あらすじ
米国ニューメキシコ州にある長距離専門の陸上競技クラブNMAC。日本人が主宰するこのクラブの所属選手、エチオピア出身のジェシカ・エドルは、日本人選手アユミ・ハラダの異変に気づいた。アユミは夜ごと合宿所を抜け出し、呪殺の儀式を行っていたのだ。アユミがそこまで憎む相手とは誰なのか?彼女の口から明かされたのは、意外な人物の名前と衝撃の事実だった…。不可解な謎と巧妙な罠。驚天動地の傑作ミステリ。
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Posted by ブクログ
全く予想だにしてませんでした笑
そうね、この方は葉桜の作者だもんね笑
そういうトリックしちゃうよね。笑笑
読者を騙すトリック。そして、希望に溢れるラスト。読みやすい文章。これぞ、歌野晶午文学ですね。
Posted by ブクログ
テンポ良く進み、しっかり騙され、そして爽やかな読後感。
謎解きやトリックにあまり重点を置いておらず、物語そのものもとても面白く、読まされる。
タイトルも好み。
トリックに関してはアンフェアだという向きもあるようだが、まぁギリギリフェアかなぁ。
2月16日にの33日後が3月19日という伏線もあり、そして「ハラダアユミを名乗る女」の中で同じく時間の基準のズレを利用したトリックが示されているところも憎い。
一つ難癖をつけるとしたら、本来「七年前」と
「七年後」の間には十七年間の時間差があるべきであり、エチオピア暦のこっちとこっちの西暦を比べて、とかこっちから見てこっちは七年前でこっちから見てこっちは、とかやれば問題ないのだが、少しモヤモヤとはする。
まぁタイトルに「七年間」ってあるし良いか。
Posted by ブクログ
なかなか珍しいスポーツミステリーです。
あとがきにも記されていますが、作品全体に大きな
仕掛けが施されています。
読者はまさにその仕掛けにミスリードされます。
その仕掛けは最後に当然明かされてますが、
「それはないよなあ」と思うか「やられた」と
思うかで読後感が違ってきます。
個人的には前者でしたが、よくこんなことを考え
つくものだ、と感心しました。
Posted by ブクログ
なぜこれをチョイスしたのか、忘れてしまったけど、確かトヨザキ書評集からだったか。歌野作品だけにどんでん系を勝手に期待してたけど、そういう意味では拍子抜け。でも、物語そのものが読ませる内容だったし、事件と謎解きを主眼にしているのではない、と考えると、これはこれでアリかも。それにしても、グランドキャニオンにおける瞬間移動の謎は、結局最後までほったらかしなんですね。
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好き嫌いの分かれるわかり易い本格。
最初は陸上選手の日常が淡々と語られるため、事件に入るまでの時間がかかるのは、歌野晶午らしいかもしれない。
一読しただけで結末に追いつけなかったのは私の理解力の不足かもしれないが、後々読み返してみるとこうじんわりと、本格らしさが染み込んでくる。
トリックとしてはベタでわかり易いかもしれないが、本格から離れた本格を作りたいという歌野さんらしい挑戦作に感じられた。
Posted by ブクログ
陸上選手に焦点を当てたミステリ作品。
作者らしいトリッキーなトリックが炸裂するけど、有名な「葉桜」に比べると少しパンチが弱いかも。
けれど、選手の心理描写なども合わさって、その淡白さが作品の雰囲気に一役買ってると思いました。
この作品割と賛否両論なのですが、その理由がメインのトリックがアンフェアであることに起因するそうで...
確かに予備知識が前提ではあるんですが、結構露骨な伏線が序盤に散りばめられており、そこからこの発想に行き着くのは、頭が良い人ならイケるんじゃないかと思います。(自分の頭脳だけならまだしも、今の時代ネットもありますし。)
ただトリックの性質上、謎を解かないまま読んだ方が楽しめる作品だと思います。
Posted by ブクログ
一気読み!本のタイトルで騙されたぁ!! でも時系列は苦手らしく、読み解くのに時間かかりました汗 わかってみると、ほぉ!!!あっぱれですわ!!という感じ。この単純な話なのに伏線で騙される感じがなんとも好き。
Posted by ブクログ
歌野晶午さんの小説を読むのは二冊目。
マラソンランナーのジェシカと、もう一人のランナー・アユミが主人公。彼女を中心に、ある事件が起こる。しかも軸となる事件が起こるのは物語の中盤。
著者は昔マラソンをやっていたことがあるようで、その経験も生かされているようだ。
1冊目に読んだ「葉桜の季節に君を想うということ」が傑作だったため(ご存知、我らがSMAP中居正広がスマスマでオススメしてくれて読んだ一冊だ)、期待値が自分の中で上がりすぎてたかな・・・。「分身」というのが大きな伏線となって物語のキーになると思いきや、大きな山場がなかったように感じてしまった。
Posted by ブクログ
歌野さんらしい、読み応えのある作品でした。
クライマックスに向かうにつれて、本当にわくわくする。
蓋を開けてみれば何も謎はない、素直な事件なわけですが、またもや綺麗に騙されました。
この見事さが本当にはまります。
ただ、エピローグ(?)部分はちょっと説明が冗長に感じられてしまいました。
グランドキャニオンのくだりもそうですが、必ずしも一から十まで登場人物の口から語らせなくても良かったのでは?という気もします。
グランドキャニオンの別れ際の謎くらいは、調べればわかることですし、そのままにしておいても、作品に余韻も出るし、ある日突然気づいてにやり、なんてこともありそうで私好みかな…なんて。
とはいえ、面白かったです。
Posted by ブクログ
本格ミステリーという範疇から少しズレたミステリー。トリック自体は素直で、ミスリードの罠をあれこれ探るよりも、登場人物に添って読んでいく方が楽しめる。
自分の限界について悩み、苦しむ姿を描いた作品は個人的に好きなので、スポーツ愛好者や何かに本気で打ち込んだ経験のある人は割と入り込める作品なのでは。
Posted by ブクログ
あまり好きではないトリックだった。
けどあれだけ露骨に出てきてたのでなんとなく察しはついてた。
更にもう一オチあれば満足できたかな~
Posted by ブクログ
叙述トリック物だけどインパクトは小さかった。
話の内容も、テンポがよく読みやすいのだけど、いまいち盛り上がりに欠ける印象。せっかくマラソンをテーマに書かれているのだから、白熱したレースシーンなどを入れて欲しかった。
でもたぶん、この小説って、エチオピア時間→エチオピアといえば・・・アベベ!→アベベといえばマラソン!
