山本幸久のレビュー一覧
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才能に恵まれたけど花開かず、一人娘を授かったけど二度失い、人生のあれやこれやを飲み込んで耐え忍んで生きてきたゆかりが67歳にして初めて運命に逆らう。相棒に12歳の家出少女を引き連れての復活ライブツアー…。
シャンソンの調べと昭和のムード歌謡の香りがしっかりと絆をつないでいく、同窓会みたいな懐かしい、けれどちょっと遠いところの空気に包まれます。
ゆかりを支える人の輪が3世代に脈々と続くのがステキです。真っ直ぐに育った娘とその養い親が惚れ惚れするほど魅力的です。そして相棒縁の母子もチャーミング。嬉しい文庫書き下ろしの短編でもほのぼのします。
ゆかりさん、アヒルバスの出身なんですね♪ -
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店舗などの内装設備会社ココスペース。営業担当のベテラン社員高柳は、同社の新入社員橋本がズル休みをしていることを知る。現場に向かっている途中で、橋本が自転車でフラフラと走っているところを見つけ…。
あー面白かった。
これが第一の感想。大事件はない、ひねったハラハラもない、感動もない、でも面白い。
過去に読んだ作品が『凸凹デイズ』だったので、デイズシリーズ=山本幸久の会社シリーズなのかな?高柳、石渡、篠崎…それぞれの視点で、難しい仕事を抱えては、それなりになんとか解決していくという、普通の仕事の話で特に盛り上がらない話といえばそれまでだが、どんどん読ませていくのは作者の力量であろう。
『凸凹デイズ』でも感じたのだが、山本幸久の作品を楽しむには、まず登場人物の強力に作りこまれたキャラクターの魅力を感じることが必要だ。『凸凹デイズ』を読後に複数の人に貸した時も、「とても面白かった」という人と「イマイチ」という人に別れたのだが、キャラクターを受け入れて読むか、動いた先で何が起こったかという部分を読むかで、全く感想が変わってくるだろう。
本作は、やはり現場で、中間管理職あたりに属する人たちの話は面白いが、ベテランの部長クラスになると、作者もすこしいじることに躊躇しているのか、それともキャラクターを作り込めなかったのか。特に大屋さんの章は、ストーリーを進めたくて、前のめりに描かれてしまって、読んでいて苦笑いしてしまった。
自分でも文章(ちょっとした小説)を書いているのだが、こういう、どうってこと無いけど、丁寧な作品を作り上げたいと思える作品である。漫画などを書いている人は、この作家は必読ですよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ山本幸久の短編集、どの作品の主人公も、どこにでもいそうな、人間臭い人たちばかり。そしてどこにでもありそうな話で、とんでもない不幸があったりとか、ゴールデンラッキーがあったりということは一切ない。街中にあふれている普通の話ばかりである。
が、そういうのを書かせると上手いのが、この作者。どの作品も余韻がいいねんなぁ。「この後、この人はもう人頑張りするんやろな」とか「ちょっと一息入れるんかな」ってな終わり方。
こういうのを読むとじゃ俺も、今抱えているちょっとした(でも俺にとっては少々やっかいな)問題に手を付けてみよっかな…みたいな勇気が湧く。
山本作品の常連キャラもちょいちょい出ていて、そういうお楽しみもある。