歌野晶午のレビュー一覧
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ネタバレ西崎和哉という無名の作家が「白骨鬼」という江戸川乱歩が主人公の小説を,作者が分からない小説として発表する。細身辰時というミステリ作家は,西崎に対し,「白骨鬼」を自分の名前で発表したいと告げる。西崎が首肯しないと,裏から手を回し,最終回に当たる第三回を雑誌に掲載させないという手段を取り,自分の名前で発表するように,西崎に迫るというストーリーの話。
作中作の「白骨鬼」は,江戸川乱歩がワトソン役で,萩原朔太郎が探偵役になっている。この作品は,江戸川乱歩好きなら楽しめるのかもしれないが,そういった加点要素がないと,全く楽しめないというレベルではないが,及第点以下の作品でしかない。
真相は,「白骨 -
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ネタバレ誘拐モノ。便利屋のもとに,「夫の愛を確かめるために,私を誘拐してください」という依頼がされる。物語の前半は,便利屋による誘拐。1991年当時の最新の通信技術を使った誘拐が展開される。伝言ダイヤルやダイヤルQ2を使ったトリックであり,今となっては,「これって何?」と感じてしまう。最新の技術を使ったミステリは,すぐに古臭くなってしまう…どころかわけがわからない作品になってしまう。
短編ミステリだったら,単なる誘拐モノになるのだろうが,この作品には続きがある。むしろこちらがメイントリック。便利屋に誘拐を依頼した「小宮山佐緒理」は,「津島さと子」であり,狂言誘拐ではなく,死体遺棄をさせるために,狂 -
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ネタバレ意外性 ★★★★☆
熱中度 ★★☆☆☆
読後感 ★★☆☆☆
印象深さ ★★★☆☆
キャラクター ★★★★☆
入手困難 ★☆☆☆☆
トータル ★★★☆☆
ネット上で知り合った5人が殺人ゲームを行う。それぞれの殺人者が,実際に殺人を行い,殺人方法やミッシングリングの謎などを出題する。
出題される問題は,ややバカミスっぽいトリックぞろい。しかし,頭狂人と伴道全教授が女性だったり,頭狂人が044APDの妹であるという叙述トリックが効果的に使われている。
ゲーム的な小説として読めばそこそこ楽しめる作品。
○ 登場人物
頭狂人
ダース・ベイダーのお面を被っている -
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ネタバレ雪の山荘,孤島などの密室小説を集めた短編集。歌野晶午の作品は,本格ミステリらしい本格ミステリが多く,好きな作家の一人である。
「そして名探偵は生まれた」では,関わった事件について書いた小説によって損害賠償を請求されたことがあり,関わった事件について語ることすらしなくなった卑屈な探偵役が登場する。なんともひねくれた作品。真相を解明するのではなく,犯人をゆすろうとし,ワトソン役に殺されるという真相。ワトソン役が,名探偵になろうと誓うラストシーンが「そして名探偵は生まれた」というタイトルと相まって印象に残る。
「生存者,一名」は爆発テロを行った新興宗教団体のメンバーが無人島で希少な食料をめぐっ -
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そして名探偵は生まれた
生存者、一名
館という名の楽園で
夏の雪、冬のサンバ
中編3つ、短編1つ。
①は愚痴の多い名探偵が事件解決のお礼に招かれた山荘でオーナー兼社長が殺された。山荘内、密室。もちろんそれだけではない。
②は宗教教団によるテロを起こした犯人達が海外逃亡準備が整うまで孤島に隠れることになったが…。教団に裏切られた犯人達の心情、そして一人一人と人数が減っていく。犯人というより生き残るのは誰だ!
もちろんそれだけではない。
③推理小説好きが頑張って、夢である館を建てた。大学時代の仲間を集めて推理ごっこをすることになったが…。館にまつわる甲冑の話がトリックに絡んで来るため、これを解かな -
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歌野さんらしい、読み応えのある作品でした。
クライマックスに向かうにつれて、本当にわくわくする。
蓋を開けてみれば何も謎はない、素直な事件なわけですが、またもや綺麗に騙されました。
この見事さが本当にはまります。
ただ、エピローグ(?)部分はちょっと説明が冗長に感じられてしまいました。
グランドキャニオンのくだりもそうですが、必ずしも一から十まで登場人物の口から語らせなくても良かったのでは?という気もします。
グランドキャニオンの別れ際の謎くらいは、調べればわかることですし、そのままにしておいても、作品に余韻も出るし、ある日突然気づいてにやり、なんてこともありそうで私好みかな…なんて。