山本幸久のレビュー一覧
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9つの連作短編。
最初の7編は、主人公の老年から遡りながら描くというちょっと変わった構成です。8編目(単行本では最後)は主人公の死後を、9編目は文庫本で追加されたものだそうです。
主人公の宍倉勲はカリスマ経営者であった父親の中堅製菓会社を引き継いだ二世経営者。しかしその会社を若い頃に潰してしまい、その後、繊維会社に最初は平社員として勤めた人物です。最初の印象は坊ちゃん育ちの無能力者。しかし読み進むにつれ、(人並み優れている訳ではないものの)非常に誠実でしっかりした人物であることが判ってきます。目立ちはしないが多くの知人から、そして家族から信頼された人物。そんな姿が見えてきます。
サラリと描かれ -
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ネタバレ飲食店などの内装の改築コーディネートを請け負う、中小規模の内装会社に務める、マイペースで自分勝手なのになんだかにくめない営業、アイディアを思いつくとつっぱしっちゃう破天荒なデザイナー、頼れるし、ちょっと昭和だけど美形なのに、いつも作業着でフーゾクすきな施工管理のナイスコンビを中心に、会社に勤める新人社員から社長までの日々のお仕事と葛藤を描く、お仕事物語。
この著者は、ほんとに、いそうでいない、いたら面白そうな絶妙な人たちを書くのがうまいな、と思う。隣の部署にいたら面白いけど、一緒の部署はヤダなー。とか、こんな上司いいなとか。こんな上司ヤダわー。とか。そういう視点でも面白い。でもやっぱり、みん -
Posted by ブクログ
他愛もない話なんですが、十分に楽しめました。
解説が小路幸也さん(実は私、時々小路さんと山本さんを混同してしまう)で、山本さんの作品を「お仕事小説」と評しています。確かに、漫才師だったりデザイナーだったり、仕事に生き生きと打ち込む女性を描いた作品が印象に残ります。
この作品もバスガイドさんが主人公。年齢の割に子供っぽく、かなりドジだけれど、一生懸命で前向きな女性です。脇役も堅物のベテランガイドの鋼鉄母さんやら、彼女に楯突いてばかりの派手でいい加減な同僚(しかし仕事には熱意を持っている)、さらには個性あふれる新人ガイドなど多彩です。
笑ってるうちに前向きになれるお話でした。