新田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ登山の小説を読みたくて、読んでみた。登山の描写はふんだんにあって良かったが、物語は昭和のメロドラマでなんとも読み心地が悪かった。常識として男より女は劣っていて、地位も格下という枠組が厳然とあり、いかなる登場人物もそこに囚われているように感じてしまう。
女は女らしく、男は男らしく。その枠組から逸脱したいカッコいい女と、やや堕落した不良な女の争い。カッコいい女も後半は、いつの間にか完全に男に世話を焼かれる存在となっていて、がっかりした。
男たちの純粋さといい、女たちの小悪魔ぶりといい、まさに男の幻想のような小説だと思った。しかし、当時は実際にこんなもんだったのか?
結論は女に山はわからない
女に山男はわからない。
お粗末。 -
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新田次郎といえば、八甲田山死の彷徨。
この短編集は、1995年直木賞を受賞した「強力伝」
他、初期の6編が収録されています。
「八甲田山」は、明治35年の青森歩兵隊の雪中訓練の悲劇。冬の山、雪の恐怖、風の凄まじさ。雪の際限ない恐ろしさの臨場感があります。
これが、後の八甲田山死の彷徨に繋がるんですね。
「強力伝」は、ほぼデビュー作とのこと。
新田次郎さんは、気象学者で気象庁の技官だったそうです。
富士山頂観測所に勤務していた時の体験で、モデルになった人物も紹介されていました。
当時、山へ荷物を運び案内を仕事としていたのが強力。彼らの仕事に対する真摯な態度や信頼していた様子が伺われます。
ただ、この小説は、それだけでなく、強力という仕事に責任と自尊心を持ち過ぎた一人の男性が、無理な仕事で身体を痛める様子が辛い。
他の作品も 雪山を経験して風の計測を仕事として 現場に携わってきた作者の臨場感ある短編集です。 -
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時代は明治から大正。
ポルトガル人で、元軍人、外交官のモラエス氏の日本での半生を描いた歴史小説。
彼は、母国ポルトガルに戻ることなく、徳島で終いの人生を迎える。
当時、日本に来た外国人の渡航記を読んでも気が付くことだが、この小説でもラモエス氏の客観的な外からの視点で、当時の日本の生活、文化、日本人に触れられており、とても興味深い。(多くがポジティブな捉え方)
日本人女性も妻、愛人を通じて褒め称えているのだが、その関係には悲劇が付きまとう。
実際の彼の書物を読むと、より直接的に当時の日本について知ることができるのかもしれない。
ちなみに、本著は、新田次郎が連載を開始したものがベースとなり、死去により途絶えていたものを、息子の藤原正彦が継いで完成させた大作。
徳島には、モラエスにまつわる観光地があるようなので、いつか巡ってみたい。
(眉山山上の博物館施設「モラエス館」や旧宅のあった徳島市伊賀町一帯)
なお、徳島は、第一次世界大戦で捕虜になったドイツ人が収容された場所としても有名であり、その交流も小説になっている。
今では年末の風物詩にもなっている第九は、この時から広がったらしい。 -
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明治時代、日本国土唯一の地形図空白地帯
奥州山地の地形図作成のために奮闘する男たちの物語
ひたすらに山の描写が美しく、険しい
ひたすらに地形図作成のために山を巡る描写がハード
読んでいるだけで疲れる
登山描写も疲れるが、テントで休んでいても疲れる
雨にやられて、風にやられて、雪のうえで僅かな装備で体を休める
・・・とても休まらない。(^^ゞ
地形図作成(仕事)のためにここまで情熱をもてるのか
読んでいて羨ましく思えた
黒部ダム建設当時の古い映像に断崖絶壁を機材を担いで歩いている人たちがいて戦慄したのを覚えている。
まさに命を賭して国土事業が成してある今の生活
あって当たり前の物も先人たちのおかげだと改めて思い知らされた -
Posted by ブクログ
自分は山登りについて、自然に触れるとか非日常の体験をしたいという動機で興味があるのだが、あまりというかほとんど取り組めていない。そんな中でこの本を読んで、現代の山登りは柴崎測量官が剱岳に登った明治の当時と比べると、自然と言ってもそれなりに整備されているし非日常の度合いも断然易しいのだなと思った。現代の生活は先人の勇気と努力のおかげで安泰なものとなっているとも言えるし、開拓とか初挑戦の余地が乏しくなっているとも言えると感じた。柴崎さんらの測量活動における都度の判断事項はまさに命懸けのリスクを負っている。現代の生活とかビジネスとか社会活動においても大きなリスクを負う場面はもちろんあるけど、生死を賭けるような判断を迫られる場面がどれだけあるだろうかと考えさせられる。自分にとっても子育てにおいても、いろいろなシーンでよく考えてリスクもとって生き抜く力を養える経験を多く積んでいきたいと思った。
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「新田次郎」の山岳小説短篇集『雪のチングルマ』を読みました。
『八甲田山死の彷徨』、『先導者・赤い雪崩』に続き「新田次郎」作品です。
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山岳短篇小説の代表作!
