あらすじ
彼女が勤めに出たのは、このままでは姑を殺してしまうと思ったからだった―。夫を亡くした妻が姑という「他人」に憎しみを募らせるさまを描く(表題作)。猫のように性悪な恋人のため、会社の金を使い込んだ青年。彼に降りかかった「呪い」とは(「猫部屋の亡者」)。全七編収録。鬼才初の短編集を、新装版で。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
装丁が違うけどこのタイトルはこの新装版しかないみたいなのでこちらで登録。歌野さんの中では第三期の作品だと。好きな作家さんなんで昔のものから読もうと。第一期と第二期は読み終わった。贔屓目からかどれも面白い。これは著者初の短編集。7つの物語が入っている。ボキャブラリーがないので、どれも面白かったとしか言えないのがもどかしい。長編とは違い、とくに謎解き役がいるわけでもなく、コンパクトにまとまりながらも楽しませてくれる。あえて挙げるなら「逃亡者~」「美神崩壊」「プラットフォームの~」「正月十一日~」が上位に入る。
Posted by ブクログ
ずっと読みたかった本。大胆なトリックと、読み進めるほどに強まる「嫌〜」な感じ、とても楽しめました。処女短編集とは思えない。
「逃亡者 大河内清秀」の大どんでん返し、大好きです。
Posted by ブクログ
感想は巻末の解説とほぼ一緒です。最初は小さな反抗心であるとか、利己心であるとか、そういった小さなことなんだけど、結末に至ればそういった小さなことが大きな過ちにつながる。
Posted by ブクログ
何か事件が起こる気しかしない、そんな物々しい雰囲気が漂う作品が七編収録された短編集で、ある時は恋人同士の諍い、ある時は嫁と姑の確執、またある時はイジメによって起きる悲劇など絶望感を極限まで煮詰めたものばかりで胸糞でありながらどれも続きが気になる面白さだった。特に表題作の『正月十一日、鏡殺し』が一番面白かった。
Posted by ブクログ
昔読んだものを再読。やっぱり最後の3作(「美神崩壊」「プラットホームのカオス」「正月十一日、鏡殺し」)のイヤミス感がたまらない…。歌野さんのイヤミス好き。あとは「逃亡者 大河内清秀」も好き。どっちが主体の話なのか分からない感じなのも。
Posted by ブクログ
若い時に書いたんだな、と思わせる粗さはあるが、面白い。文章が特別上手いというわけではないのだが、(下手と言われているのをよく見かける)歌野晶午の文章の雰囲気が好き。
個人的にはベストは「逃亡者 大河内清秀」
かなり悪く言うなら夢オチと言えてしまう部分もあるが、
偽物大河内→本物大河内、と思わせて偽物の推測→本物の大河内の夢だった
という転がされる感じは面白い。謎の女、香絵の不思議な行動がキッチリと説明されるところも良い。
「美神崩壊」も印象的。グサっとくる。
『長い家の殺人』などの物理トリックを使った王道本格から、徐々に『密室殺人ゲーム』や『葉桜の季節に君を想うということ』のような王道から外れた一風変わった本格を書くようになっていく歌野晶午の転換点ともいえるだろう。
「あえて探偵を廃し あえてトリックを抑え あえて論理合戦を殺ぎ落とし 絢爛豪華な謎もなく 物語はあくまで日常で しかし精神は本格
ようこそ、裏本格の世界へ」
カッコよすぎる。
Posted by ブクログ
短編集。最初の方にある作品は読後感が良い意味でそれほど悪い話ではないのだけれど後半になるほどイヤミス度が上がっていく。それがまた面白いのだけど表題作である「正月十一日、鏡殺し」はなんとなく結末の予想は最初からつくものの読後感は「やっぱりここまで来たかー!」と思った。個人的に「プラットホームのカオス」のが結末の予想がつかないという意味で面白かった。
Posted by ブクログ
短編集。
ベストは猫部屋の囚人かなー。追い詰められる感じがコワイコワイ。でも全体として軽いのが好みですね。やっぱり現実の殺人はこういうものなんですよ。最後のやつは激イヤミスだけど、まあさもありなん。
Posted by ブクログ
近所に新しく出来た有隣堂で、まんまとカバーのインパクトに惹かれて買った今作。短編集は非常に読みやすくサクサクと進むけど、作品を楽しむには少し物足りないと改めて思った。人が狂う様や、殺人現場の描写のグロテスクさは好みではありました。
Posted by ブクログ
彼女が勤めに出たのは、このままでは姑を殺してしまうと思ったからだった。
