ、と。
Posted by ブクログ
あーーー歌野ワールド全開。
裏表紙のあらすじにあるように、まさに
「既存のミステリの枠を超越」している。
未来の選択肢としては"悲劇"しか提示されていないのに、それでも主人公の修はその中から「きぼう」を見出す。
そんなはずはないのに、なぜか「大丈夫、何とかなるだろう」とこちらも思ってしまう。
自分の好きなタイプの作品ではないのだが、こういうのもアリかもなと思ってしまった。
もしかしたら、"歌野晶午の作品"というバイアスがかかっているのかもしれない。
Posted by ブクログ
葉桜の季節で気になった歌野晶午さんの作品。
構成がものすごく独特で、前半1/4くらいは事件の事実とそれに関わる人達の感情を描くことで、その人達の個性と特徴を示唆してる。
後半は父親の妄想編。前半で示された事実から、パラレルワールドのように真相が明かされては妄想でした、が繰り返される。
妄想の結末は全て悲劇で、ある一家にとっての世界が終わるという結末になる。しかしその度に妄想を打ち消し、始まりに戻る。
結局事件の真相はわからない、というミステリー小説としては変態な部類の終わり方。
賛否両論あるかもだけど、読みやすいし没入して一気に読めた
Posted by ブクログ
いかにも歌野晶午の作品らしく、設定そのものに影響するタイプの小説。
多少長いな、と思うかもしれない。
結局未来がどうなるかなんて分からないんだなと思った。
Posted by ブクログ
歌野晶午による心理サスペンスの問題作。連続誘拐殺人事件で、主人公の父親が自分の小学6年生の息子を疑い始める設定が秀逸。物語の後半は父親の妄想や想像のシミュレーションが延々と続き、どこまでが現実でどこからが妄想か判然としない独特な構成。
良い点: 親としての苦悩や葛藤がリアルに描かれ、感情移入しやすい。複数の結末を想像させるマルチエンディング的要素で、読者を最後まで引き込む。犯罪加害者家族の心境や社会的制裁についても深く考えさせられる内容。
注意点: 妄想パートが長く、読み進めるのが辛い場面もある。真相が曖昧で、スッキリした解決を求める読者には物足りなさを感じる可能性。
パンドラの箱の希望で締めくくられる余韻のあるラストは賛否両論だが、読後に深く考えさせられる一冊。
Posted by ブクログ
つくりは非常に面白い。
どの展開も説得力があり、納得させられる。
しかし、親父が頼りないような気がしないでもない。
自分が親父ならどうするだろうか。
子供が真っ直ぐに育つとは何なのか。
人を殺さなければ真っ直ぐなのか。
悪さをしなければ、いい子なのか。
親と子の正しいあるべき姿とは一体何なのか。
子育てを自分に出来るのか。
そんな事を考えさせられた一冊である。
作品は非常に読みやすくハラハラさせられる。
何よりこのタイトルが好きだ。
Posted by ブクログ
なんとも言えない不思議な内容であった。
主人公を視点として物語が進んでいくのかと思いきや、途中から妄想?想像に切り替わっており、どこまでが現実でどこからが想像なのか分からなくなったりする。呼んでいるこっちも非現実感があり面白かった。
マルチエンディング形式のような本だが、最終的にどうなるのか、どういう気持ちに決着したのか後味の良い、気になる終わりかたであった。
Posted by ブクログ
小学生の息子が連続男児誘拐殺害事件の犯人なのでは?と疑惑を持った主人公。後半のパートはその主人公の妄想?想像?の巻き戻し、巻き戻し、巻き戻しの連続。面白い展開です。
最後に抱いた希望が「世界の終わり」でなく「世界の始まり」になれば良いな。
Posted by ブクログ
『葉桜の季節に〜』で知った歌野晶午さん
どうやら過去にも歌野さんの作品を読んでいて、実家に残ってたので再読
内容は全然覚えてなかったけど、途中でうっすら思い出した
読んでで『ん?』ってなるけど、読み進めれば徐々に慣れていく
