新田次郎のレビュー一覧

  • 八甲田山死の彷徨
    1902年におきた八甲田雪中行軍遭難事件をモデルにした小説。
    八甲田雪中行軍遭難事件とは、210人中199人が死ぬという、日本山岳史上最悪の遭難事故です。
    遭難の描写は壮絶。
    明治時代の日本軍の話なので、理不尽さも凄い。
    吹雪の中、部下にラッパを吹かせるなど正気とは思えないですし、そのせいで唇が剥が...続きを読む
  • 八甲田山死の彷徨
    組織論やリスク管理などのビジネスの視点でも興味深い本でした。

    参加者ほぼ全滅という結果になってしまった無謀な八甲田山の冬季軍事訓練。
    メディアで見たことがある「ほぼ全滅」したのは青森の5聯隊であり、5聯隊と逆ルートで八甲田山越えを目指した弘前の31聯隊は「全員生還」したといいます。
    この事実を知っ...続きを読む
  • 小説に書けなかった自伝
    新田作品は、雑誌で映画の紹介をしていたのを見て「劒岳〜点の記」を手に取ったのが初めてです。それから数冊読んで、この本に至りました。
    新田氏の文学の歴史が詰まったような作品であって、氏の人柄が垣間見えるものだと感じます。
    処女作からまた作品を読み返してみたら、最初に読んだ時と違う情景が浮かぶかもしれま...続きを読む
  • アラスカ物語
    明治の人物の逞しさには驚嘆させられます!
    フランク安田さん、同じ日本人としてとても誇らしく思いました。
  • 強力伝・孤島
    引き締り緊張感のある文体。まるで目の前で事が展開されているような緊迫感。

    まさしくこれはよく出来た短編ハードボイルド小説集。

    直木賞を取った「強力伝」も良いが、思わぬ事で落とし穴に落ち、狼と相対する事になった男を描いた「おとし穴」が秀逸。二進も三進も行かない状況でも、お金の事を考える人間の性と狼...続きを読む
  • 孤高の人(上)
    『単独行の加藤文太郎』と呼ばれる登山家が、どのようにして山に導かれ進んでいくのかを追った物語。

     序盤の神港造船所の技術研修所に、研修生として五年間在籍している間の話は非常に面白かった。木村敏夫は影村一夫からの嫌がらせや罵倒に嫌気が差し出ていく。地図の読み方などを教えてくれた新納友明は肺結核にかか...続きを読む
  • 槍ヶ岳開山
    自分の犯した罪を僧になることにより浄化しようとするが、中々出来ず死に際に克服したのかなと思われるところに思うところがあった。

    播隆の思いとは裏腹に勝手気ままに好きなことを言いまくる弟子達にヤキモキしながら読んだ。

    堅実に戒律を守ろうとしているのに、山の掟に従えとめっちゃ怒られて従うところとかは少...続きを読む
  • 劔岳〈点の記〉
    登山好きにはとても興味深くて面白いお話でした。
    明治の終わり頃の登山の装備は、今と比べると性能も劣り、重く嵩張る物ばかりで、それらを使いながら山に籠り、未踏の地を目指すことはどんなに大変だったことか。そんなことを想像しながら、当時の観測官ら偉業を興味深く読み進めることができました。
  • 八甲田山死の彷徨
    新田次郎氏の特長が活かされたノンフィクションの傑作。雪中彷徨の表現の迫力に引き込まれた。事実と描写のマッチに圧倒された。
  • 芙蓉の人
    R5.3.5~3.11

    (きっかけ)
    ・好きな作家
    ・富士山測候所について知りたくて
    ・古本屋で100円

    (感想)
    新田次郎さんの八甲田山死の彷徨を読んでいたので「壮絶な山岳小説」はよくわかっているつもりでしたが、別の角度からの「壮絶」がここにありました。
    到の決意の深さと千代子の夫への情熱、目...続きを読む
  • アラスカ物語
    時代が違うという大前提はあるけど、主人公の体験に比べたら、自分の思い悩んでることなんてちっぽけなことだなと思えた。大自然の描写がすばらしい。
  • 劔岳〈点の記〉
    明治時代の剱岳登頂と測量の過酷さが、リアルに、わかりやすく伝わってくる小説でした。勉強になる内容も多いです。
  • 強力伝・孤島
    「強力伝」 凄まじい、想像を超える話しだ。体力よりも精神力、頑固力の塊のような人だ。

    「八甲田山」雪の恐ろしさ、正気を失っていく人の不気味さが本を閉じたくさせる。

    「山犬物語」「孤島」自然と自然の中に生きる生き物と比べてひとのか弱さ。

    全編を通して自然の中に取り残された時、自分だったら生きてい...続きを読む
  • 孤高の人(下)
    「新田次郎」の長篇山岳小説『孤高の人』を読みました。

    『アイガー北壁・気象遭難』、『強力伝・孤島』に続き「新田次郎」作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    【話題のコミック!】「坂本眞一」 『孤高の人』原案。
    なぜ彼は単独で山に登るのか――。

    昭和初期、ヒマラヤ征服...続きを読む
  • 孤高の人(上)
    「新田次郎」の長篇山岳小説『孤高の人』を読みました。

    『アイガー北壁・気象遭難』、『強力伝・孤島』に続き「新田次郎」作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    【話題のコミック!】「坂本眞一」 『孤高の人』原案。
    なぜ彼は単独で山に登るのか――。

    昭和初期、ヒマラヤ征服...続きを読む
  • 劔岳〈点の記〉
    点の記:三角点の設置記録を記した資料。劔岳は一般登山ルートとしては最難関として知られる岩稜険しい山であり、測量官、柴崎芳太郎によるこの山への初登頂、三角点設置の記録が描かれている。基本は史実に則した内容だが、ドキュメンタリーに留まらない苦難や緊迫感が伝わってきた。これを読むのと読まないのでは剱岳を登...続きを読む
  • 強力伝・孤島
    6つの短編集で多くが山に関係する小説です。
    実話が題材のものが多く、日本の山の歴史を勉強できる。伝記と小説が合わさった感じがしました。
    無数にある山々に登山道が整備されていることに、山に行くたび先人達の仕事に感心していましたが、この作品を読んで改めて感謝の念が強くなった。
    山好きに是非読んでもらいた...続きを読む
  • 銀嶺の人(上)
    昔一度読みましたが、再度購入して読んでみました。細かい所は殆ど覚えていなかったので、新鮮な気持ちで読めました。美佐子曰く「自分の生命を賭けて惜しくないほどの対象があった場合、それが生きる目的になるのではないでしょうか、私にはそれがあるのです」これは生きるヒントになる名言だなと思いました。生命を「懸け...続きを読む
  • 栄光の岩壁(上)
    昔一度読みましたが、再度購入して読んでみました。細かい所は殆ど覚えていなかったので、新鮮な気持ちで読めました。「岩壁に向かったあの真剣な気持、身体中の神経が音を立てて鳴るほど張りつめたあの瞬間」わかる気がします。
  • 孤高の人 17

    苦しい、そして素晴らしい

    読み進める毎に苦しい、でも読みたい。もっとじっくり読みたいのだけど先に進みたい欲望が勝ってどんどん読んでしまいました。
    最後は原作と違いますが、そこにも坂本先生の想いがあり、読者の私は救われたと思います。