新田次郎のレビュー一覧
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新田次郎といえば、八甲田山死の彷徨。
この短編集は、1995年直木賞を受賞した「強力伝」
他、初期の6編が収録されています。
「八甲田山」は、明治35年の青森歩兵隊の雪中訓練の悲劇。冬の山、雪の恐怖、風の凄まじさ。雪の際限ない恐ろしさの臨場感があります。
これが、後の八甲田山死の彷徨に繋がるんですね。
「強力伝」は、ほぼデビュー作とのこと。
新田次郎さんは、気象学者で気象庁の技官だったそうです。
富士山頂観測所に勤務していた時の体験で、モデルになった人物も紹介されていました。
当時、山へ荷物を運び案内を仕事としていたのが強力。彼らの仕事に対する真摯な態度や信頼していた様子が伺われます。
ただ、 -
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時代は明治から大正。
ポルトガル人で、元軍人、外交官のモラエス氏の日本での半生を描いた歴史小説。
彼は、母国ポルトガルに戻ることなく、徳島で終いの人生を迎える。
当時、日本に来た外国人の渡航記を読んでも気が付くことだが、この小説でもラモエス氏の客観的な外からの視点で、当時の日本の生活、文化、日本人に触れられており、とても興味深い。(多くがポジティブな捉え方)
日本人女性も妻、愛人を通じて褒め称えているのだが、その関係には悲劇が付きまとう。
実際の彼の書物を読むと、より直接的に当時の日本について知ることができるのかもしれない。
ちなみに、本著は、新田次郎が連載を開始したものがベースとなり、 -
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明治時代、日本国土唯一の地形図空白地帯
奥州山地の地形図作成のために奮闘する男たちの物語
ひたすらに山の描写が美しく、険しい
ひたすらに地形図作成のために山を巡る描写がハード
読んでいるだけで疲れる
登山描写も疲れるが、テントで休んでいても疲れる
雨にやられて、風にやられて、雪のうえで僅かな装備で体を休める
・・・とても休まらない。(^^ゞ
地形図作成(仕事)のためにここまで情熱をもてるのか
読んでいて羨ましく思えた
黒部ダム建設当時の古い映像に断崖絶壁を機材を担いで歩いている人たちがいて戦慄したのを覚えている。
まさに命を賭して国土事業が成してある今の生活
あって当たり前の物も先人た -
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自分は山登りについて、自然に触れるとか非日常の体験をしたいという動機で興味があるのだが、あまりというかほとんど取り組めていない。そんな中でこの本を読んで、現代の山登りは柴崎測量官が剱岳に登った明治の当時と比べると、自然と言ってもそれなりに整備されているし非日常の度合いも断然易しいのだなと思った。現代の生活は先人の勇気と努力のおかげで安泰なものとなっているとも言えるし、開拓とか初挑戦の余地が乏しくなっているとも言えると感じた。柴崎さんらの測量活動における都度の判断事項はまさに命懸けのリスクを負っている。現代の生活とかビジネスとか社会活動においても大きなリスクを負う場面はもちろんあるけど、生死を賭
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「新田次郎」の山岳小説短篇集『雪のチングルマ』を読みました。
『八甲田山死の彷徨』、『先導者・赤い雪崩』に続き「新田次郎」作品です。
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山岳短篇小説の代表作!
童歌をうたうと必ず雪崩で死ぬという怪談に抗いながらも囚われた若者の苦悩と悲劇を描いた表題作、アラスカ現地に取材した異色の傑作『真夜中の太陽』、実感をこめて富士のおそろしさを表現しきった『春富士遭難』、スキーヤーの身勝手さを衝く『コブシの花の咲く頃』など全六篇を収録。
円熟期の傑作山岳小説集。
登山家の愛読書ともいうべき代表作
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山岳小説