【感想・ネタバレ】世界の終わり、あるいは始まりのレビュー

あらすじ

東京近郊で連続する誘拐殺人事件。誘拐された子供はみな、身代金の受け渡しの前に銃で殺害されており、その残虐な手口で世間を騒がせていた。そんな中、富樫修は小学六年生の息子・雄介の部屋から被害者の父親の名刺を発見してしまう。息子が誘拐事件に関わりを持っているのではないか?恐るべき疑惑はやがて確信へと変わり…。既存のミステリの枠を超越した、崩壊と再生を描く衝撃の問題作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

歌野晶午さんの作品を読むと毎回さすがと思ってしまう。
本当に好きな作品しかない。

自分の息子が殺人犯だということがわかってから、どうにかして現実に折り合いをつけるために、いろいろなシナリオを考える父親の妄想が続く。
かなり序盤で息子が殺人犯だということに気づいていたので、残り半分以上どのように展開していくのかと思っていたが、まさか父親の妄想が何パターンも続くとは思っていなかった。
途中から、これも妄想なんでしょと思いつつ読むのも楽しかった。

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2023年07月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

父親の妄想ではあったが、何通りもの結末が考えさせられたミステリーは初めてだった。本当に自分の息子が誘拐殺人犯と何か繋がりがあるのか?それとも息子が犯人なのか?と父目線での考察に非常にハラハラさせられた。
最後結末を濁しているのも、想像力を掻き立てられ個人的にはおもしろかった。

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2022年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

父が息子の部屋からあるものを見つけ、
それを機に息子の犯罪への関与を疑い、
疑心暗鬼になる。
自分はどう行動すべきか自問自答し、妄想の世界へ。
そして私達もその妄想に引き込まれていく。
どこまでが本当?

あらゆる妄想の末、息子と父は向き合い最後は爽やかに終わるが、果たして真相は?!

と気になりました。

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2024年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度も何度も最悪の事態を想像しては悩み続ける富樫修。父として、夫として、自分自身の本音と向き合い、子や妻を心配し、不安に苛まれ、状況を憂い、なんとか子を守ろう、信じようとする。子育てにおいて「殺人」ということではないにしろ、親なら誰でも考えるなぁ、と共感してしまった。
タイトルもなるほど!
しかし、想像力豊かなパパでした。

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2023年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章の相性が凄いです。止まらなくて、一日で読みました。
自宅、カフェ、庭、色々な所で読みながら、何度か、「なんやねん!」と立ち上がり、「でも、どーすんねん」と座り。最後は、「反則やー」と項垂れながらも、タイトルに共感し、文章力に感動しました。

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2022年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うーん、唸らされました。
やっぱり歌野晶午は『読ませる』作家ですね。
最後の展開にはもちろん賛否両論あるとおもいますが、個人的にはアリかなと。
さんざん妄想やってきて、色んなことを読者に考えさせて、その中で父親の性格も垣間見えて、って運んできた最後に、『いやー、ほんとのほんとはこうだったんですわー』って言われても、私は冷めると思います。だって、さんざんここまで妄想してきたのに、多分この最後にどんな結末を用意しても、イマイチに終わると思いますからね。
あえて本当のところはぼかす。けれども、絶望の中に希望を見出す。良い小説というのは、結末を完全体に書き切るのではなく、読者にそのあとの展開を予想させるような終わり方をするものが多いので、これもまたその例だと思います。
私としては、かなりすっきりとした終わり方かなぁ、と。

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あーーー歌野ワールド全開。
裏表紙のあらすじにあるように、まさに
「既存のミステリの枠を超越」している。

未来の選択肢としては"悲劇"しか提示されていないのに、それでも主人公の修はその中から「きぼう」を見出す。
そんなはずはないのに、なぜか「大丈夫、何とかなるだろう」とこちらも思ってしまう。

自分の好きなタイプの作品ではないのだが、こういうのもアリかもなと思ってしまった。
もしかしたら、"歌野晶午の作品"というバイアスがかかっているのかもしれない。

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2021年08月15日

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ネタバレ

葉桜の季節で気になった歌野晶午さんの作品。

構成がものすごく独特で、前半1/4くらいは事件の事実とそれに関わる人達の感情を描くことで、その人達の個性と特徴を示唆してる。

後半は父親の妄想編。前半で示された事実から、パラレルワールドのように真相が明かされては妄想でした、が繰り返される。
妄想の結末は全て悲劇で、ある一家にとっての世界が終わるという結末になる。しかしその度に妄想を打ち消し、始まりに戻る。
結局事件の真相はわからない、というミステリー小説としては変態な部類の終わり方。

賛否両論あるかもだけど、読みやすいし没入して一気に読めた

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2021年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小学生の息子が連続男児誘拐殺害事件の犯人なのでは?と疑惑を持った主人公。後半のパートはその主人公の妄想?想像?の巻き戻し、巻き戻し、巻き戻しの連続。面白い展開です。
最後に抱いた希望が「世界の終わり」でなく「世界の始まり」になれば良いな。

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2023年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 連続する誘拐殺人事件。富樫修は,息子「富樫雄介」の部屋から,息子が誘拐殺人事件に関与していたと思われる被害者の名刺,銃などを見つける。
 「世界の終わり,あるいは始まり」は,誘拐殺人事件を,犯人の視点,被害者の視点,刑事の視点のいずれでもなく,犯人と思われる人物の父親の視点から描かれている。
 物語は,中盤から富樫修の妄想が繰り返される。
 最初の妄想は,富樫雄介の犯罪が明らかになり,補導されるというストーリー。二つ目の妄想は,一家心中を図るが,死にきれないというストーリー。三つ目は,修が雄介に全てを告白するように仕向け,雄介が告白するというストーリー。四つ目は,連続誘拐殺人事件の一つと偽装する形で修が雄介を殺害し,浮浪者を犯人に偽装するというストーリー。
 どの妄想も,最後は悲惨な結末で終わる。物語のラストシーンは,パンドラの箱の神話の話…箱には「希望」が残ったという話をしながら,修と雄介がキャッチボールをするシーンで終わる。
 ミステリ的なカタルシスは存在せず,なんとも言えない終わり方。物語を盛り上げるだけ盛り上げ,本来であればいずれかを真相とすべきところを,惜しげもなく描き切り,最後のオチを用意しないという手法は,竹本健二の作品を思わせる。この終わり方は賛否両論だろう。個人的には嫌いではないが…。★3かな。

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2025年01月05日

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