あらすじ
歌野晶午×江戸川乱歩――貴方を「非日常の興奮」に導く、超ミステリが誕生!
カメラマンの「私」が渋谷の道玄坂で出会い、交流するようになったのは、賢いが生意気な少年・聖也。その日も私は道玄坂のダイニングバーで聖也と話していたが、向いの薬局の様子がおかしい。駆けつけた私たちが発見したのは、カーペットの上に倒れた、上半身裸の女性だった。その後、私と聖也は事件を探り始める。しかし、私はあることに気がついてしまい、元の世界には戻れなくなっていた――(表題作)。
長崎港を訪れた「私」は、ビデオ通話で恋人に風景を見せながら旅する奇妙な男と出会う。男に誘われた路面電車での観光の車中、「私」はその恋人が、人気アイドルのヴィーナスだと明かされる。だが、2人の馴れ初めを語る男の話には、明らかにおかしな点があり……(「スマホと旅する男」)。
「人間椅子」「押絵と旅する男」「D坂の殺人事件」「お勢登場」「赤い部屋」「陰獣」「人でなしの恋」「二銭銅貨」……本格ミステリ界随一の騙しの達人が、江戸川乱歩の名作群を最先端テクノロジーでアップデートした、驚愕の翻案ミステリ短編集!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久しぶりの★5作品!
たまたま平行して江戸川乱歩の「蜘蛛男」を読んでいたから、現代のテクノロジーが導入されているにもかかわらず違和感のない世界観が展開されている点により驚愕。
江戸川乱歩をまったく知らなくても楽しめる。
薄気味悪さがクセになる。
Posted by ブクログ
ある夏の終わり、〈私〉は軍艦島の世界遺産登録を記念して行われることになったプロジェクションマッピングイベントに参加するため、長崎港に到着したものの、台風の影響で船は出なかった。落ち込む〈私〉に一人の男が話しかけてきた。目的がなくなり、市内を一緒に回ることになった、その途中、彼と彼から紹介されたスマホの画面の向こうにいる『彼女』の身の上について聞かされる。美しい『彼女』はアイドルユニット『マイヨジェンヌ』のメンバー、ヴィーナスだ、と彼は言う。だけど〈私〉は彼の話に違和感を覚えて――「スマホと旅する男」
職を失い、定年一歩手前で主夫になった太郎。テレビ局のプロデューサーとして順調なキャリアを送る妻は若い男と不倫し、夫婦仲はもう冷え切ってしまっていた。子どももいないふたりの家に家族が増えることになった。認知症になった妻の父親だ。うまくいかない義父への介護に憎しみを募らせていく中で、太郎は一篇の小説と出会った。江戸川乱歩の「お勢登場」だ。――「「お勢登場」を読んだ男」
ということで本書は、全七編の短篇集です。全篇、江戸川乱歩の作品を現代風にアレンジするという点で統一されています。どれも切れ味の良い結末と底意地の悪さが光っていて、表題作や「「お勢登場」を読んだ男」あたりはその容赦のなさに思わず笑ってしまうくらいでした。安穏とした読み心地を許さない作者らしさのようなものを強く感じて、とても好ましかったです。個人的に一番好きなのは、幻想小説的な美しさもある「スマホと旅する男」で、続いて、主人公の生来の気質が結末と密接に絡む「陰獣幻戯」かなぁ、という感じです。
Posted by ブクログ
短編集で読みやすい。
歌野さんの作品はあまり読んだことがなかったけど、私好みのどんでん返し系が多くて、今まで読んでこなかったことを後悔。
江戸川乱歩の作品とリンクしていて、原作を知っている人ならさらにおもしろいんだろうなぁと思う。
個人的に好きだったのは「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」と「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」
歌野さんの作品をコンプリートしたいと思った。「人でなしの恋からはじまる物語」だけ自分で読んだだけではオチがわからなかったから星4。
作品は星5じゃ足りないくらい。
Posted by ブクログ
初めての歌野晶午。
グロくてホラーな感じでちょっと好みではないけれど、ストーリーはとても面白かった。
気味悪いけれど、先が気になってどんどん読めてしまう。
誠に恐ろしかった…笑
Posted by ブクログ
有名な乱歩作品を現代風にアレンジした翻案物の短編集。
しっかり乱歩を踏襲してあり、現代の技術を使ってあり、と面白かった。
乱歩をまた読もうかなぁ…
Posted by ブクログ
短編だからなにより読みやすかった。乱歩の作品を読んだことはないのだが、それでも十分に面白かった。乱歩作品を読んでから再度読むとより楽しめそうな気がする。
最後のオチは毎話驚かされるし発想が斜め上で面白い。作者の別作も買ってみたので読むのが今から楽しみ!
