歌野晶午のレビュー一覧

  • 女王様と私

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    ネタバレ

    評価
     サプライズ ★★★☆☆
     熱中度   ★★★☆☆
     インパクト ★★★★☆
     キャラクター★★★★☆
     読後感   ★★☆☆☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★★★☆☆

    〇 サプライズ ★★★☆☆
     河合来未の正体が加藤月だったというオチがサプライズ。真藤数馬の妄想の世界という設定のため,SF的な要素もある。歌野晶午の描く河合来未=加藤月や真藤数馬の内面的な描写が結構しっかりしているので,加藤月が真藤数馬をはめようとしていたというところで驚くことができる。とはいえ,そこまで大きなサプライズがある作品ではない。
    〇 熱中度   ★★★★☆
     真藤数馬の妄想の世界は,妄想の世界だけあって何でもアリ。どう進むのか興味を持って読むことができる。このあたりは,アニメやライトノベルの世界に近いのかもしれない。殺人が立て続けに起きるし,真藤数馬が逮捕され取調べを受けるところなど,どうなるのか予測できない。しかし,妄想の世界ということであっさり脱出。そこから捜査になる。三笠大雅の存在の軽さも含め,後半~終盤はかなり駆け足。このあたりを作りこめば傑作になったかも。それでもリーダビリティは高い。
    〇 インパクト ★★★★☆
     真藤数馬のオタクキャラのインパクトがある。また,河合来未=加藤月もインパクト抜群。そもそも大部分が真藤数馬の妄想という構成,そして父と母を殺害していたという救いのない現実。サプライズはそれほどでもないがインパクトはかなり高い。
    〇  キャラクター★★★★☆
     河合来未=加藤月もキャラクター抜群。主要な登場人物はこの二人くらい。あとは人形の絵夢。しかし,キャラクターは立っている。真藤数馬は正真正銘にむかつくキャラとして描かれている。しかし,ちょっと間違えば自分もこうなっていたかもしれないというリアリティがある。歌野晶午の世界に出てくるオタクはリアル過ぎてちょっと怖い。
    〇 読後感   ★★☆☆☆
     ひどい妄想の先にある悲惨な現実。そもそも44歳ニートの引きこもりのキモオタという主人公。読後感は結構きついものがある。
    〇 希少価値  ★☆☆☆☆
     歌野晶午は人気作家。希少価値はあまりない。
    〇 総合評価  ★★★☆☆
     歌野晶午が描くオタクは,ちょうど,自分と世代が近いこともあってかなりリアル。今の人生からちょっと間違っていたら,こういう生活をしていた可能性もあるというリアルな恐怖がある。そして,描かれている悲惨な現実。真藤数馬のキャラクターはかなりキツイが共感してしまう部分があるのも悲しい。
     妄想部分がそれなりにミステリとして面白い。そして,妄想世界なだけあって何でもアリ。どう話が進むか分からない興味から熱中度は高い。オチは夢オチともとれるオチで,途中のリーダビリティの高さに比べるとイマイチ。河合来未=加藤月だったというオチは読めてしまう。総合的に見ると,傑作になり損ねた作品というイメージ。歌野晶午にはこういう作品が多そう。テイストとしては折原一に近い。ある種の人間にしか感じられない奇妙なリアリティと高いリーダビリティ。オチとサプライズがもう少しあれば…。★3で。
    〇 メモ
     真藤数馬は44歳の引きこもり。プロローグは現実。進藤数馬の誕生日のシーン。続いて進藤数馬の妄想。妹扱いしているフィギュアの絵夢と日暮里の繊維街に向かう。そして日暮里で口の悪い小学生の少女に絡まられる。翌日の日曜日,渋谷に呼び出され,フランス料理をたかられる。続いて木曜日,銀座で寿司をたかられ,映画を見る。少女は来未(くるみ)と名乗り,「☆★☆★☆」のライブのチケットを公衆電話から買うように言う。
     来未からの連絡は3週間後。杠詩音という友人が殺害されたことにショックを受けていた。数馬は来未からメールアドレスを聞き,詩音についての情報を聞く。その後,小籠包の店で詩音についての話を聞く。続いて楢葉凜々香の殺人事件が起こる。凜々香も,来未と同じクラスだった。詩音はウリをしていた。凜々香は,虐待を受けている父に会いに東京に来ていた。進藤数馬は,来未のために連続殺人事件を捜査しようと考える。そして,警察官に見せる偽装をして,来未達の担任だった増田輝明の家に行く。
     増田の家に行くと増田は死んでいた。その後警察に緊急逮捕される。その後厳しい取調べを受ける。来未の同級生だった佐島香菜莉が殺害され,その凶器として真藤数馬のナイフが使われる。
     詩音,凜々香及び香菜莉の三人の殺害において,真藤を犯人とする証拠が次々と見つかる。真藤は来未来にはめられたのか。真藤は雑居棒でホモの17番という囚人に襲われ,外に出た時に連絡するように言われ,連絡先を聞く。
     真藤の前に絵夢が現れる。絵夢はこの世界は真藤の空想の世界だと告げる。絵夢は4つの願いをかなえることができるというルールを告げる。そのうちの1つの願いとして,真藤は留置所を出る。
     真藤は河合来未のモデルの撮影会の会場に行き,来未に会う。来未に真藤のことを知らない人だと言われ,真藤は来未を殺害しようとする。しかし未遂で終わり,願いを使って脱出する。次の願いで絵夢を16歳の生身の人間にして,ホテルに泊まる。
     続いて来未が殺害される。ここで,真藤は雑居棒であった16番の男に連絡する。16番の男は三笠大雅という便利屋。三笠は捜査の上,加藤月という少女が,来未達のグループにいたと告げる。その後,三笠はなぜか死ぬ。そして,真藤は三笠に紹介された整形外科医のところに行く途中で,「河合来未」を見付ける。
     真相。真藤数馬が「河合来未」として会っていたのは加藤月だった。月は整形で河合来未そっくりな顔になっていた。詩音がウリをしていたのは本当。月は詩音を殺害し,隠し持っていた携帯を奪った。そして,銀座で真藤と会っていた日に凜々香を殺害。その後,増田を殺害し、真藤に罪を負わせようとする。その日に真藤のナイフ見つかったので香菜莉を殺害。最後に来未を殺害した。加藤月が死体のそばにスイレンを置いたのは,再生を願ってのこと。真藤は4つ目の願いで来未が捕まるように祈るがかなわない。そこで,空想を終わらせる。実は,4つ目の願いは,真藤が真犯人である谷口真夏の捜査をしていた三笠を殺害するために使っていた。
     現実。現実で真藤は父と母を殺害していた。その事実から逃れるために空想をしていたのだ。