歌野さんの初短編集。イヤミス詰め合わせ。とはいえ謎を解くことがメインではなく、事件に向かっていくさまがメインなのでよりいや〜な感じが楽しい。「記憶の囚人」がなんか好き。いつも通り全部悪夢みたいな短編。(褒めてる)
Posted by ブクログ
「新装版 正月十一日、鏡殺」
初版の刊行は1996年。
長編が全く書けなくなった頃、代わりに文量が少ない短編を書くことに集中した結果、また創作意欲が湧き出したとのこと。短編のおかげで今があると作者は語っています。新装化にあたり、修正は施していないため、作者当時の若さを感じ取れる。
*結末の後味は悪くない(作者初期作品だからか?)のものは●としてます。後味最悪なのは、★としています。
■盗聴●
浪人生の僕は、教えてもらった盗聴技術を駆使して、「カチカチドリを飛ばす」と話す電話を盗聴する。
■逃亡者 大河内清秀●
2人のコーチ(大河内)が交わる?謎が無いように見えるストーリー。
■猫部屋の亡者
猫好きな彼女と付き合いだした為、プレゼントと称して部屋が猫グッズまみれ。支払いは青年に。いや。速攻で別れろ!と思ったら、、、
■記憶の囚人
記憶の一部を歌で表現されたある殺人事件をめぐる。恐らく実験的に書いてみたものだろうか。
■美神崩壊
出だしからホラー感。。。それも、どシンプルな。
■プラットフォームのカオス
寺岡という悪ガキの事故死。2人の視点から違う真相が現れる。
■正月十一日、鏡殺し★
夫秀和を亡くした妻が姑に憎しみを募らせる。悲しみと放心の合間に覗いた疑問、姑はもう赤の他人ではないだろうか。
前半2編くらいでした。ミステリー感ありながらも、結末が悪くないものは。
作者は、事件を積極的に究明しないもの、謎すらない(ように見える)ものまで書けるようになった萌芽が、本短編集の中にあると書いてます。果たしてそれがどれに当たるのだろう。前者は、事件を積極的に究明しない構成とスタンスだとしたら、逃亡者とかそれに該当しそうだ。
いずれにせよ、初期らしくおどろおどろしいモノが少なく、手を取りやすい。
Posted by ブクログ
歌野晶午の初期短編集という事で、これまで読んできた後発の作品のアイディアに繋がるようなネタが散見された、特にプラットホームのカオス。これと表題作の読んでる最中の嫌な気分と後味の悪さはやっぱり歌野晶午だなぁと思う。
Posted by ブクログ
he had slump. he couldn't wright long stories. 'cos he wrote short stories. he know, they had any weak points.
Posted by ブクログ
歌野晶午は葉桜で衝撃を受けてからずっと好きだったから、この本も買おうって思った
殺人ゲームみたいな感じだと思ったけど、冒頭の作者の言葉にもあるとおり、名探偵も巧妙なトリックもない話だったかな
でも面白かった
あたしは猫のやつが一番好き。どんどん主人公が壊れてくのがたまらなく面白いよねー
Posted by ブクログ
どれも面白いお話でしたが、先日手に取った「家守」に比べ
過剰に奇をてらった感があり、少し読みづらく感じました。
また、後半に捻りを利かせてくるのを知ってしまっているので
ついオチが読めてしまうのも残念でした^^;
しかし、展開にワクワクできる短編集なので暇つぶしには最適です。
Posted by ブクログ
前の話の方がおもしろいという困ったパターン。だんだん暗い話になっていくというのもあるんですが、結末が読めてしまうのがどうも。暗い話に限って結末が読める自分もどうかと思いますが。
Posted by ブクログ
歌野晶午は、絶望ノート→すき!、葉桜→まあまあ面白い、ROMMY→断念…と段々評価が下がっていた。
でも、これは割と良いなあ。解説がとにかく的確で、嫌度が増していく順番とか、湊かなえ以降嫌度テイストのミステリーが増えたとか共感。
鏡殺しは悲劇だけど、別居すれば良かったのかな。わかりあうまでぶつかればよかったのかなとか色々考えてしまった。たぶんこの物語に嫁姑についてのメッセージ性なんてないんだけど。
Posted by ブクログ
歌野先生は本当に、後味悪い話がうまい。解説にもあったけど、後になる 程イヤな気分になれる短編集。
この中では「逃亡者 大河内清秀」のカラッと翻弄される感覚が好き。あと「正月十一日、鏡殺し」!歌野先生だから構えて読んでたのに、気持ち良いくらいコロッと騙された(笑)後味は悪いけど、さらりと読めて面白い作品ばかり。