何言ってるかわからないと思うけど、そういうものだからしょうがない
決して読みにくい作品ではないが、ある意味では読みにくい作品
ストーリーは説明しづらいので割愛
まぁ、可もなく不可もなくって感じかな
ただ、タイトルの付け方は天才的だと思う
有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ
世にも奇妙な物語とかで実写化したら面白そうだな
Posted by ブクログ
後半戦の手法乱用は好きじゃない。だけど全部読んでみて、アドベンチャーゲームのシナリオ分岐をコンプしようとしてる途中の感じだなぁと思った。リアリティは無いけどフィクションとしては楽しめる、ってことか。
Posted by ブクログ
途中から父親の妄想の話になり、結局白黒付かない。妄想というより「こういう行動をとったらこういう結末になる」というエピソードがいくつもある感じ。白黒ハッキリして欲しい人には向かない気がするが、各々のエピソードも考えさせられる内容になっていて面白かった。
Posted by ブクログ
文章そのものは読みやすいし、ストーリーもいろいろ考えさせられる内容です。
が、ものすごく壮大な妄想を何回も繰り返し読まされたような、結末が曖昧で不完全燃焼的な読後感。
結局、お父さんはどうしたの?息子はどうなったの?
妻は?娘は?
なんか読者にお任せというよりは、作者自身に次々にアイディアが浮かんで書いてはみたものの、どうにも収拾がつかなくなってしまったのかななんて邪推してしまいました。
Posted by ブクログ
連続する誘拐殺人事件。富樫修は,息子「富樫雄介」の部屋から,息子が誘拐殺人事件に関与していたと思われる被害者の名刺,銃などを見つける。
「世界の終わり,あるいは始まり」は,誘拐殺人事件を,犯人の視点,被害者の視点,刑事の視点のいずれでもなく,犯人と思われる人物の父親の視点から描かれている。
物語は,中盤から富樫修の妄想が繰り返される。
最初の妄想は,富樫雄介の犯罪が明らかになり,補導されるというストーリー。二つ目の妄想は,一家心中を図るが,死にきれないというストーリー。三つ目は,修が雄介に全てを告白するように仕向け,雄介が告白するというストーリー。四つ目は,連続誘拐殺人事件の一つと偽装する形で修が雄介を殺害し,浮浪者を犯人に偽装するというストーリー。
どの妄想も,最後は悲惨な結末で終わる。物語のラストシーンは,パンドラの箱の神話の話…箱には「希望」が残ったという話をしながら,修と雄介がキャッチボールをするシーンで終わる。
ミステリ的なカタルシスは存在せず,なんとも言えない終わり方。物語を盛り上げるだけ盛り上げ,本来であればいずれかを真相とすべきところを,惜しげもなく描き切り,最後のオチを用意しないという手法は,竹本健二の作品を思わせる。この終わり方は賛否両論だろう。個人的には嫌いではないが…。★3かな。
Posted by ブクログ
(2013.1.24再読)
う~ん、一度読んだことのある本なのに、内容をすっかり
忘れているという私の頭は、一体どうなっているのでしょうか……。
作者の名前にもあまり馴染みがないし、タイトルだけみても
「恋愛ものか……? でも私、そんなもの読んだっけ…?」
と思っていました。
タイトルだけでは、ミステリーだとは思いもしませんでした!!
読んでいくとだんだん、「ああ、こういう趣向か…」とわかってくるのですが、
どの結末も芳しいものではなくて、子育てがちょっと怖くなりました。
我が子は、雄介みたいに頭がよかったりするわけではないので、
大丈夫だとは思うけど……。
この作者の、「葉桜の季節に君を想うということ」という小説も、
タイトルだけで「これは絶対恋愛ものだ! しかも、私が
嫌いなタイプの!!」と思っていましたが、どうやら違う気配。
俄然読みたくなってきました。