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    2018年04月30日
  • 女王様と私

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    定年で教壇を降り嘱託で学校史編纂の仕事を続けている70の老人に寄生している44歳の息子。少女の人形を連れまわし一人二役で無聊を慰める。学校にも仕事にも行けないひきこもり状態を情けなくも思うも、さりとて何をすればいいのかも分からない。自分の適性を見出すことができず結局ずるずる家にひきこもる。分かっているのは集団が苦手で勤めには向いていないこと。世の多くの人は、給料がいいとか休暇が多いとか親方日の丸だとか、志とはほど遠い理由から職に就き心を空っぽにして定年まで黙々と働く。自分に何ができるのだろうかと悩み続けるひきこもりは、ある意味よっぽど人間らしいとも思う。ひきこもり状態から何かを契機にめまぐるしい豹変を遂げる事例は枚挙にいとまなくある。
    不思議な女の子に無理やり引っ張り出され外へと一歩踏み出す。途中からは自らの意思で積極的に社会と接するようにまでなる。ひきこもりから見事に卒業するまでのサクセスストーリーを描くといいたいところだが、現実は、そうそう甘くない。長期化・高齢化しているひきこもり問題の難しさを思い知らされる。切ない胡蝶の夢が痛々しい。

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    2018年01月13日
  • 女王様と私

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    真藤数馬(オタク)、妹?、河合来未(小学6年生)の3人を中心に話が進む
    来未の同級生2人が殺され次は自分じゃないかと不安な気持ちを数馬に相談する。
    しかし、思っていた事とは違う方向へ進んでいく。

    数馬、オタク度全開です。
    そのオタク(ほぼニート)が殺人事件をきっかけに社会復帰出来るんじゃないかと思い始めるも最後は歌野さん得意のどんでん返しが待っています。

    うーん・・・オタクさんって・・・

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    2017年12月16日
  • 女王様と私

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    準ひきこもりの真藤数馬。彼は妹の絵夢の服を探しに日暮里を訪れ、そこで女王様と出会う。高い食事をおごらされ、貢がされる日々に快感を覚え始めた頃、競争率が高いアイドルのコンサートのチケットを取るように命令される。何とかネットオークションで獲得したものの、女王様はなぜか気落ちした様子でもういらないと言う。理由は、一緒に行くはずだった友達が殺されたからー。

