あらすじ
兵吾少年は奇妙な枡形の屋敷に住む老婆に助けられた。その夜、少年は窓から忍び入ろうとする鬼に出くわす。次々と起きる奇怪な事件。虎の彫像の口にくわえられた死体や、武者像の弓矢の先にぶら下げられた死体が発見される。真相は五十年の時を経て、「推理嫌いの探偵」の手により明らかとなる! 本格超巨編。
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これ、おもしろいですよ!!過去の事件と直感探偵、その助手と現在の事件(もう終わってるからこれも過去なんですが)、そして思わせぶりな青春アメリカ学生恋愛白書事件。直感て・・・いやすごいですよこの人!!理にかなってる直感ってやつは素敵です
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全く趣の異なる3つの短編と中編が収録されていて「一体何のことだろう?」と訝しげに読み進め、奇想天外なトリックは勿論最後の最後に明かされる共通点を目にして、まるでパズルのピースが全てはまったような感覚に支配された。
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歌野作品に対してかなりの辛口評価をしてきた私ですが、今作ではそれらの評価を一気に覆す位の衝撃を受けました。この非現実的な見取り図・このユニークな構成・この大胆不敵な超絶トリック!う…歌野先生〜〜〜!!(歓喜)
今作は、表題作の他に二つの短編を収録しています。
第二次大戦下、疎開先から飛び出した少年が辿り着いた奇妙な屋敷で起こった、連続変死事件(安達ヶ原の鬼密室)。
日本の高校をドロップアウトした女子高生が、留学で訪れたアメリカの田舎町で遭遇した連続猟奇殺人(The Ripper with Edouard)。
こうえんで、だいじなたからものを いどのなかにおとしてしまった、こうへいくんとゆみちゃんのものがたり(こうへいくんとナノレンジャー きゅうしゅつだいさくせん)。
面白いのは、上記三編の掲載方法なんですね〜( ^ω^ )
それぞれをまとめて掲載するのではなく、The Ripperとこうへいくんの話を分割して、鬼密室を前半部と後半部でサンドするようなスタイルなのです。
分かりやすくいうと、
【こうへいくん前編→The Ripper前編→鬼密室→The Ripper後編→こうへいくん後編】の順番です。
二つの物語を交互に、というスタイルは村上春樹作品を彷彿とさせますし、多分珍しいものではないと思うのですが、今作は三編で、しかもサンドしちゃうという( ^ω^ )
……まあ、三作に共通するトリックのことを考えると、それぞれ独立させるわけにはいかなかったのでしょうが…「さっきと全く同じやないかーい!」ってなるもんね(笑)。
その点を、構成を変え、ラストに真相を一気に畳み掛けることでクリアした歌野先生の手腕に唸らされます。
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全部で3つ(4つ?)の話からなっている長編。短編集ではないのが味噌。メインの「安達ヶ原の鬼密室」も面白かったが、個人的にアメリカでの話が好きでした。 しかし「安達ヶ原」のミステリアスな雰囲気はさすがです。
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本編の鬼密室よりアメリカの話の方がテンポもよくて好きですね。
相変わらず初めから探偵役を出してこないあたりフェアだなと思いました。歌野先生の探偵は解答を言わせる為だけのキャラクターというか、どことなく記号的な印象を覚えます。
河瀬が極限状態におかれてどんどん豹変してしまうのが悲しかったです。兵吾はその後どうなってしまうのでしょうか…
終わり方が消化不良です。どんどん続きが読みたくなるストーリー展開ができるのだからもう少し最後まで頑張って欲しかったです。
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太平洋戦争末期、兵吾少年は加藤様の別荘の老婆に助けられたその夜、窓から忍び込もうとする鬼を見かける。
その後やってきた日本兵たちに起きる殺人事件。あるものは庭の虎の彫像の口にくわえられ、あるものは武者像の弓矢に貫かれていた。
果たして鬼のしわざなのか?老婆は安達ヶ原の鬼婆なのか?
