新田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間の根源を見据えた新田文学、苦難の内面史。
昼働き、夜書く。ボツの嵐、安易なレッテル、職場での皮肉にも負けず。
本書は、気象庁職員にして直木賞作家であった新田次郎による赤裸々な自伝である。新田次郎というと、武田信玄に代表される、歴史作家というイメージが強かったが、創作初期は、山岳小説家であったという事がわかる。(本書を読むと、本人は山岳小説家と称されることを嫌っていたこともわかる)
学歴(東大卒、理学博士)が幅を利かす官界において、専門学校出身の新田次郎は、コンプレックスを抱く。自伝では、生活の足しにするため執筆活動を始めたとあるが、その鬱憤が創作活動へ駆り立てたのかもしれない。( -
Posted by ブクログ
ネタバレ大正三年におきた中箕輪尋常高等小学校の修学登山事故を洗い直し、新田次郎の手によってドキュメンタリー風に書き出された山岳小説である。
初版は昭和五十一年。構成は三部立てとなっており、第一章は登山という行事がどのような教育理念の下に行われるのかを当時の状況を以って示し、第二章で事故のあらましがドキュメント風に描かれる。最後の第三章では、事故後の人々の対応と、現代まで登山行事が長野で行われる理由が明かされている。
本書にあるように、私の母校も戦後から毎年修学登山を行っており、私自身も経験していたが、まさかこのような背景があるとは知らず、もっと早く知っておけばよかったと思った。
山国である信州におい