感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年04月06日
歌野晶午の短篇ミステリ作品集『増補版 放浪探偵と七つの殺人』を読みました。
歌野晶午の作品は昨年4月に読んだ『さらわれたい女』以来なので、ちょうど1年振りですね。
-----story-------------
『葉桜の季節に君を想うということ』『密室殺人ゲーム2.0』で本格ミステリ大賞史上初、二...続きを読む度受賞作家による短編集
破格のミステリ趣向の凝集が、異様な、熱く冷たい高揚の中で多面的にきらめく傑作群です。
――柄刀一氏<「解説」より>
なぜ死体は動いたのか? 殺人者が犯した、たった一つの過ちとは? 「家シリーズ」の名探偵・信濃譲二が奇想天外な難事件の謎を見事な推理で解決する七つの短編に、幻の未収録作品「マルムシ」を加えた試みと驚きに満ちた傑作ミステリー八編。
これは、本格ミステリーの雄・歌野晶午からあなたへの挑戦状だ!
-----------------------
名探偵・信濃譲二シリーズ7篇を収録して1999年(平成11年)に刊行された作品に、『マルムシ』を加えて2011年(平成23年)に増補版として以下の8篇を収録して刊行された作品です。
■ドア→←ドア
■幽霊病棟
■烏勧請
■有罪としての不在
■水難の夜
■W=mgh
■阿闍梨天空死譚
■マルムシ
■増補版刊行にあたって
■解説 柄刀一
7つの小説すべてが読者を驚愕させる挑戦状―― あの名探偵・信濃譲二が帰ってきた… 周到極まりない殺人者が犯した、たった一つの過ちとは?
大学の男子寮で殺人事件が発生… 犯行時刻に外部からの侵入者はいなく、すべての寮生にはアリバイがあった―『有罪としての不在』や、“水難”とは何を示すか見きわめると、犯人がわかる?『水難の夜』など、さすらいの名探偵・信濃譲二が奇想天外な難事件の謎を見事な推理で解決する8つの短篇を収録した、著者の面目躍如の傑作集。
季節問わず黄色のタンクトップに、ビーチサンダル姿の放浪の名探偵・信濃譲二が、ある時は学生、ある時は清掃員、またある時はマンション管理人として事件を解決する展開、、、
思わず刺し殺してしまった… 下宿のドアの入れ替えたことが犯人にとって致命的となる倒叙モノの『ドア→←ドア』、
廃病院に隠した死体が消えた!? 建物の構造によりフロアを誤解したことが犯人にとって致命的となる『幽霊病棟』、
ゴミ屋敷での密室(蜜ベランダ?)殺人の謎… 烏の生態と庭がゴミ山となっている理由がユニークで印象的だった『烏勧請』、
学生寮での密室殺人… 難易度の高い読者への挑戦状だったなー 密室トリックと動機を解くだけじゃ足りない『有罪としての不在』、
悪徳商法の女社長が殺害され、ピザ配達員が第一発見者に… まさかもう一人の被害者が―― 叙述トリックに心地良く騙された『水難の夜』、
ゾンビの正体は… 米国製で総革張りのビジネス用高級椅子が捨てられていた理由が伏線になっていた『W=mgh』、
新興宗教の象徴である降臨塔に磔された遺体の謎… 被害者の靴が投げられた理由までは当たらなかった『阿闍梨天空死譚』、
教授と間違って殺された!? ダイイングメッセージが愉しめる『マルムシ』、