そんな感じでテーマが決まっていったんだと思う。
Posted by ブクログ
これもトリックが仕込まれているミステリーでしたが、
結構単純・・・というかわざわざこうしなくても、という感じ。
というか微妙に複雑で理解できてない部分もありますが。
それでもこの人のミステリーは結構好きだ。
Posted by ブクログ
アメリカ・ニューメキシコ州にある長距離専門の陸上競技クラブNMAC。
日本人が主宰するこのクラブにエチオピア主審のジェシカは、所属していた。
ジェシカは、夜中に起きたので散歩をするとそこには同じクラブに所属する日本人選手のアユミ・ハラダの姿があった。
頭に懐中電灯を巻きつけ白装束を身に付けて何かをしていた。
アユミは呪殺の儀式を行っていたのだ。
彼女の口から明かされたそこまで憎む相手とは・・?
そして衝撃の真実を聞かされる・・・。
そしてジェシカは、何を思うのか・・・。
歌野さんが書いたミステリーです。
でもちょっとミステリーらしくない作品かな?
物語を語っている・・・そんな印象が残る作品でした。
Posted by ブクログ
脱本格を目指した後の作品。
本当にこういった肉体改造ってあるのかしら?
なかなか興味深いっすね。
この人の作品は読みやすいし、面白いのですが
イマイチ印象に残らないんすよね。なんでだ?
ミステリー的なトリックは未だにピンと
来ないけど、こういったトリックって本格ファン
はアリなの?
Posted by ブクログ
二つの西暦を駆使したトリック。
それはトリックというよりか無理に惑わせてる感じがするなぁ。
無駄に暗くさせるような話が多いのも。
上手い作家さんとは思うけど好き嫌い分かれそうやね。
この人の作品は二つ目やけど。
Posted by ブクログ
読みかけ。まだ最初。
読んだ。すぐ読めた。
カントクがどんな人なのかは全然わかんなかった。
で、ジェシカもアユミもイマイチぼんやりした感じ。
でも全体的には、すらすら飽きずに読めて、読んだ後味もなかなかいい。
Posted by ブクログ
寒くなってきてそろそろマラソンの季節ですね。
来週に迫った東京国際女子マラソンは1979年に始って黎明期の女子マラソンの歴史を紡ぎ、30周年の今年を限りにその役割を終えて姿を変える。
この本、東京の大会とは直接の関係はないのだけど、時代的には丁度その大会が始まった頃に、クラブチームでメジャーなマラソン大会を目指して走っていた女性を描いたミステリー。
エチオピア人のジェシカは貧しい暮らしから這い出るために、日本人監督ツトム・カナザワが主宰するクラブチームで練習を積む。
走りで頂点を目指す様々な国から来たチームメイトの中にアユミ・ハラダという日本人ランナーもいた。
そのハラダが監督との間のトラブルで失意の内にチームを去り、程なく自殺体で見つかる第1幕。
その5年後、アメリカの観光地に死んだ筈のハラダが現れ、しかもその分身がいるかの如く描かれる第2幕。
そのまた2年後、ジェシカが走る新潟でのマラソンの競技中、スタジアムの用具室で何故かジェシカと監督が対峙する第3幕。
漸う事件が起こり(監督が死体で見つかり)犯人探しが始まる第4幕…。
女子マラソンの世界を描き、精神に重きを置く鍛錬と合理的科学的であろうとするトレーニングもせめぎ合いなども適度の背景描写として、謎解きが始まる。
この謎解き、それを知らないとなかなか分からないと思うけれど、そう思って読み返すと色々気付きの種は蒔いてあって、「葉桜の…」の時には今いちスッキリしなかった私ですが、今回はまあ納得です。