あらすじ
彼女が勤めに出たのは、このままでは姑を殺してしまうと思ったからだった―。夫を亡くした妻が姑という「他人」に憎しみを募らせるさまを描く(表題作)。猫のように性悪な恋人のため、会社の金を使い込んだ青年。彼に降りかかった「呪い」とは(「猫部屋の亡者」)。全七編収録。鬼才初の短編集を、新装版で。
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Posted by ブクログ
感想は巻末の解説とほぼ一緒です。最初は小さな反抗心であるとか、利己心であるとか、そういった小さなことなんだけど、結末に至ればそういった小さなことが大きな過ちにつながる。
Posted by ブクログ
若い時に書いたんだな、と思わせる粗さはあるが、面白い。文章が特別上手いというわけではないのだが、(下手と言われているのをよく見かける)歌野晶午の文章の雰囲気が好き。
個人的にはベストは「逃亡者 大河内清秀」
かなり悪く言うなら夢オチと言えてしまう部分もあるが、
偽物大河内→本物大河内、と思わせて偽物の推測→本物の大河内の夢だった
という転がされる感じは面白い。謎の女、香絵の不思議な行動がキッチリと説明されるところも良い。
「美神崩壊」も印象的。グサっとくる。
『長い家の殺人』などの物理トリックを使った王道本格から、徐々に『密室殺人ゲーム』や『葉桜の季節に君を想うということ』のような王道から外れた一風変わった本格を書くようになっていく歌野晶午の転換点ともいえるだろう。
「あえて探偵を廃し あえてトリックを抑え あえて論理合戦を殺ぎ落とし 絢爛豪華な謎もなく 物語はあくまで日常で しかし精神は本格
ようこそ、裏本格の世界へ」
カッコよすぎる。