いやぁー どの作品も愉しめた! ミステリを堪能できる一冊でした。
読みやすかったし、面白かったのですが、本作品でシリーズは完結とのこと… 残念、、、
本作品の前に「家」シリーズとして3作品が刊行されているので、ぜひ、読んでみたいですね。
Posted by ブクログ 2011年06月07日
信濃譲二シリーズ短編集
「~家の殺人」に出ていた信濃譲二が学生のときの話
「ドア⇄ドア」
同アパートの住人を衝動的に自室で殺害してしまった男が
証拠隠滅のため死体を被害者宅に運び、玄関のドアを交換する。
「幽霊病棟」
廃墟となった病院に死体を隠した男が落とした財布と取りに戻ると
死体が別の場所に...続きを読む移動しており、学生達が肝試しをしていた。
「烏勧請」
ゴミ屋敷に住む主婦がベランダで死体となって、カラスにつつかれ発見される。
被害者は旦那の浮気が発覚してから、急にゴミを集めはじめたらしい。
「有罪としての不在」
学生寮で殺人事件が発生。容疑者は寮内にいた人物と特定された。
元カノの嫉妬が原因かと思われたが、更に別の場所で今カノの死体が発見される。
「水難の夜」
雨の中ピザをデリバリーした男A。 配達先で倒れた男女を発見する。
女は死んでいたが男はまだ息があり病院へ搬送される中、警察は男Aに話しを聞く。
「W=mgh」
早朝の住宅街のゴミ捨て場で女性の死体が発見され、死亡推定時刻が確定されるが
その数時間後に、「小さく前へならえ」で道路を走る被害者が目撃される。
「阿闍梨天空死譚」
新興宗教で使用される巨大な塔の中腹に、餓死した男が縛られた状態で発見される。
その塔にハシゴはなくクレーン等が近くに侵入した形跡もない密室状態だった。
「マルムシ」
大学の教授が殺害される。死体のそばにはカードが散らばっていた。
そのカードを束にしたら、側面に「マルムシ」とダイイングメッセージが書かれていた。
≪感想≫
すべて偶然そこに信濃譲二が居合わせ事件を解決する
どの話も無駄なくちゃんとした推理もので、「有罪としての不在」は読者への挑戦状付き!とても面白かった。
巻末著者あとがきにより、信濃譲二シリーズはこれで終わりとのことで非常に残念。
Posted by ブクログ 2022年05月27日
倒叙だったり、暗号モノだったり、怪しげな宗教が絡んだりとどれも一風変わってはいるが、根源にあるのはれっきとした本格。
個人的に好きなのは下の三編
『有罪という名の不在』
かなり捻られた挑戦モノ。まずは犯人は「おばちゃん」というのに驚き。全く見えていなかった。
そしてそれで終わりかと思いきや、その...続きを読む裏にはもう一つの事件が。攻略法を読めばなるほど!となるが、難易度は鬼。
『水難の夜』
個人的ベスト。本物の篠崎が来たとき、犯人は死んだふりをしていたが、警察が来たため篠崎を殺して入れ替わった。偽篠崎を「篠崎」と呼ぶのは、まぁ視点人物がそう思い込んでいるから良し。短い中でも綺麗に驚かされるし、手がかりも見事。タイトルも上手い。
『阿闍黎天空死譚』
屋上に放り出され、脱出しようとしたら磔になってしまったというのも面白いが、とにかく冒頭が巧い。(塔が叫んで殴ってくる...)