童歌をうたうと必ず雪崩で死ぬという怪談に抗いながらも囚われた若者の苦悩と悲劇を描いた表題作、アラスカ現地に取材した異色の傑作『真夜中の太陽』、実感をこめて富士のおそろしさを表現しきった『春富士遭難』、スキーヤーの身勝手さを衝く『コブシの花の咲く頃』など全六篇を収録。
円熟期の傑作山岳小説集。
登山家の愛読書ともいうべき代表作
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山岳小説ばかりを集めた以下の六篇で構成された作品です。
■雪のチングルマ
■羽毛服
■コブシの花の咲く頃
■春富士遭難
■赤い徽章
■真夜中の太陽
■解説 近藤信行
『雪のチングルマ』は、童歌に纏わる怪談と大学山岳部員の穂高涸沢に向かう途中の雪崩遭難事故を絡めた物語、、、
雪崩から一人生き残った青年が、童歌と事故の因果関係を心の中では否定しながらも、迷い、悩む姿に感情移入しながら読みました。
そして、エンディングでの悲劇… 「生き残った者があったとすれば、必ず後日雪崩で死ぬ運命にあるものとする」という山行予定表にゾクッ とさせられましたね。
『羽毛服』は、雪山での学生の遭難死の謎を解くために、山岳小説作家が上高地を訪ねる物語、、、
山での実力があった学生は何故遭難したのか… 単独行での遭難と思われたが、ある人物の証言から同行者がいたことが判り、意外な事実が判明する。
少し幻想的な展開でしたが、真相が究明できてすっきりしましたね。
『コブシの花の咲く頃』は、志賀高原のホテルを舞台に行方不明になった男女のスキー客と、二人を探した捜索隊の物語、、、
結果的に二人は還らぬ人となるのですが、その捜索の過程が克明に描かれ、二人の行動を推理する場面がミステリー仕立てで愉しめましたね。
『春富士遭難』は、山岳団体が三月半ばの雪中訓練を兼ねた富士登山で遭難してしまう物語、、、
遭難に至るまでの経緯が淡々と描かれていて、山の恐ろしさを改めて感じました。
ベテランと一緒でも、異常気象等、想定外の天候の急変があると遭難事故になりかねないこと、そして、生き残った側の辛い立場が印象に残りました。
『赤い徽章』は、日本アルパインガイド協会の指導を受ける女性たちが、合宿終了後に、実力を試すために向かった穂高滝谷第四尾根でビバーグを余儀なくされ、そして救出される物語、、、
恋愛感情を絡めつつ、嫉妬、虚栄心、心理的駆け引き等が愉しめる作品でしたね。
『先導者・赤い雪崩』でも感じましたが、「新田次郎」って女性登山家のことを好ましく思っていなかったような… そんな印象を受ける作品でした。
『真夜中の太陽』は、アラスカを訪れた主人公(著者がモデル?)が、終日沈まない太陽の影響で体験した幻想的な物語、、、
深夜でも太陽が輝いている状況って想像できませんが… 身体のリズムを保つのは難しいでしょうね。
アラスカ… 「植村直己」、「星野道夫」、「野田知佑」等の著書で得た知識しかなく、厳しい自然の中にある土地であることは理解していますが、ユーコン川やオーロラ等々を見るために、一度は行ってみたい場所ですねぇ。
『真夜中の太陽』以外は、それぞれ、山岳遭難がテーマとなっていて、山岳小説集というよりも、山岳遭難小説集といった趣の一冊でした。