真相は50年の後、直感探偵の手により明らかとなる。
というのが本編のあらすじなのですが、なにより構成にやられました。
4つのお話からできているのですが、まず
1・ひらがなカタカナのみ使用の子どもの絵日記風なある事件(ほのぼのイラスト付)
に肩透かしされ、いきなり次の話の
2・アメリカが舞台のサイコキラーの話
に一瞬頭がついていけなくなり、え?と思っているうちに
3・鬼密室の本編
でようやく本編が始まったと思ったら
4・展望風呂殺人事件
というまた別の事件の話。
この4話が回文のように1・2・3の問題編、4、3・2・1の解決編という順番になっています。
一見バラバラなこの4つの事件。1の解決編を読んだ瞬間にスッとつながります。
すごい爽快感でした。
トリックはけっこう大技で、いろいろツッコミ所はありましたが面白かったです。
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トリックものでしたか…笑
ちょっと読み進めにくい部分が多く、最後に『なーるほど』とはなったけど…
まあこういうのもありかもしれませんね。
全然かんけーない話なんたけど、根本は一緒みたいな短編集。最後にカチッとはまると気持ちが良いですね。
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本編の前に「こうへいくんとナノレンジャー」「The Ripper with Edouard」の2作がいきなり出てきて何?と思ったけど、鬼密室とトリックが同じだったのね。他にも作中の「展望風呂殺人事件」も全てからくりが繋がってて、同じようなネタをうまく1つの作品に構成させてるところが面白かった。
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絵本風の物語、アメリカで起きた猟奇事件、終戦直前に起きた日本での怪事件の3つが最終的にある共通点で結ばれる点や個々の事件、特に鬼屋敷で経ち続けに起きる怪事件の見せ方は巧い。しかし表題作の鬼屋敷の構造がトリックを露呈しやすくしているのが難か。
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ある屋敷で戦時中に起きた「黒塚7人殺し」の真相とは…
本編前の2つの話はヒントなのだろうと思いながら読んだものの、全然見当のまま読んでいたのでビックリした。最後まで読めば、伏線やヒントも見えるし、絶対分からないということもなさそうに思うが、なんにしてもとんでもトリックなので、やっぱり難しいか。
八神探偵ってシリーズものなのかな?
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おどろおどろしい題名にも拘らず、冒頭は可愛らしい「ジュブナイル風の物語」が始まります。途中で「日本人留学生と切り裂き魔の物語」が始まり、更にその途中で、メインの「安達ヶ原の鬼密室」の物語が始まります。
これらの物語に共通点があるのですが、それが「安達ヶ原の鬼密室」の謎を解く鍵になっています。途中挿入されている「密室の行水者」がバレバレのヒントになっているのは残念ですが、非常に斬新な構成だと思いました。
メイン以外の物語は完全に独立した物語なので、一緒に収録する必然性がないのが難点ですが、一風変わった作品として一読の価値があると思います。
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タイトルに惹かれて読んだ。
鬼密室のトリックについては納得。
ただ、前後に2作も別の話を入れてヒントにしたり、作中作のような話もあったり、なんか忙しかった。趣向を凝らしすぎ?
作者は、『葉桜の季節に君を想うということ』の人ですね。
Posted by ブクログ
3作品+作中作的な事件一件の4つの事件が盛り込まれた一冊。
一作目の中に二作目、二作目の中に三作目を挟むという(更に、三作目の中に作中作の事件が挟まってる)異色の構成もビックリ。
前二作がヒントになってるという感じだけど、それぞれの雰囲気がバラバラで面食らう。
考えごたえのあるトリックだし、さくさく読めるテンポのよさもいい。
ただ、探偵のキャラクターがいまいち好かなかった。歌野作品で時々あるパターン。残念。
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3つの話が入った短編もの。
共通するものがあってなかなか面白かった☆
個人的には好きだけどメインのストーリーのトリックは某ゲームで見たな…(´ー`)
ナオミ編のその後が気になる☆
Posted by ブクログ
「こうへいくんとナノレンジャーきゅうしゅつだいさくせん」「The Ripper with Edouard」「安達ヶ原の鬼密室」の3篇が入っている。
構成が変わっていて、ナノレンジャー前編 The Ripper with Edouard前編 鬼密室 The Ripper~後編 ナノレンジャー後編 の順になっている。さらに、鬼密室の中ごろには、全く別のエピソードが組み込まれており、計4つの事件を読むことになる。
なぜこんな変わった構成にしているのかは、読み進めていけばおのずと分かってくる。
まあ非常に実験的な作品といえるでしょう。
Posted by ブクログ
ミステリ小説ファンには、2つのパターンがあると思っている。トリックそのものの出来に主眼を置く純粋なミステリファン、そしてある小説としての完成度を求める読者。本作は、自分がミステリにどんな期待をしているのかがわかる一冊だ。
本作は、ひとつのトリックをもとにまったく別々の物語が、しかもそのトリックを3種の見せ方で書かれている。事件の主軸となるトリックにもなるし、ある一事件の鍵となる要素のひとつにもなるし、子どもの日常的な、しかもありきたりなトラブルの解決策にもなる。こうした見せ方は非常に歌野晶午らしくもあり、感心もしたくなる。
ただこのトリックは、多少奇抜すぎる。現実味がなく、きちんと懐に落ちてくるリアルさがないのだ。でも、それはわたしが冒頭で示した2パターンめの読者だからだろう。1パターン目の読者であれば、もっともっと楽しめるだろうし星の数だって変わると思うのだ。
と同時に、残念だなぁとも感じる。前々から認めたくないとは思っていたのだが、本作を読んで自分はどうやらトリックの奇抜さにはほとんど興味がないのだとはっきりわかってしまったからだ。それでもミステリを読み続けるのは、自分への期待をまだ捨てきれないせいなのかもしれない。