新田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
連載時は『続・武田信玄』というタイトルで信玄没後から武田氏滅亡までを描いた全3巻の最終巻。
武田氏滅亡は御親類衆(とくに穴山梅雪を悪者にしている)などにその原因があるような内容で、勝頼は決して愚将ではなかったと。
とは言うものの、後の豊臣秀吉による四国や九州、小田原征伐に比べると味方の裏切りが余りに多いように思える。民衆の反発も強かったようだし、結局はそのような状況に追い込まれたのは統領であった勝頼の責任と思える。
しかし、勝頼一人に武田氏滅亡の責任を負わせるのはやはり酷かと。勝頼に対するイメージはいい方に変化したものの、父武田信玄が後継者・後継体制の育成に失敗したのではないかと考えてし -
Posted by ブクログ
人間の根源を見据えた新田文学、苦難の内面史。
昼働き、夜書く。ボツの嵐、安易なレッテル、職場での皮肉にも負けず。
本書は、気象庁職員にして直木賞作家であった新田次郎による赤裸々な自伝である。新田次郎というと、武田信玄に代表される、歴史作家というイメージが強かったが、創作初期は、山岳小説家であったという事がわかる。(本書を読むと、本人は山岳小説家と称されることを嫌っていたこともわかる)
学歴(東大卒、理学博士)が幅を利かす官界において、専門学校出身の新田次郎は、コンプレックスを抱く。自伝では、生活の足しにするため執筆活動を始めたとあるが、その鬱憤が創作活動へ駆り立てたのかもしれない。(