新田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ大正三年におきた中箕輪尋常高等小学校の修学登山事故を洗い直し、新田次郎の手によってドキュメンタリー風に書き出された山岳小説である。
初版は昭和五十一年。構成は三部立てとなっており、第一章は登山という行事がどのような教育理念の下に行われるのかを当時の状況を以って示し、第二章で事故のあらましがドキュメント風に描かれる。最後の第三章では、事故後の人々の対応と、現代まで登山行事が長野で行われる理由が明かされている。
本書にあるように、私の母校も戦後から毎年修学登山を行っており、私自身も経験していたが、まさかこのような背景があるとは知らず、もっと早く知っておけばよかったと思った。
山国である信州におい -
Posted by ブクログ
ついに甲斐武田家が滅亡してしまう完結編。
勝頼公や真田昌幸や若手武将達が必死に支えても、
あっという間に崩れてしまう甲斐武田氏。
重要人物の裏切りにより、家中には不寛容が蔓延し、
敵の甘い誘いに乗ってしまい、次々と離反者が続出する。
この小説を読む前は勝頼公は被害者として
描かれていると思ったが、必ずしもそうでは無く、
決して家中を乱れさせなかった家康公との対比により、
穴山梅雪の離反を招いてしまった自身の失敗も描いている。
息子を斬られても怒りを堪えた家康公と、
娘の縁談を怒りを露わにして突っぱねた勝頼公。
現代の価値観では勝頼公の方が人としてまともだが、
乱世では家康公の方が正しかっ