Posted by ブクログ
星4.5ぐらい
オリジナル(乱歩)を知らなくても楽しめる。
全体的に、スマホなどの最近のテクノロジーを使っており、いま読むと納得するが、10年後にはもっと新しいデバイスが出て来て、古く感じてしまうかも。
小説の中にポケベルや携帯電話(ガラケー)が出ているのを現在読むと「昔は最新だったね」という感じ。
後世に残るものではなく、今が旬の小説。
だからこそ、いま読んで欲しい!!
個人的には、表題作と「人間椅子」がよかった。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩の名作群を現代風にアップデート!?
乱歩オマージュ短編集。
椅子の中に人間はいるのか?「椅子?人間!」
あのD坂と同じ動機なのか?「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」
人間以外への恋の果てには「人でなしの恋から始まる物語」
乱歩読んでたらより楽しめる作品!
Posted by ブクログ
翻案小説という言葉を初めて知りました。
江戸川乱歩の作品を読んだことがないのですが、あらすじは書いてあるので、イメージは掴めました。
どれも現代的に書かれてるので、すっと入ってきましたが、それにしても気味が悪いというか、ぞっとする話が多い。
ジャンルはホラーになるのかな。
ずっと避けてたジャンルですが、やはり苦手。
原作も読んだ方が楽しめるものなんだと思いますが、ちょっと読む勇気はないかも。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩の名作をモチーフに、歌野晶午が翻案したミステリ短編集。
翻案といえど乱歩らしさは薄れず、じっとり湿っていて淫靡な感じ。ただ、使われる小道具やギミックは大分現代風になっています。
どれも何となく後味悪く、ホラー的な話も含まれます。そういうところも乱歩っぽい。
個人的には『人間椅子』をモチーフにした『椅子? 人間!』がこの中では一番好きでした。じわじわと追い詰められていく恐怖を楽しめます。
ある意味一番怖いのは、『D坂の殺人事件』をモチーフにした『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』のオチかもしれない。
ちなみに、私は乱歩の短編では『人でなしの恋』が好きなのですが、それをモチーフにした短篇も収録されています。
全編通し、様々な倒錯した性的嗜好の世界を楽しめます。
これを読むなら、是非合わせて乱歩の短編も読んで頂きたいです。青空文庫で読めるので!
一編ずつ、続けて読むのも楽しそう。いつかやってみたいです。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩の作品をモチーフにした短編集。
乱歩らしくじめっとした感じのミステリーやホラーでじんわりと怖さがくる。
どの作品もとても面白くて、初めての著者だったけど他の本も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
乱歩のオマージュ短編集。
乱歩の元ネタを読んで、歌野版を読み、2倍楽しめた。
元々乱歩にハマった時期があったのだがお勢登場と押し絵の旅する男の収録されている文庫は持ってなかった。残念。
乱歩の変態っぷり、歌野の巧みさを改めて思い知った。
Posted by ブクログ
タイトルの短編が一番怖かった。乱歩のオマージュなのでわかってはいたけど、いやミスどころではないのでちょっとあわない。最後の人でなしの恋で救われた。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩の代表的ミステリを翻案した、歌野晶午のミステリ短編集。
「人間椅子」「押絵と旅する男」「D坂の殺人事件」「陰獣」等の作品を翻案し、現代版のミステリに仕上げています。
ミステリらしく意外な結末が多いのですが・・・
なんだろう?展開のまどろっこしさが勝って、鮮やかさに欠ける感じ・・・がしたのは私だけでしょうか??