    とにかくギャル文字?が読みにくい…。絵夢のしゃべり口調はふつうにして欲しかった。演出だったのかもしれないけど。内容はとにかく先が見えずどうなるのか分からなかったけど、ラストは何となく予想できた。

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    2017年11月30日
  • 家守

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    読みやすく、且つ1つ1つの物語がとても面白い。短篇なんだが、その一篇ずつで長篇を書いてもらいたいなと感じた一冊。もしかすると短篇だから良いのかもしれないが。
    短篇ミステリーが苦手な方も、これはオススメしてみたい

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    2017年11月09日
  • 新装版 動く家の殺人

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    信濃譲二が大好きなので、読んでいて凄く違和感を感じたが、なるほどそう来たか!物語として面白いかと問われると微妙だが、読者の推理の上の上を行く歌野氏らしい作品。ラストの一行が切なくて好き。

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    2017年09月22日
  • 女王様と私

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    主人公気持ち悪すぎだし、「女王様」の言動もやだ〜。
    不快で読むのやめよっかなーって思ったけど、なんか読んでしまった笑
    それに、結構衝撃的だったから星3つ

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    2017年08月06日
  • そして名探偵は生まれた

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    表題作『そして名探偵は生まれた』は雪の密室。探偵と助手の関係が面白い。トリックが杜撰だが名探偵をテーマとした皮肉が良い作品。『生存者、一名』は孤島の密室。サバイバルものであり謎解きでもある。フェアでない一文が残念だが、一気に読ませる魅力的な良作。『館という名の楽園で』は館の密室。これが一番良かった。王道のミステリ、読者への挑戦もある正当でフェアなそれでいて惹き込まれる傑作。『夏の雪、冬のサンバ』も雪の密室。こちらも密室モノとしてなかなか良い良作。全話共通してミステリファンなら大好きな要素が散見する一冊。

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    2017年08月01日
  • ジェシカが駆け抜けた七年間について

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    歌野晶午さんの小説を読むのは二冊目。
    マラソンランナーのジェシカと、もう一人のランナー・アユミが主人公。彼女を中心に、ある事件が起こる。しかも軸となる事件が起こるのは物語の中盤。
    著者は昔マラソンをやっていたことがあるようで、その経験も生かされているようだ。
    1冊目に読んだ「葉桜の季節に君を想うということ」が傑作だったため(ご存知、我らがSMAP中居正広がスマスマでオススメしてくれて読んだ一冊だ)、期待値が自分の中で上がりすぎてたかな・・・。「分身」というのが大きな伏線となって物語のキーになると思いきや、大きな山場がなかったように感じてしまった。

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    2017年05月14日
  • 女王様と私

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    現実社会と仮想社会。
    リアルな自分とインターネットなどを含む媒体の中で生きている自分。
    どんどんその境目があやふやになっていき、本当の自分を見失っていく・・・。
    妄想の果てに待っている世界は、たぶん自分が一番楽で生きやすい世界なのだろう。
    有り得ない世界への境界線を越えてしまったとき、人は壊れていく一歩を踏み出しているのかもしれない。
    結末は中盤でおおよそわかってしまうけれど、最後まで飽きずに読ませる力量はさすが。
    とくに12歳の来未のキャラクターが見事すぎて圧倒された。
    読者の錯覚を利用し、考え抜かれた構成によって不思議な世界に引きずり込み、そして最後には「またやられた!」が待ち受けている。
    サスペンスに分類されているようだが、どちらかというとミステリー色のほうが強い物語のようにも感じた。
    歌野さんらしい、驚かせてくれる物語だった。

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    2017年04月12日
  • さらわれたい女

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    あった言う間に読んでしまった。スピード感のある展開が面白い。小悪党の便利屋だが彼に肩入れして読んでしまう。

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    2016年09月17日
  • そして名探偵は生まれた

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    ネタバレ

    歌野晶午さんといえば、
    「葉桜の頃君を想うということ」での
    想像もしない驚きの結末があまりに印象深く
    今回も期待して読んだのだけど
    短編集だからかな、最後の方はちょっと飽きちゃった

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    2016年09月04日
  • 密室殺人ゲーム2.0