型破りな探偵の意外にも地に足が着いた推理が癖になる短編集。
やっぱり信濃譲二というキャラクターは好きになれないけど、読後は不思議と満足感がある。そんな作品。
Posted by ブクログ 2018年02月25日
トリックや犯人が分かってもまた読みたくなる短編集だなあ、と思った。
信濃譲二という存在がやけに懐かしく感じる。もう2度とその姿を見ることはないのか…という哀愁かな。
Posted by ブクログ 2014年04月27日
読者挑戦ものの短編集です。純粋な本格ものから倒錯、叙述トリックなど、バラエティーに富んでいてお得感があります。はずれがなくどれも高水準です。
個人的には【ドア⇔ドア】【有罪としての不在】【水難の夜】が面白かったです。特に【有罪としての不在】は、タイトルの意味、プロット、ロジカルな推理と三拍子揃った傑...続きを読む作だと思います。
Posted by ブクログ 2011年12月02日
期待せずに読んだけど
意外にバラエティに富んでいて、
しかも謎の具合がちょうどよくて
挑戦状タイプもあって、
楽しめた。
信濃譲二ってシリーズキャラクターだったんだ~
このキャラ風変りで、性格悪そうなところが魅力的^^
最後に収められているお話は
名探偵コナンファンの私はタイトルだけで
犯人わかっ...続きを読むた(汗)コナンでつかわれているトリックが
他の話にも出てきて・・・
どっちが先かとかパクッたとか、そういうの気にしない私は
あ~これこれ、って楽しめました。
密室殺人ゲームシリーズがちょっとキツい私には
これくらいがちょうど良いな・・・。
Posted by ブクログ 2011年07月19日
8つの短編が入っているが、どれもがミステリーの体裁を整えながらも一捻りある。
とくに、有罪としての不在は、今までにない感じ。
家シリーズは、登場人物のキャラクターが薄いことが気になったが、これはその点も満足。
Posted by ブクログ 2011年07月01日
増補版として未収録だった作品を追加しての
新たなな文庫化。ご本人もあとがきで触れていますが
この放浪探偵の「信濃譲二」シリーズは今後一切
書かないとの事で、シリーズとして完全に
完結しているんですね。その当時に「動く家〜」を
読んだだけなので、今回改めてこの「信濃譲二」
シリーズに触れられた事が新鮮...続きを読む。
なぜだか分からないけれど、イマイチ探偵役の
信濃ではなく、その信濃に愚弄(?)される警察や
関係者や、そして犯人側に同情に近い感情を抱いて
しまうという不思議な探偵。事件が彼を招くのか、
彼が事件を呼ぶのか、何故か事件周辺にいつも
彼がいて、皮肉混じりに事件をサラリと解決して
しまうのですが、解決の余韻自体はさほど、
いいものではないところが、このシリーズ。
ひいては歌野作品の面白いところなのかもしれません。
中短編とはいえ、本格派な内容でそのトリックや
事件のプロセスなどは長編に劣るものではない今作。
もう読めない「信濃譲二」という変わった探偵の
事件簿としてミステリ界に残しておいて欲しいなーと。
Posted by ブクログ 2020年01月24日
短編集。あの信濃譲二が探偵役。短編集ということで事件も謎解きもそこまで奇抜で意外性のあるものは少なかったけれど「ドア⇄ドア」の犯人の機転とそれ故の失敗の顛末は面白く読めた。他にも「W=mgh」の遺体の状態をリアルに考えるとちょっと笑ってしまうかもしれない。一番気に入ったのは読者への挑戦がいい味出して...続きを読むる「有罪としての不在」かな。
Posted by ブクログ 2015年09月26日
一つ一つの短編は、昭和の香りがして、また展開も面白く楽しめた。
ただ、少々強引なオチも。
しかし、全て読み終わった後に、全話を繋ぐ何かがあるかと勝手に期待したが、無かった。
Posted by ブクログ 2015年06月01日
さすが新本格ミステリーの旗手のひとり、「真っ当」とされるストーリーテリングにトリックにで、シンプルに楽しむことができるそんな中でも、それは本当に情報が足りているか、など思わないでもない作品もあるが、素直に楽しむこともできる。
Posted by ブクログ 2013年05月24日
信濃譲二シリーズの中短編集。一つ一つが手軽に読めるが、短い故にアイディアが詰まっており読み終えた時の満足感が大きかった。水難の夜と有罪としての不在の二編がオススメ。
推理後の犯人や解決に立ち会った語り手の心情描写の上手さが作者の持ち味だと感じます。
Posted by ブクログ 2012年08月14日
本格系にしては肩ひじ張らず、気軽に読める短編集でした。
歌野氏もこんな素直な作品を書くんですね。
第1編の途中までは完全にわき役だと思っていた信濃譲二が、実はシリーズ化されている探偵だっととは意外でした。
今まで読んでいなかったので、トライしてみようかな。
Posted by ブクログ 2011年07月25日
短編7編+未収録作品1編の信濃譲二シリーズ完結版。
信濃譲二の家シリーズは読んだことがないので、読んでみようかなぁと思うような探偵ぶりだった。