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    ネタバレ

     前作から併せたシリーズとして見れば,そこそこ楽しめる。前作のラストとのズレ,今作のキャラクターとの関係性が明らかになる中盤までは楽しく読めたが,今作のキャラクターの正体が,前作のキャラクターを真似ている別人と分かった後はダレた。
     最後の,意外な被害者というトリックを実行するために自分を殺すという意外性も,ここまで読みすすめてきた展開を踏まえると,ふーんという印象にとどまってしまう。下手にメッセージ性を持たせようとしないが失敗の原因だと思う。トリックはバカミス的だし,構成上,個々の人間のキャラクターも人間関係も描けないのだから,前作のキャラクターとのズレをオチに使った衝撃だけを狙ったエンターテイメントとして描いた方がインパクトが残ったと思う。

    サプライズ ★★★☆☆
     冒頭から前作「密室殺人ゲーム 王手飛車取り」のラストを無視するかのように、頭狂人,aXe,ザンギャ君,伴道全教授,044APDの5人による推理ゲームが展開される。パラレルワールドにおける作品なのか,前作より前の時系列の作品なのか…と推測させるが,その真相は物語の途中で明らかにされる。前作のメンバーは,前作のラストで,頭狂人が仕掛けた爆弾が爆発し,頭狂人とザンギャ君は死亡,aXeが逮捕され,伴道全教授は生死不明という展開となっていた。aXeが逮捕された際の捜査資料がインターネットから流出。その資料を見て,彼らのキャラクターを真似,同じようなゲームをしているのが本作のメンバーという設定。この真相を,前作同様,頭狂人が自分自身の身近な人を殺害するという形で正体を現し,その正体が男性という形で明かされる。この部分はミステリとして十分な意外性を示している。
    最後の出題を044APDが行い,自分自身を殺害=自殺し,プログラムを利用いて出題やチャットを続けていたというラストは見事というより,マンネリを感じてしまった。驚愕というほどの驚きはないが,前作からのズレを上手く意外性に繋げたところは上手いが,サプライズとしては普通。

    熱中度 ★★★☆☆
     前作はすごい熱中して,一気にラストまで読めた。本作も,5人の正体が分かるところまでは非常に熱中して読めたが,そこから先がややダレた。ラストも普通。

    キャラクター ★★☆☆☆
     個々のキャラクターは,一見,強烈なのだが,実はそれほど人間が描けておらず,あまり入り込めない。もっとも,正体を隠してチャットしているので,人間が描けないのは仕方ない。動機などもなく,トリックを披露するために殺人をするので,被害者側のキャラクターも深まらない。前作のキャラクターを真似たという設定もあって,前作のキャラクターを模しているという設定のため,今作の5人の個性は非常に薄い。シリーズとしてはそこそこ個性的だが,今作の5人としては評価は低くなる。

    読後感 ★★☆☆☆
     良くもないし悪くもない。歌野晶吾としては,最後の044APDの遺書として紹介される「ゲーマーにとって自分の死は快感」研究を考えるという記事で,「人間は,たとえ仮装世界の中であっても,人殺しが悪いことだと認識しているということだ」,とか「ゲーム内で自分が死ぬことで,ゲームへの没入感から一時的に解放されることを意味する…自分の精神を健全に保つには,おそらく死ぬことが必要なのだ」といった文章で,ミステリを娯楽として読んでいる読者に衝撃を与えようとしているのかもしれないが(解説でもそのようなことが書いているが),あまり感じなかった。読後感が悪くなれば,歌野晶吾の狙いが当たるということだろうが,正直,感じず,ラストがイマイチだったなという印象を残しただけ。被害者はもとより,今作の5人のキャラクターの個性が薄すぎるので,044APDが死んでもほとんど衝撃がなく,読後感の悪さにもならない。

    インパクト ★☆☆☆☆
     薄い。シリーズとして見れば,このシリーズにインパクトはあるのだが,個々の作品として見ると,この2作目には全くインパクトがない。まさに前作の続編であり,マンネリ。いっそ,前作とのズレを活かし,5人の正体が分かったところをラストとすれば,今作としては意外性があるラストであり,インパクトは残ったと思う。今作の5人の正体をさらっと描き,044APDが自殺をすること及びその理由で読者に衝撃を与えたかったのだろうが,ここまで馬鹿げた小説でラストだけ,そのような工夫をしてもインパクトには繋がらない。仮想社会でも人を殺害することは問題だというモチーフで小説を書きたいなら,もっと個々のキャラクターに感情移入させるような小説にした方がよかったと思う。この小説としては,単なるエンターテイメントとして,前作とのズレを生かした意外な真相で閉めるべきだったと思う。

    希少価値 ★☆☆☆☆
     現時点では希少価値はない。ただし,今のネット環境などを踏まえた小説なので,将来的にネット環境や社会情勢が大きく変わったときにに,読み継がれるとは思いがたい。古典とはならないと思う。10年,20年単位で考えると,持っておいたほうがよさそう。

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    2016年08月14日
  • 家守

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    家にまつわる5つの短編集。
    どれも後味が悪くて面白かった。
    どの話も思いもかけない真相で楽しめた。

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    2016年06月18日
  • 新装版 ROMMY 越境者の夢

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    ROMMYが殺害された。

    サスペンスの為、早めに犯人はわかるのだが、犯人というか、解体者が何故、ROMMYの身体を切り刻んだか。

    ?と感じたところ全てが伏線となっており、最後の最後で、おお!となった。

    ROMMY、不器用すぎるよ。
    周りの人に対しての愛情をもっと伝えても良かったのではないのかな。

    まぁ、しかし、一番可哀想なのは、何も関係なかったのに殺された真鍋睦子さんだよね。

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    2016年02月14日
  • 女王様と私

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    40代ヒキオタニートが主人公と言う、なかなかハードルが高い話。
    序盤気持ち悪いなーと思いながら読み、途中なかなか面白くなってきたなと思い、終わりはやっぱりキモイと思った。

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    2016年02月13日
  • 新装版 ROMMY 越境者の夢

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    キャラクターに個性があり葛藤がありドラマとしての部分が面白く読み応えがある。殺人事件の部分はオマケのようなモノ。

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    2016年02月11日
  • さらわれたい女

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    なんとなく予想ついてしまったと言うか、他に疑わしい人がいなかったと言うか、誘拐してください、だなんて、そうそう頼んでくる人なんていないわな。

    探偵さんが、どうなるかハラハラした。

    二転三転は確かにしたけど、少し物足りなかったような気がしてしまったのは、きっと日頃からミステリーばかり読んでいるせいで深読みしすぎてしまうからですね。

    先入観なく読み進めたかった一作。

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    2016年01月18日
  • 死体を買う男

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    ネタバレ

     西崎和哉という無名の作家が「白骨鬼」という江戸川乱歩が主人公の小説を,作者が分からない小説として発表する。細身辰時というミステリ作家は,西崎に対し,「白骨鬼」を自分の名前で発表したいと告げる。西崎が首肯しないと,裏から手を回し,最終回に当たる第三回を雑誌に掲載させないという手段を取り,自分の名前で発表するように,西崎に迫るというストーリーの話。
     作中作の「白骨鬼」は,江戸川乱歩がワトソン役で,萩原朔太郎が探偵役になっている。この作品は,江戸川乱歩好きなら楽しめるのかもしれないが,そういった加点要素がないと,全く楽しめないというレベルではないが,及第点以下の作品でしかない。
     真相は,「白骨鬼」は,実際にあった事件をベースとして,西崎が登場人物を江戸川乱歩にしたという設定になっており,細身こそが,「白骨鬼」のモデルとなった事件の真犯人で,遺作として自分の犯罪を告白する形で発表したかったというものになっている。
     意外性がないわけではないが,ミスディレクションとなるような仕掛けがないので,真相を聞いても「ふーん」としか思えないのが残念。材料は一流だが,うまく料理できていないという印象がある作品。シンプルでそれなりには楽しめる作品ではある。★3で。

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    2022年11月12日
  • さらわれたい女

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    ネタバレ

     誘拐モノ。便利屋のもとに,「夫の愛を確かめるために,私を誘拐してください」という依頼がされる。物語の前半は,便利屋による誘拐。1991年当時の最新の通信技術を使った誘拐が展開される。伝言ダイヤルやダイヤルQ2を使ったトリックであり,今となっては,「これって何?」と感じてしまう。最新の技術を使ったミステリは,すぐに古臭くなってしまう…どころかわけがわからない作品になってしまう。
     短編ミステリだったら,単なる誘拐モノになるのだろうが,この作品には続きがある。むしろこちらがメイントリック。便利屋に誘拐を依頼した「小宮山佐緒理」は,「津島さと子」であり,狂言誘拐ではなく,死体遺棄をさせるために,狂言誘拐を計画したという人物入れ替えトリックがメイントリックになっている。
     便利屋による捜査のパートも比較的まとまっており,こじんまりとまとまった秀作といえるデキになっている。死体遺棄をするためにこんなことをするか?というリアリティの薄さはあるが…。★3で。

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    2016年01月04日